マイソクは、A4 1枚を「条件」「間取り図」「写真」「会社情報(帯)」の区画に分け、お客様が問い合わせを決めるのに要る順に並べると作りやすくなります。反響は、媒体ごとに入口を分けて記録し、一度に1か所だけ変えて比べます。この記事では、レイアウトの型、写真と間取り図の置き方、キャッチコピーの決まり、反響の記録表と計算の仕方を順に説明します。
マイソクの役割と、作る前にそろえる資料
マイソクは、物件の概要・間取り図・写真・取引条件を1枚にまとめた募集図面です。業者間で物件を紹介する資料として使われるほか、店頭の掲示、お客様への配布、ポータルサイトへの画像の掲載にも使われます。
お客様の目に触れる使い方をするなら、その図面は広告の表示です。不動産の表示に関する公正競争規約(以下、表示規約)は第4条で、表示の媒体としてインターネット広告、チラシ・パンフレット・説明書面、ポスター・看板などを広く挙げています。業者向けの資料のつもりで作っても、そのまま配る可能性があるなら、広告として通用する内容で作っておくと手戻りがありません。
作る前にそろえる資料
図面の誤りの多くは、元になる資料が古い、または資料と現地が違うことから起きます。作り始める前に、次の資料を手元にそろえます。
| 資料 | 図面に使う項目 | 注意すること |
|---|---|---|
| 貸主・管理会社の募集条件表 | 賃料、管理費・共益費、敷金・礼金、保証会社や保険の要否、契約期間、入居可能時期 | 条件は変わるため、受け取った日付を控えておく |
| 登記事項証明書や建物の資料 | 構造、階数、建築年月、面積 | 募集条件表の数値と食い違いがないか照らし合わせる |
| 間取りの元図面 | 部屋の形、窓、収納、設備の位置 | リフォームで変わっていないか、内見のときに現地で確かめる |
| 現地で撮った写真 | 居室、水回り、収納、眺望、共用部 | 取引する部屋そのものを撮る |
| 周辺の地図 | 最寄り駅、バス停、道路距離 | 徒歩の分数は直線距離ではなく道路距離から出す |
A4 1枚のレイアウトは区画で考える
縦置きのA4を例にします。区画の大きさは物件に合わせて変えて構いませんが、置く順番を社内で決めておくと、作る人が変わっても見る人が迷いません。
| 区画 | 置くもの | 作るときの注意 |
|---|---|---|
| 上段(見出し) | 物件名、賃料、管理費・共益費、敷金・礼金、最寄り駅と徒歩分数、キャッチコピー | 月々の支払いが一目で分かるように、管理費を下の段に隠さない |
| 中段の左(間取り図) | 間取り図、方位、専有面積、間取りのタイプ | 図面に書いた面積と条件欄の面積を一致させる |
| 中段の右(写真) | 居室、水回り、収納などの写真 | 写真ごとに部屋名を付け、間取り図と同じ言葉を使う |
| 下段(条件・設備) | 構造・階数・所在階、建築年月、入居可能時期、契約期間、保証会社・保険、設備 | 費用がかかる条件は金額まで書く |
| 最下部(帯) | 広告主の名称、所在地、電話番号、免許証番号、所属団体、取引態様 | 差し替えを前提に、ほかの区画と重ならない高さで固定する |
上段は「家賃以外に毎月いくらかかるか」まで見せる
見る人が最初に比べるのは月々の支払いです。賃料の隣に管理費・共益費を同じ大きさで置くと、総額を誤解されにくくなります。表示規約の施行規則は、第9条第40号で賃料の、第41号で管理費の表示方法を定めています。
礼金と敷金も上段に置くと比べやすくなります。表示規約の別表9(賃貸住宅1戸の募集)は、礼金等や敷金・保証金等を必要とするときは、その旨と額を表示事項としています。敷金を償却する場合は、その旨と額または割合も表示事項です。
中段は間取り図と写真を左右に分ける
間取り図と写真を混ぜて配置すると、どの写真がどの部屋か分かりにくくなります。間取り図を片側にまとめ、写真の下に「洋室」「キッチン」のように部屋名を付けます。部屋名は間取り図の表記と同じ言葉にそろえます。
下段の設備は、アイコンより文字で条件まで書く
設備アイコンは一覧性がよい一方で、「エアコン(洋室のみ)」「インターネット(回線の種類と費用の負担)」のような条件までは伝わりません。条件があるものは文字で補います。設備の内容を実際より良く見せる表示は、表示規約第23条が禁じる不当表示に当たるおそれがあります。
帯(会社情報)は差し替え前提で作る
業者間で流通させる図面は、客付けをする会社が下部の会社情報を自社のものに差し替えて使う「帯替え」がよく行われます。帯の高さを固定し、ほかの情報と重ならないように作っておくと、差し替えた後に必要な表示が欠けません。
帯に載せる広告主の名称、所在地、電話番号、免許証番号、所属団体名と公正取引協議会加盟事業者である旨、取引態様は、表示規約の別表で必要な表示事項とされています。取引態様の明示は宅地建物取引業法第34条第1項でも求められています。
写真は「判断に要る順」に並べる
写真は枚数より順番が大切です。内見の前にお客様が確かめたいのは、部屋の広さと明るさ、水回りの状態、収納の量です。並べ方の例を示します。
| 順番 | 写真 | ねらい |
|---|---|---|
| 1 | 主な居室(入口側から窓に向けて) | 広さと日当たりを最初に伝える |
| 2 | キッチン | コンロの口数や作業スペースを見せる |
| 3 | 浴室・洗面所・トイレ | 水回りの状態と、別か一緒かを見せる |
| 4 | 収納 | 扉を開けた状態で奥行きを見せる |
| 5 | バルコニー・眺望 | 洗濯物を干せるか、前に何があるかを見せる |
| 6 | 外観・エントランス・共用部 | 建物の管理状態を見せる |
撮るときの決まり
表示規約の施行規則第9条第22号は、宅地または建物の写真・動画は取引するものを表示することとしています。建築工事の完了前などで取引する建物の写真を使えない事情があるときに限り、一定の条件のもとで他の建物の写真を使える例外があります。
入居中で撮影できない、清掃前で見栄えが悪いといった理由で、別の部屋の写真を使いたくなる場面があります。例外の条件に当たるかを確かめ、当たらないなら使わないのが原則です。判断に迷うときは、所属する地区の公正取引協議会に相談します。
加工は「見やすくする」範囲にとどめる
明るさや傾きの補正は、見やすくするための作業です。一方で、壁のしみや設備の傷を消す、窓の外の景色を差し替える、広角で撮って実際より広く見せるといった加工や撮り方は、実際より良いと誤認させる表示になりかねません。表示規約第23条は、物件の内容について実際のものよりも優良と誤認されるおそれのある表示を禁止しています。
間取り図は「暮らす様子」が想像できるように描く
間取り図は、写真で伝えきれない部屋のつながりと広さを補うものです。次の要素が入っているかを確かめます。
- 方位記号
- 窓・掃き出し窓・玄関の位置と、建具の開き方
- 収納(クローゼット、押入れ、下駄箱)の位置と扉の種類
- 洗濯機置場と冷蔵庫置場の位置(室内か屋外か)
- エアコンの位置
- 部屋ごとの広さと、専有面積(㎡)
専有面積の数値は、募集条件表や建物の資料と一致させます。表示規約の施行規則は第9条で、面積をメートル法で表示することなどの基準を定めています。
元の図面が古いと、リフォームで間取りや設備の位置が変わっていることがあります。内見や撮影のときに図面を持って行き、違いがないかを現地で確かめます。
キャッチコピーは確かめられる事実から作る
キャッチコピーは、写真や条件表だけでは伝わりにくい特徴を1行で示すものです。「南向き・2面採光」「ペット相談可(小型犬1匹まで)」のように、確認できる事実を短く書きます。条件付きの特徴は、条件も一緒に書きます。
使い方に基準がある言葉
表示規約には、特定の言葉の使い方を定めた条文があります。キャッチコピーでよく使う言葉を挙げます。
| 言葉 | 表示規約での扱い |
|---|---|
| 新築 | 建築工事完了後1年未満で、居住の用に供されたことがないもの(第18条) |
| 最高、最高級、極、特級など | 表示内容を裏付ける合理的な根拠を示す資料を現に持っている場合を除き、使えない(第18条) |
| 格安、激安、破格など | 同じく、合理的な根拠を示す資料がなければ使えない(第18条) |
| 徒歩○分 | 道路距離80mにつき1分として計算した数値を表示する(施行規則第9条第9号) |
「駅近」「日当たり良好」のような言葉も、裏付けがなければ見る人の期待とずれます。徒歩の分数や向き、階数のように、確かめられる数字や事実に置き換えると誤解が起きにくくなります。
賃貸・売買の構成例
同じ区画の考え方で、賃貸と売買のマイソクを作ると次のようになります。
| 区画 | 賃貸の場合 | 売買の場合 |
|---|---|---|
| 見出し | 賃料、管理費・共益費、敷金・礼金 | 価格、マンションなら管理費・修繕積立金 |
| 図面 | 間取り図、専有面積 | 間取り図、専有面積または土地・建物の面積 |
| 写真 | 居室、水回り、収納 | 外観、居室、水回り、周辺環境 |
| 条件 | 入居可能時期、契約期間、定期借家かどうか、保証会社・保険 | 引渡し可能年月、借地の場合はその内容、マンションなら管理形態 |
| 帯 | 広告主の事項、取引態様 | 広告主の事項、取引態様 |
載せなければならない事項の全体は、物件の種別ごとに表示規約の別表で決まっています。項目ごとの確認は「マイソクの記載事項|表示規約の必要表示事項と広告前の12チェック」で、別表に沿って整理しています。図面をスマホで見られる前提で組み直す方法は「スマホ向けマイソクの作り方」にまとめています。
反響の測り方
反響を比べるには、「何を反響と数えるか」と「どの媒体から来たか」を先に決めます。ここがあいまいなまま図面を変えても、良くなったのかどうかが分かりません。
反響の段階を分けて数える
| 段階 | 数え方の例 | 記録する場所 |
|---|---|---|
| 閲覧 | ポータルの管理画面に出る詳細ページの閲覧数 | 各媒体の管理画面から月に1回など決まった日に転記 |
| 問い合わせ | 電話・メール・フォーム・LINEの件数(同じ人の重複は1件) | 顧客管理の台帳 |
| 内見予約 | 内見の日時が決まった件数 | 顧客管理の台帳 |
| 申込 | 申込書を受け取った件数 | 顧客管理の台帳 |
図面の出来が表れやすいのは、閲覧から問い合わせまでの段階です。申込は賃料や入居時期など図面以外の事情に左右されるため、図面の評価に使うと判断を誤りやすくなります。
媒体ごとに入口を分ける
- 配布用の図面にQRコードを載せるなら、媒体ごとに別のURLにします(URLの末尾に媒体名の引数を付けるなど)。
- 電話では、最初に「何をご覧になりましたか」と聞き、顧客管理の項目に残します。
- 業者間で流通させた図面から客付けの連絡があったときは、どの会社からかを記録します。
記録表の例
| 列 | 書く内容 |
|---|---|
| 物件・部屋 | 物件名と部屋番号 |
| 図面の版 | v1(変更前)、v2(変更後)のように版を分ける |
| 変えた箇所 | 写真の順番、キャッチコピーなど1か所だけ |
| 掲載期間 | 開始日と終了日 |
| 閲覧数・問い合わせ数・内見予約数 | 上の表の数え方で集計した数 |
| 図面以外の変化 | 賃料の改定、近くの競合物件の増減、掲載プランの変更など |
仮の数字で計算例を示します
ある部屋の図面を、変更前(v1)と変更後(v2)でそれぞれ2週間掲載したと仮定します。v1は詳細ページの閲覧400回・問い合わせ6件、v2は閲覧380回・問い合わせ9件でした。問い合わせ率は、v1が6÷400=1.5%、v2が9÷380≒2.4%です。
ただし、この程度の件数の差は偶然でも起こりえます。1部屋の結果だけで決めず、同じ変更を複数の部屋で試すか、期間を延ばして件数を増やしてから判断します。
一度に1か所だけ変える
写真の順番、キャッチコピー、間取り図の描き方を同時に変えると、どれが効いたのか分かりません。変える箇所は1回に1つにします。賃料や初期費用を同時に変えた場合は、図面の比較からは外します。繁忙期と閑散期をまたぐ比較も、季節の影響が混ざるため避けます。
配布前の最終確認
- 図面の金額・面積・建築年月が、最新の募集条件表と一致しているか
- 帯に広告主の事項と取引態様がそろっているか
- 写真が取引する部屋のものか
- 成約済みや募集を止めた部屋の図面が、どの媒体にも残っていないか(表示規約第21条はおとり広告を禁止しています)
- 取引条件の有効期限、情報公開日と次回の更新予定日を書いたか(別表9の表示事項です)
- 小さな文字で大切な条件を書いていないか(表示規約で「見やすい大きさの文字」とされるものは、施行規則第8条で原則7ポイント以上)
ウルスタくんには、物件・入居者の管理、募集図面(マイソク)、業者間流通(ウルスタBB)、顧客管理の機能があります。物件の条件、図面、問い合わせの記録を同じ場所で扱うと、上の記録表のような版ごとの比較がしやすくなります。作成に使う道具の選び方は「マイソク作成ソフト比較2026」にまとめています。
よくある質問
Q1. マイソクはWordやExcelで作っても問題ありませんか。
作る道具についての決まりはありません。大切なのは、必要な表示事項がそろっていることと、表示規約の表示基準に沿っていることです。帯の差し替えや版の管理がしやすい形式を選びます。
Q2. 写真は何枚載せればよいですか。
枚数の決まりはありません。紙面が限られるマイソクでは、居室・水回り・収納の順に、判断に要る写真を優先します。載せきれない写真は、ポータルの掲載ページなどに回します。
Q3. 反響が少ないとき、最初に何を見直せばよいですか。
閲覧数が少ないのか、閲覧はあるのに問い合わせが少ないのかで分けます。閲覧が少ないなら、一覧に出る1枚目の写真や賃料などの掲載条件を見直します。閲覧はあるのに問い合わせが少ないなら、図面の中身(写真の順番、月々の支払いの見せ方、条件の書き方)を1か所ずつ見直します。
Q4. 他社から受け取った図面を帯替えして使うときの注意は何ですか。
貸主や元付けの会社が広告を認めているかを先に確かめます。帯には自社の名称や免許証番号と、自社の立場での取引態様(媒介など)を書きます。条件が変わっていないか、使う前に元付けの会社に確認します。
Q5. 「新築」と書けるのはいつまでですか。
表示規約第18条では、建築工事完了後1年未満で、居住の用に供されたことがないものを新築としています。完了後1年未満でも、一度でも人が住んだ部屋は新築と書けません。
出典(本文で参照している資料)
- 不動産公正取引協議会連合会「公正競争規約の紹介」
- 不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則(PDF)
- 不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 別表1〜10(PDF)
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)
この記事は2026年10月7日時点の情報です。

