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一般媒介契約書の雛形|国交省の標準媒介契約約款の入手先と、専任・専属専任との違い・記入する項目

媒介契約書の雛形は、国土交通省が告示する標準媒介契約約款(専属専任・専任・一般)を使うのが基本です。入手先、宅建業法34条の2による3つの型の違い、記入が必要な項目、約款の主な条文、電子での交付、交付前の確認リストをまとめました。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
一般媒介契約書の雛形|国交省の標準媒介契約約款の入手先と専任・専属専任の記入項目
目次

一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の契約書の雛形は、国土交通省が告示している「標準媒介契約約款」を使うのが基本で、国交省のサイトからPDFで入手できます。標準媒介契約約款は宅地建物取引業法34条の2第1項の記載事項に沿って作られているので、空欄を正しく埋めれば法定の書面になります。この記事では、入手先、3つの型の違い、記入する項目、書き間違えやすい点を順に説明します。

媒介契約書が必要になる場面

宅地建物取引業法34条の2第1項は、宅地建物取引業者が宅地または建物の売買・交換の媒介契約を結んだときは、遅滞なく、決められた事項を書いた書面を作って記名押印し、依頼者に交付しなければならないと定めています。売却の依頼を受けたときだけでなく、購入の依頼を受けて媒介するときも対象です。

一方、34条の2は「売買又は交換」の媒介についての規定で、賃貸の媒介には直接は適用されません。賃貸の媒介については、国土交通省が「住宅の標準賃貸借媒介契約書」を別に公開しています。この記事では、売買・交換の媒介契約書を扱います。

書面は「遅滞なく」交付します。販売活動を始めてから後追いで書面を作ると、有効期間の始まりや指定流通機構への登録期限の起点があいまいになります。依頼を受けた時点で書面を作り、日付を入れて交付する流れにしておくと安全です。

雛形の入手先は国交省の標準媒介契約約款

媒介契約書の雛形として最も確かなのは、国土交通省が告示している「宅地建物取引業法施行規則の規定による標準媒介契約約款」です。もとは平成2年の建設省告示第115号で、その後改正が重ねられています。国交省の「宅地建物取引業法関係」のページに、令和6年4月1日以降の版がPDFで掲載されています。

この資料には、次の3つの型ごとに「契約書(表面の様式)」と「約款(裏面の条文)」が入っています。

型収録されているもの
専属専任媒介専属専任媒介契約書(様式)と専属専任媒介契約約款
専任媒介専任媒介契約書(様式)と専任媒介契約約款
一般媒介一般媒介契約書(様式)と一般媒介契約約款

標準媒介契約約款を使うかどうかは義務ではありません。ただし、宅地建物取引業法施行規則15条の9第4号により、その媒介契約が標準媒介契約約款に基づくものかどうかを、契約書に書かなければなりません。標準の文言を自社で書き換えた場合は「基づくもの」とは言えなくなるので、表示もあわせて直す必要があります。

ダウンロードした雛形は、使う前に国交省のページで最新の版かどうかを確かめてください。告示は改正されることがあり、古い版を社内で使い続けると、押印の扱いや電子化の条文などが現在の法令と合わなくなります。

一般・専任・専属専任の違い

3つの型の違いは、宅地建物取引業法34条の2と施行規則15条の9〜15条の11、標準媒介契約約款の条文で決まっています。主な違いを表にまとめます。

項目専属専任媒介専任媒介一般媒介
ほかの業者への重ねての依頼できないできないできる(明示型は依頼先を知らせる)
依頼者が自分で見つけた相手との契約できないできるできる
有効期間(法律上の上限)3か月3か月法律上の上限なし
指定流通機構への登録締結の日から5日以内締結の日から7日以内義務なし
業務の処理状況の報告1週間に1回以上2週間に1回以上法律上の定めなし
購入の申込みがあったときの報告どの型でも遅滞なく報告する(34条の2第8項)

有効期間と更新

専任媒介契約(専属専任を含む)の有効期間は3か月を超えることができず、長く定めても3か月になります(34条の2第3項)。更新は依頼者の申出があるときに限られ、更新後の期間も3か月を超えられません(同条第4項)。依頼者の申出なしに自動で更新する特約は、同条第10項により無効です。

指定流通機構への登録

専任媒介契約を結んだ業者は、決められた期間内に物件を指定流通機構(レインズ)に登録しなければなりません(34条の2第5項)。期間は施行規則15条の10で、専任媒介は締結の日から7日、専属専任媒介は5日と定められ、休業日数は数えません。標準媒介契約約款の契約書の様式では「媒介契約の締結の日の翌日から7日以内(乙の休業日を含みません)」という書き方になっています。

登録事項には、所在・規模・形質・売買すべき価額のほか、法令上の主な制限、取引の申込みの受付に関する状況、専属専任であればその旨などが含まれます(施行規則15条の11)。登録した業者は、登録を証する書面を遅滞なく依頼者に渡し(34条の2第6項)、契約が成立したら遅滞なく指定流通機構に通知します(同条第7項)。

一般媒介の明示型と非明示型

一般媒介には、依頼者がほかに依頼した業者を知らせる義務がある「明示型」と、その義務がない「非明示型」があります。34条の2第1項第3号は、重ねて依頼することを許すかどうかと、許す場合にほかの業者を明示する義務があるかどうかを、契約書に書く事項としています。明示型で、明示していない業者を通じて契約が成立したときの措置も、契約書に書く事項です(施行規則15条の9第3号)。

契約書に記入する項目

34条の2第1項各号と施行規則15条の9が、媒介契約書に書かなければならない事項です。標準媒介契約約款の様式では、これらが表面の欄と別表に割り振られています。

根拠書く事項記入のときの注意
34条の2第1項第1号物件の所在、地番、種類、構造など特定に必要な表示別表に書きます。登記事項証明書と照らして、地番と家屋番号を写し間違えないようにします。
第2号売買すべき価額または評価額価額について意見を述べるときは根拠を明らかにします(同条第2項)。査定の資料を控えとして残します。
第3号ほかの業者に重ねて依頼することの許否と、許す場合の明示義務型の選択欄で示します。一般媒介では明示型か非明示型かを選びます。
第4号既存の建物の場合、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項「有・無」を選びます。調査を行う者は、建築士で国交大臣が定める講習を修了した者です(施行規則15条の8)。
第5号有効期間と解除に関する事項専任・専属専任は3か月以内の具体的な満了日を書きます。
第6号指定流通機構への登録に関する事項一般媒介でも、登録するかどうかを書く欄があります。
第7号報酬に関する事項約定報酬額と受領の時期を書きます。報酬額は国交省告示の上限の範囲内で定めます。
第8号・施行規則15条の9違反があったときの措置、標準媒介契約約款に基づくか否かの別型に応じた違約金・費用償還の扱いと、標準約款に基づくかどうかを書きます。

表面の様式には、ほかに「成約に向けての義務」「媒介に係る業務」「違約金等」「有効期間」「約定報酬額」「約定報酬の受領の時期」の欄があります。専任媒介の様式では、業務の処理状況の報告を書面または電子メールで行うことや、その頻度も書く形になっています。

空欄のまま渡さない

雛形には、選択式の欄(「有・無」など)と、具体的な日付・金額を入れる欄があります。どれか1つでも空欄のまま交付すると、法定の記載事項が欠けた書面になりかねません。交付の前に、全部の欄が埋まっているかを2人で確認する流れにしておくと見落としが減ります。

約款の主な条文で押さえる点

裏面の約款は、依頼者との認識のずれが起きやすい点を先に決めています。以下は専任媒介契約約款の条番号です。ほかの型でも番号や内容が異なる部分があるので、使う型の約款で確認してください。

  • 特別依頼に係る費用(10条):依頼者が特別に頼んだ広告の料金や遠隔地への出張旅費は依頼者の負担で、実費を請求できます。通常の販売活動の費用は報酬に含まれる考え方です。
  • 直接取引(11条):有効期間内または満了後2年以内に、依頼者が業者の紹介で知った相手と業者を外して契約したときは、契約の成立に寄与した割合に応じた報酬を請求できます。
  • 違約金の請求(12条):有効期間内にほかの業者を通じて契約を成立させたときは、約定報酬額に相当する額(消費税を除く)の違約金を請求できます。専属専任では、依頼者が自分で見つけた相手と契約した場合も対象です。
  • 自ら発見した相手方との契約(13条・14条):専任媒介では、依頼者が自分で見つけた相手と契約しようとするときは通知し、業者はそれまでに要した費用の償還を請求できる形です。
  • 更新(15条):有効期間の満了に際し、依頼者から文書で申し出て更新します。
  • 解除(16条・17条):義務を果たさないときの催告による解除と、業者が信義誠実義務に反したときなどに依頼者が解除できる場合を定めています。
  • 反社会的勢力の排除(18条):確約に反したときは催告なしに解除できます。

依頼者に説明するときは、表面の欄だけでなく、こうした裏面の条文も読み合わせると、後で「聞いていない」と言われる場面を減らせます。

交付のしかたと電子化

媒介契約書は、業者が記名押印して依頼者に交付します(34条の2第1項)。依頼者の承諾を得れば、書面に代えて電磁的方法で提供でき、その場合は記名押印して交付したものとみなされます(同条第11項)。指定流通機構の登録を証する書面も、依頼者の承諾を得て電磁的方法で提供できます(同条第12項)。

電子で交わす場合は、承諾を得たことと、どの方法で提供したかを記録に残してください。承諾の取り方や提供方法の細かい要件は政令と省令で定められているので、電子契約のサービスを使うときも、その要件に合っているかを確かめる必要があります。

標準媒介契約約款は、デジタル改革に合わせた2022年の改正(国土交通省告示第539号、同年5月18日施行)で、押印や書面の扱いが見直されています。社内に保存している雛形がそれより前の版なら、差し替えを検討してください。

ウルスタくんでは、媒介契約書や賃貸借契約書など24種の書類を物件・オーナー・入居者の情報から作り、電子サインで締結できます。電子で交付するときは、上の承諾の記録と提供方法の要件を満たしているかを、使う前に宅建士が確かめてください。

書き間違えやすい点の確認リスト

交付の前に確認したい点を、法令と約款の条文から拾いました。社内の確認表として使えます。

  • 専任・専属専任の有効期間が3か月を超えていないか。満了日を具体的な日付で書いたか。
  • 自動更新の文言を入れていないか(依頼者の申出による更新だけが認められています)。
  • レインズへの登録期限を、締結日と休業日から逆算して担当者に伝えたか。
  • 業務の処理状況の報告の頻度が、専任は2週間に1回以上、専属専任は1週間に1回以上になっているか。
  • 媒介価額の根拠を説明し、その資料を残したか。
  • 既存建物で、建物状況調査のあっせんの有無を選んだか。
  • 標準媒介契約約款に基づくかどうかの表示が、実際の文面と合っているか。
  • 使った雛形が、国交省のページに載っている最新の版か。

確認表は、雛形の余白に書き込むより、別の1枚にしておくほうが扱いやすくなります。雛形を新しい版に差し替えても確認表はそのまま使え、法改正があったときは確認表だけを直せば済むためです。

よくある質問

Q1. 一般媒介契約にも書面の交付は必要ですか?

必要です。34条の2第1項は売買・交換の媒介契約すべてに書面の交付を求めており、一般媒介も含まれます。登録や定期報告の義務がない点が専任と違うだけです。

Q2. 一般媒介の有効期間は何か月にすればよいですか?

法律上の上限はありませんが、契約書には有効期間を書かなければなりません(34条の2第1項第5号)。依頼者と話し合い、満了日を具体的に書いてください。

Q3. 国交省の雛形を自社用に少し書き換えてもよいですか?

書き換えること自体は禁じられていません。ただし、施行規則15条の9第4号により、標準媒介契約約款に基づくかどうかを書く必要があり、内容を変えたのに「基づく」と表示するのは誤りです。34条の2第10項で無効になる特約(有効期間3か月超、自動更新、報告頻度を減らすものなど)を入れないことも必要です。

Q4. 賃貸の媒介にも同じ雛形を使えますか?

使えません。標準媒介契約約款は売買・交換の媒介用です。賃貸の媒介には、国交省が公開している「住宅の標準賃貸借媒介契約書」を参考にしてください。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月7日時点の情報です。

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