税金・優遇 読了 14分

登録免許税の軽減措置2026|土地の売買1.5%は令和11年3月31日まで延長、住宅用家屋の保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%と住宅用家屋証明書

土地の売買による所有権移転登記の1.5%は令和11年3月31日まで延長され、住宅用家屋の軽減は令和9年3月31日までです。国税庁の税額表、租税特別措置法、法務局の資料をもとに、税率、要件、住宅用家屋証明書、仮の数字での計算例を整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
登録免許税の軽減措置2026|税率の早見表・期限・住宅用家屋証明書
目次

土地の売買による所有権移転登記の登録免許税は、本則2%のところ1.5%に軽減する措置が令和8年度税制改正で3年延長され、令和11年3月31日まで適用されます。住宅用家屋の軽減(保存登記0.15%、移転登記0.3%、住宅ローンの抵当権設定登記0.1%)は令和9年3月31日までです。国税庁の税額表、租税特別措置法の条文、法務局の資料をもとに、税率、要件、住宅用家屋証明書、計算の手順を整理します。

登録免許税とは|登記を受けるときに納める国税

登録免許税は、不動産の登記を受けるときに納める国税です。税額は「課税標準×税率」で計算します。税率は登録免許税法の別表第一で定められ、租税特別措置法で期限つきの軽減が設けられています。

課税標準は固定資産課税台帳の価格

国税庁の「No.7191 登録免許税の税額表」によると、所有権の保存登記や移転登記の課税標準となる不動産の価額は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳に登録された価格です。法務局の資料「登録免許税の計算」では、この価格は「価格」または「評価額」と表示されているもので、「固定資産税課税標準額」ではないと注意されています。住宅用地の特例で下がった後の課税標準額を使うと、計算を間違えます。

固定資産課税台帳に価格がない新築建物などは、登記所が認定した価額が課税標準になります(法務局「登録免許税の計算」)。抵当権の設定登記の課税標準は、債権金額(根抵当権の場合は極度額)です。

端数処理と最低税額

  • 課税標準に1,000円未満の端数があるときは切り捨てます(国税通則法118条1項)。
  • 計算した税額に100円未満の端数があるときは切り捨てます(国税通則法119条1項)。
  • 計算した税額が1,000円に満たないときは、登録免許税の額は1,000円です(登録免許税法19条)。

税率と軽減措置の一覧

国税庁の税額表(令和8年4月1日現在法令等)にもとづいて、不動産の売買や住宅の取得でよく使う登記の税率をまとめます。

登記の種類本則軽減後適用期限・根拠
土地の売買による所有権移転2%1.5%令和11年3月31日まで(租税特別措置法72条)
建物の所有権保存0.4%住宅用家屋 0.15%令和9年3月31日まで(同72条の2)
建物の売買による所有権移転2%住宅用家屋 0.3%令和9年3月31日まで(同73条)
住宅取得資金の抵当権設定0.4%0.1%令和9年3月31日まで(同75条)
特定認定長期優良住宅の保存・移転保存0.4%・移転2%0.1%(一戸建ての移転は0.2%)令和9年3月31日まで(同74条)
認定低炭素住宅の保存・移転保存0.4%・移転2%0.1%令和9年3月31日まで(同74条の2)
買取再販の住宅の移転2%0.1%令和9年3月31日まで(同74条の3)
相続による所有権移転0.4%なし登録免許税法 別表第一
贈与などによる所有権移転2%なし登録免許税法 別表第一

本則の0.4%は1,000分の4、2%は1,000分の20、軽減後の0.15%は1,000分の1.5を表しています。国税庁の税額表では分数で書かれているので、見比べるときは読み替えてください。

土地の売買1.5%|令和11年3月31日まで延長

租税特別措置法72条1項は、個人または法人が期間内に土地の売買による所有権の移転登記を受ける場合、税率を1,000分の15(1.5%)とすると定めています。財務省の「令和8年度税制改正の解説」では、この措置の適用期限が令和11年3月31日まで3年延長されたと説明されています。国税庁の税額表(令和8年4月1日現在法令等)も、令和11年3月31日までの間に登記を受ける場合は1,000分の15としています。

この措置は、住宅用かどうか、自分で住むかどうかを問いません。法人が事業用や賃貸用の土地を買う場合も対象です。賃貸アパートの用地や、土地付きの収益物件を買う場面では、土地部分にこの1.5%を使えるかを確かめます。

住宅用家屋の軽減|保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%

条文が求める基本の要件

租税特別措置法72条の2(保存登記)、73条(移転登記)、75条(抵当権設定登記)は、いずれも個人が住宅用家屋を新築または取得し、その個人の居住の用に供した場合に、新築または取得後1年以内に受ける登記に限って税率を軽減すると定めています。適用期限はいずれも令和9年3月31日までです。移転登記の軽減(73条)は、取得の原因が売買などに限られます。

住宅用家屋の要件

国税庁の税額表、市区町村が公表している住宅用家屋証明書の案内(堺市「登録免許税の軽減要件」など)、国土交通省の資料では、主に次の要件が示されています。

要件内容
取得する人個人であること(法人は対象外)
用途取得した個人が自分で住むこと。併用住宅は居住部分の床面積が90%を超えること
床面積50平方メートル以上
登記の時期新築または取得後1年以内に登記すること
区分建物耐火建築物・準耐火建築物またはその基準に適合すること
中古住宅の耐震性昭和57年1月1日以後に建築されたもの、または新耐震基準に適合することを耐震基準適合証明書、住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵担保責任保険の付保証明書(いずれも取得日前2年以内のもの)で証明できるもの

中古住宅は「昭和57年1月1日以後の建築」か「新耐震基準への適合」で判定されます。それより前に建てられた住宅を仲介する場合は、決済前に証明書を取れるかどうかが軽減を受けられるかの分かれ目になります。

長期優良住宅・低炭素住宅・買取再販

認定長期優良住宅(特定認定長期優良住宅)は、保存登記と、マンションの移転登記が0.1%、一戸建ての移転登記が0.2%です(租税特別措置法74条)。認定低炭素住宅は保存・移転とも0.1%です(同74条の2)。宅地建物取引業者が一定のリフォームをして販売する買取再販の住宅は、買主の移転登記が0.1%です(同74条の3)。国土交通省の資料では、買取再販の軽減にも床面積50平方メートル以上、耐震性の要件、住宅用家屋証明書の添付などが求められると説明されています。いずれも適用期限は令和9年3月31日までです。

住宅用家屋証明書|軽減を受けるための書類

住宅用家屋の軽減を受けるには、市区町村長が発行する住宅用家屋証明書を登記の申請書に添付します(法務局「登録免許税の計算」、国土交通省の買取再販の資料)。証明書は家屋の所在地の市区町村で申請します。

実務で気をつけたいのは次の点です。

  • 登記の申請と同時に添付する必要があるため、決済日から逆算して申請しておく。
  • 申請に必要な書類は市区町村の案内で確かめ、買主に早めに集めてもらう。
  • 中古住宅で耐震基準適合証明書などが必要な場合は、取得日前2年以内のものを用意する。
  • 登記を司法書士に依頼する場合は、証明書の取得をだれが行うかを事前に決めておく。

計算例|仮の数字で軽減前と軽減後を比べる

仮の数字で計算例を示します。個人が自分で住むために中古マンション(床面積50平方メートル以上、昭和57年1月1日以後の建築)を買い、住宅ローンを借りる場合です。建物の固定資産課税台帳の価格を600万円、敷地権の持分に相当する土地の価格を900万円、借入額を2,000万円とします。

登記課税標準本則の税額軽減後の税額
建物の所有権移転600万円12万円(2%)1万8,000円(0.3%)
土地(敷地権)の所有権移転900万円18万円(2%)13万5,000円(1.5%)
抵当権設定2,000万円8万円(0.4%)2万円(0.1%)
合計-38万円17万3,000円

この仮の数字では、要件を満たして住宅用家屋証明書を添付できれば、登録免許税は38万円から17万3,000円になります。逆に、証明書が間に合わなかったり、耐震性の証明が取れなかったりすると、建物と抵当権の分は本則の税率になります。実際の税額は、固定資産課税台帳の価格(評価証明書など)で計算し直してください。

賃貸用・投資用の購入で使える軽減

住宅用家屋の軽減は、取得した個人が自分で住むことが要件です。賃貸に出すために買う区分マンションやアパートの建物部分には使えません。法人が買う場合も対象外です。

一方、土地の売買1.5%(租税特別措置法72条)は、個人・法人の別や用途を問いません。賃貸用の物件を仲介する場合、諸費用の見積もりでは「土地は1.5%、建物は2%、抵当権は0.4%」と分けて計算するのが基本です。自宅用の購入と同じ感覚で軽減後の税率を書くと、見積もりが実際より低くなります。

買主への説明の順番

登録免許税は、売買の諸費用の中でも、要件を満たすかどうかで金額が大きく変わる項目です。買主には、次の順番で説明すると誤解が生まれにくくなります。

  1. 登記ごと(土地の移転、建物の移転または保存、抵当権の設定)に課税標準と税率が違うこと
  2. 課税標準は固定資産課税台帳の価格(評価額)で、抵当権は借入額(債権金額)であること
  3. 住宅用家屋の軽減は、自分で住むこと、床面積、耐震性、登記の時期などの要件を満たし、住宅用家屋証明書を添付した場合に限られること
  4. 要件を満たさない場合の本則の税額も、見積もりに並べて示すこと

本則の税額を並べておくと、証明書の取得が間に合わなかったときなどに、決済の直前で金額が変わって慌てることを防げます。見積もりの数字は固定資産評価証明書などで確かめた価格を使い、司法書士の見積もりとも照らし合わせます。

不動産取得税との違い

登録免許税は登記を受けるときに国に納める税です。これに対して不動産取得税は、地方税法73条の2により、不動産の取得に対して、その不動産がある都道府県が取得者に課す税です。登記をしなくても、取得すれば不動産取得税の対象になります。

2つの税は軽減の要件も期限も別々に定められています。不動産取得税の軽減については不動産取得税の軽減措置の記事、住宅ローンを使う買主への説明は住宅ローン控除の記事もあわせて確認してください。

売買の前に確認する表

確認すること見るもの
課税標準に「価格(評価額)」を使っているか固定資産評価証明書など
買主は個人か法人か、自分で住むか買付証明、資金計画
床面積が50平方メートル以上か登記事項証明書の床面積
昭和57年1月1日以後の建築か、耐震性を証明できるか登記事項証明書の新築年月日、耐震基準適合証明書など
住宅用家屋証明書を決済日までに取れるか市区町村の案内、司法書士との分担
登記の日が適用期限内か土地は令和11年3月31日、住宅用家屋は令和9年3月31日

よくある質問

Q1. 土地の売買の1.5%はいつまでですか。

令和8年度税制改正で3年延長され、令和11年3月31日までに登記を受ける場合に適用されます(租税特別措置法72条、国税庁 No.7191、財務省「令和8年度税制改正の解説」)。

Q2. 住宅用家屋の軽減はいつまでですか。

保存登記0.15%、移転登記0.3%、抵当権設定登記0.1%のいずれも、令和9年3月31日までです(租税特別措置法72条の2・73条・75条)。

Q3. 法人が社宅や賃貸用に買う建物にも住宅用家屋の軽減は使えますか。

使えません。住宅用家屋の軽減は、個人が取得して自分で住む場合が対象です。土地の売買1.5%は法人も対象です。

Q4. 課税標準は固定資産税の課税標準額を使えばよいですか。

いいえ。固定資産課税台帳に登録された「価格(評価額)」を使います。法務局の資料でも、「固定資産税課税標準額」ではないと注意されています。

Q5. 昭和56年に建てられた中古住宅でも軽減を受けられますか。

新耐震基準に適合することを、耐震基準適合証明書、住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵担保責任保険の付保証明書(いずれも取得日前2年以内のもの)で証明できれば、対象になります。

Q6. 相続の登記に軽減はありますか。

国税庁の税額表では、相続による所有権移転登記の税率は0.4%です。この記事で扱った売買や住宅取得の軽減は使えません。相続の登記の扱いは、法務局の案内で確かめてください。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月7日時点の情報です。

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