マイソク・物件広告 読了 14分

マイソクの記載事項|表示規約の必要表示事項(別表9の22項目)と広告前の12チェック

マイソクを広告に使うときに載せる事項は、表示規約第8条と施行規則の別表で決まっています。賃貸住宅1戸なら別表9の22項目が基準です。別表の選び方、項目ごとの書き方、売買で加わる項目、広告前に確かめる12のチェックを条文に沿って整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
マイソクの記載事項|表示規約の必要表示事項と広告前の12チェック
目次

マイソクを広告として使うときに載せる事項は、不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)の第8条と、施行規則の別表で物件の種別ごとに決まっています。賃貸住宅を1戸募集するなら、別表9の22項目が基準です。この記事では、別表の選び方、賃貸の22項目の書き方、売買で加わる項目、広告前に確かめる12のチェックを、条文に沿って整理します。

記載事項を決めるルールと条文

マイソクの記載事項に関わるルールは、主に宅地建物取引業法と表示規約です。宅地建物取引業法は広告の基本的な禁止事項を定め、表示規約は何をどう書くかを細かく定めています。

ルール主な内容条文
宅地建物取引業法誇大広告の禁止第32条
宅地建物取引業法広告をするときの取引態様の明示第34条第1項
表示規約必要な表示事項第8条、施行規則の別表1〜10
表示規約特定事項の明示第13条、施行規則第7条
表示規約表示基準(取引態様、交通、面積、写真など)第15条、施行規則第9条
表示規約特定用語の使用基準(新築、最上級の言葉など)第18条
表示規約おとり広告の禁止第21条
表示規約不当表示の禁止第23条

宅地建物取引業法第32条は、物件の所在、規模、形質、利用の制限、環境、交通などの利便、代金や借賃などの対価の額と支払方法などについて、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させる表示を禁じています。第34条第1項は、広告をするときに、自ら当事者となるのか、代理なのか、媒介なのかという取引態様の別を明示するよう求めています。

図面の作り方やレイアウト、反響の測り方は「マイソクの作り方|写真・間取りの配置と反響の測り方」で扱っています。この記事は、何を載せるかの確認に絞ります。

必要な表示事項が求められる媒体

表示規約第8条は、規則で定める表示媒体を使って物件を表示するときに、物件の種別ごとに、広告主に関する事項、物件の所在地・規模・形質などの内容、価格などの取引条件、交通などの利便と環境などを明瞭に表示するよう求めています。施行規則は、その表示媒体をインターネット広告、新聞・雑誌広告、新聞折込チラシ等、パンフレット等に分けています。パンフレット等には、パンフレット、小冊子、電子記録媒体などが含まれます。

マイソクは、業者間の資料として作っても、店頭での配布、ポータルサイトへの画像掲載、お客様へのメール送付などに使われることがあります。こうした使い方をするなら、必要な表示事項をそろえた状態で作っておくほうが安全です。自社の使い方がどの媒体に当たるか迷うときは、所属する地区の公正取引協議会に確認します。

物件の種別で別表を選ぶ

必要な表示事項は、施行規則の別表1〜10に物件の種別ごとに並んでいます。最初に、募集する物件がどの別表に当たるかを決めます。

別表対象の物件
別表1分譲宅地(販売区画数が1区画のものを除く)
別表2現況有姿分譲地
別表3売地・貸地・分譲宅地で販売区画数が1区画のもの
別表4新築分譲住宅(販売戸数が1戸のものを除く)
別表5新築住宅・中古住宅・新築分譲住宅で販売戸数が1戸のもの、一棟売りマンション・アパート
別表6新築分譲マンション・一棟リノベーションマンション(販売戸数が1戸のものを除く)
別表7中古マンション・新築分譲マンションで販売戸数が1戸のもの
別表8新築賃貸マンション・新築賃貸アパート(賃貸戸数が1戸のものを除く)
別表9中古賃貸マンション・貸家・中古賃貸アパート、新築賃貸マンション・アパートで賃貸戸数が1戸のもの
別表10共有制リゾートクラブ会員権

賃貸の募集で使うのは、ほとんどが別表8か別表9です。新築の賃貸マンション・アパートで複数戸をまとめて募集するときが別表8、それ以外の1戸ごとの募集が別表9です。

賃貸1戸(別表9)の22項目と書き方

別表9の項目を順に並べ、書くときの注意を添えます。括弧内は別表の注記です。

番号必要な表示事項書くときの注意
1広告主の名称又は商号免許の名義と同じ表記にする
2広告主の事務所の所在地帯替えをしたら自社の所在地に直す
3広告主の事務所の電話番号(宅建業法施行規則第15条の5の2の施設を含む)問い合わせを受ける番号を書く
4広告主の宅建業法による免許証番号免許権者、更新回数、番号まで書く
5広告主の所属団体名及び公正取引協議会加盟事業者である旨帯のひな形に固定で入れておく
6広告主の取引態様(貸主、代理、媒介(仲介)の別)施行規則第9条第1号により、これらの用語を使う
7物件の所在地(町又は字の名称まで)町または字の名称までで足りる
8交通の利便(公共交通機関がない場合は記載しないことができる)徒歩は道路距離80mにつき1分で計算(施行規則第9条第9号)
9建物の主たる部分の構造、階数及び当該物件が存在する階「鉄筋コンクリート造3階建ての2階」のように書く
10建物面積又は専有面積間取り図の数値と一致させる
11建物の建築年月(工事完了前は完了予定年月)登記などの資料で確かめる
12入居可能時期退去予定の部屋は時期の見込みを書く
13賃料月額で書く
14礼金等を必要とするときはその旨及びその額「1か月」など賃料の何か月分かで書く場合も額が分かるようにする
15敷金、保証金等を必要とするときはその旨及びその額(償却をする場合は、その旨及びその額又はその割合)償却の有無を書き漏らさない
16住宅総合保険等の損害保険料等を必要とするときはその旨加入が条件なら書く
17家賃保証会社等と契約することを条件とするときはその旨及びその額保証料の額まで書く
18管理費又は共益費等賃料と同じ大きさで並べると誤解されにくい
19定期建物賃貸借であるときはその旨見落とされない位置に書く
20契約期間(普通賃貸借で契約期間が2年以上のものを除く)定期借家や2年未満の契約は書き漏らさない
21取引条件の有効期限条件表を受け取った日付と合わせて管理する
22情報公開日(又は直前の更新日)及び次回の更新予定日ポータルや自社サイトの掲載情報で特に大切

別表8(新築の賃貸で複数戸)で変わる主な点

別表8では、所在地が「地番又は住居表示」まで求められ、賃貸戸数と、駐車場・倉庫等の設備の利用条件(敷地外の駐車場はその旨と将来の取扱い)が加わります。賃料や専有面積は、パンフレット等を除き、最低と最高のみで表示できる注記があります。新築の賃貸で複数戸を募集するときは、別表8を見ながら作ります。

売買のマイソクで加わる項目

売買では、広告主の事項(1〜6)と所在地・交通は賃貸と同じ並びですが、物件の内容と取引条件の項目が変わります。よく使う3つの別表で、賃貸の別表9にない主な項目を挙げます。

別表別表9にない主な項目
別表3(売地など1区画)土地面積及び私道負担面積、地目及び用途地域、建ぺい率及び容積率、都市計画法その他の法令に基づく制限、価格、借地の場合はその旨と借地権の内容等
別表5(戸建て1戸、一棟売り)土地面積及び私道負担面積、連棟式建物であるときはその旨、宅建業法第33条に規定する許可等の処分の番号、引渡し可能年月、価格、一棟売りの場合はその旨と住戸数等
別表7(中古マンションなど)バルコニー面積、引渡し可能年月、価格、管理費及び修繕積立金等、管理形態及び管理員の勤務形態

売買の取引態様は「売主」「代理」「媒介(仲介)」の別で書きます。賃貸の図面のひな形を売買に流用すると、こうした項目が欠けやすいため、売買用のひな形は別に用意します。

広告前の12チェック

別表9の22項目と、表示規約のほかの条文を、広告前に見る12の確認にまとめました。作った人とは別の人が、募集条件表の原本と図面を照らし合わせながら使います。

番号確認すること根拠
1帯に広告主の名称、所在地、電話番号、免許証番号、所属団体名・加盟事業者である旨がそろっている別表9の1〜5
2取引態様を「貸主」「代理」「媒介(仲介)」の言葉で、自社の立場どおりに書いた宅建業法第34条第1項、施行規則第9条第1号
3所在地と交通の利便。徒歩の分数は道路距離80mにつき1分で計算した別表9の7・8、施行規則第9条第9号
4構造・階数・所在階と、面積が資料と一致している別表9の9・10
5建築年月を書いた。「新築」と書くなら、工事完了後1年未満で未入居である別表9の11、規約第18条
6賃料と管理費・共益費を書いた別表9の13・18
7礼金、敷金・保証金の額と、償却の有無・額または割合を書いた別表9の14・15
8保険の加入や保証会社との契約が条件なら、その旨(保証会社は額も)を書いた別表9の16・17
9入居可能時期、定期借家ならその旨、必要な場合は契約期間を書いた別表9の12・19・20
10取引条件の有効期限、情報公開日(または直前の更新日)と次回の更新予定日を書いた別表9の21・22
11特定事項に当たる事情があれば、見やすい場所・大きさ・色で書いた。文字は原則7ポイント以上規約第13条、施行規則第7条・第8条
12成約済みや募集停止の物件ではない。写真は取引するもの。最上級や「格安」などの言葉には根拠資料がある規約第21条、施行規則第9条第22号、規約第18条

特定事項と文字の大きさ

表示規約第13条は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境などに関する事項や、取引の相手方に不利な取引条件について、見やすい場所に、見やすい大きさ・見やすい色彩の文字で、分かりやすい表現で明瞭に表示するよう求めています。具体的な事項は施行規則第7条に並んでいます。

施行規則第7条の事項は、再建築ができない土地、がけ地、高圧電線路下、傾斜地など、土地に関わるものが中心です。賃貸マンションの1室の募集で当たることは多くありませんが、一戸建ての貸家や、売買の図面では確かめが欠かせません。

「見やすい大きさの文字」は、施行規則第8条で原則として7ポイント以上とされています。帯や条件欄に情報を詰め込むと文字が小さくなりがちです。印刷したものを手に取り、読める大きさかを確かめます。

おとり広告と情報の更新

表示規約第21条は、物件が存在しないため実際には取引できない物件、存在するが実際には取引の対象となり得ない物件、存在するが実際には取引する意思がない物件について、広告表示をすることを禁止しています。

成約済みの部屋の図面をポータルや業者間のサイトに残したままにすると、取引できない物件の表示になるおそれがあります。成約や募集停止の連絡を受けたら、どの媒体に載せたかの一覧を見て、すべてから外す手順を決めておきます。別表で取引条件の有効期限、情報公開日と次回の更新予定日が求められているのも、見る人が情報の新しさを判断できるようにするためと考えられます。

確認の流れの例

  1. 作る人が、募集条件表を受け取った日付を記録し、ひな形に沿って図面を作る。
  2. 確かめる人が、上の12のチェックを条件表の原本と照らし合わせて見る。
  3. 掲載した媒体と掲載日を一覧に残す。
  4. 条件の変更や成約の連絡が来たら、一覧に沿って全媒体を直すか外す。

ウルスタくんの募集図面(マイソク)は、物件・入居者の管理に登録した物件と同じ場所で扱えます。条件の変更や成約を物件の情報として記録しておくと、どの図面を直すべきかを追いやすくなります。

よくある質問

Q1. 業者間だけで使うマイソクにも、必要な表示事項は要りますか。

表示規約第8条の必要な表示事項は、規則で定める表示媒体を使って表示するときに求められます。業者間だけの資料のつもりでも、店頭での配布やポータルへの掲載に回すことがあるなら、最初からそろえておくほうが手戻りがありません。使い方が媒体に当たるか迷うときは、所属する公正取引協議会に確認します。

Q2. 帯替えをしたら、取引態様はどう書きますか。

別表で求められているのは広告主の取引態様です。帯替えをして自社が広告主になるなら、自社の立場(媒介など)を書きます。元の図面の取引態様のまま残さないよう注意します。

Q3. 普通借家で契約期間が2年なら、契約期間は書かなくてよいですか。

別表9の20は「普通賃貸借で契約期間が2年以上のものを除く」としているため、その場合は必要な表示事項に当たりません。書いておいても差し支えはありません。定期借家の場合は、その旨(19)と契約期間を書きます。

Q4. 保証会社の費用はどこまで書けばよいですか。

別表9の17は、家賃保証会社等と契約することを条件とするときは、その旨と額を表示事項としています。初回の保証料など、契約時にかかる額が分かるように書きます。

Q5. 情報公開日と次回の更新予定日には何を書きますか。

その情報を公開した日(または直前に更新した日)と、次に内容を見直す予定の日を書きます。予定日を書いたら、その日に条件を確かめて更新する運用とセットにします。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月7日時点の情報です。

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