主担当(しゅたんとう)は、その仕事を中心になって進め、結果まで責任を持つ人のことで、副担当(ふくたんとう)は主担当を補い、不在のときに代わって対応する人のことです。言い換えるなら、主担当は「メイン担当」「担当責任者」、副担当は「サブ担当」「補佐」が近い言葉です。この記事では、読み方・意味・言い換え例・使い分けを先に整理し、そのうえで不動産仲介・管理のチームで主担当と副担当をどう分けるかを、宅地建物取引業法などの決まりに沿って説明します。
主担当・副担当の読み方と意味
読み方
「主担当」は「しゅたんとう」、「副担当」は「ふくたんとう」と読みます。社内では「主担当」を縮めて「主担(しゅたん)」、「副担当」を「副担(ふくたん)」と呼ぶこともあります。縮めた形は社内の言い方なので、お客様あての文書やメールでは「主担当」「担当」と書くほうが伝わります。
意味
| 用語 | 読み方 | 意味 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 主担当 | しゅたんとう | その仕事を中心になって進め、結果に責任を持つ人 | 方針を決める、お客様との主な窓口になる、期限を管理する |
| 副担当 | ふくたんとう | 主担当を補い、不在のときに代わって対応する人 | 進み具合を把握する、決められた範囲で代わりに判断する、作業を分担する |
| 主担(略) | しゅたん | 主担当を縮めた社内の言い方 | 主担当と同じ |
ポイントは、主担当は「1つの仕事につき1人」に決めることです。主担当が2人いると、どちらが決めるのかが曖昧になります。副担当は1人とは限りませんが、増やすほど「誰かが見ているだろう」という状態になりやすいので、まずは1人で考えるのが分かりやすい形です。
例文
- 「この物件の売却は、田中さんが主担当、佐藤さんが副担当で進めます。」
- 「主担当が休みの日は、副担当が入居者からの連絡を受けます。」
- 「契約までの日程は主担当が決め、書類の準備は副担当が受け持ちます。」
言い換え例と使い分け
主担当の言い換え
- メイン担当:社内外どちらでも通じやすい、柔らかい言い方です。
- 担当責任者:責任の所在をはっきりさせたいとき、お客様あての書面で使いやすい言い方です。
- 正担当:「正・副」の組み合わせで使います。官公庁や大きな組織の名簿で見かける形です。
- リード、プロジェクトリーダー:複数人のチームで、まとめ役を指すときに使います。
- 英語では「main person in charge」「primary contact」などと表します。
副担当の言い換え
- サブ担当:メイン担当と組にして使います。
- 補佐、サポート担当:主担当を手伝う役割を強調する言い方です。
- 代理担当、バックアップ担当:不在時に代わる役割を強調する言い方です。
- 英語では「secondary contact」「backup」などと表します。
使い分けの目安
社内の割り振り表では「主担当・副担当」で十分です。お客様に向けては、役割が伝わる言い方に直します。たとえば「担当の田中です。私が不在のときは佐藤が対応します」のように、名前と「不在時に誰が出るか」を一緒に伝えると、副担当という言葉を使わなくても意味が通じます。
「主担当・副担当」と「メイン・サブ」を同じ社内で混ぜて使うと、新しく入った人が別の役割だと受け取ることがあります。社内ではどちらか1つにそろえておきます。
「担当者」「責任者」「窓口」との違い
| 言葉 | 指す人 | 主担当との違い |
|---|---|---|
| 担当者 | その仕事に関わる人全般 | 主担当も副担当も「担当者」に含まれます。1人しかいなければ、担当者=主担当です |
| 責任者 | 部署や業務全体に責任を持つ人(上司、店長など) | 主担当は1件ごとの責任、責任者は複数の案件や部署全体の責任です。主担当の判断を超える事柄は責任者が決めます |
| 窓口 | 連絡を受ける人や部署 | 窓口は連絡を受けて振り分けるだけのこともあります。主担当は受けたあと自分で進めます |
| 業務管理者・専任の宅地建物取引士 | 法律で置くことが決められている人 | 社内の呼び名ではなく、法律上の役割です。次の章で説明します |
不動産会社で主担当と副担当を置く理由
不動産の仕事は、1件が数週間から数か月続きます。売買の仲介なら査定から引渡しまで、賃貸管理なら管理を受けている間ずっと、同じお客様とのやりとりが続きます。その間に担当者が休む、体調を崩す、退職することは避けられません。
担当を1人だけにしておくと、その人がいない日は「担当が戻りましたら折り返します」としか言えなくなります。入居者からの設備の不具合や漏水の連絡は待ってもらえないこともあり、オーナーにとっても、話の通じる人が1人しかいない状態は不安の種になります。
もう1つの理由は、不動産の仕事の一部が、資格を持つ人にしかできないことです。主担当が資格を持っていない場合、資格者を副担当に組み合わせておかないと、契約の直前に説明できる人がいないという事態になります。
資格が必要な仕事と担当の組み合わせ
主担当・副担当は社内の呼び名なので、法律に定めはありません。一方で、宅地建物取引業法と賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)には、「誰がしなければならないか」が決まっている仕事があります。役割分担はこの決まりを先に押さえてから考えます。
| 仕事 | 決まり | 担当を決めるときの注意 |
|---|---|---|
| 重要事項の説明 | 宅地建物取引業法35条1項は、契約が成立するまでに「宅地建物取引士をして」書面を交付して説明させることを求めています。説明のときは宅地建物取引士証を示し(同条4項)、書面に記名します(同条5項) | 主担当が宅地建物取引士でなければ、副担当か別の宅地建物取引士が説明します。説明する人を早めに決めておきます |
| 契約成立後の書面(いわゆる37条書面) | 同法37条3項は、交付する書面に宅地建物取引士が記名することを求めています | 記名する人と、内容を確かめる人を決めておきます |
| 事務所の宅地建物取引士の数 | 同法31条の3第1項と施行規則15条の5の3により、事務所ごとに、業務に従事する人の5分の1以上の割合で専任の宅地建物取引士を置きます | 人の入れ替えで割合を下回ると、同法31条の3第3項により2週間以内に手当てが必要です |
| 賃貸住宅管理業の業務管理者 | 賃貸住宅管理業法12条1項は、営業所・事務所ごとに1人以上の業務管理者を選ぶことを求め、同条3項は、他の営業所・事務所の業務管理者を兼ねることを認めていません | 業務管理者は、施行規則13条が定める事項(管理受託契約の説明と書面、定期報告、秘密の保持、入居者からの苦情の処理など)を管理・監督する立場です。主担当・副担当の上に立つ確認役として位置づけます |
賃貸住宅管理業法の登録が必要になるのは、管理する賃貸住宅が200戸以上の事業者です(同法3条1項ただし書、施行規則3条)。200戸未満で登録していない会社でも、業務管理者の仕事の中身は、管理の質を保つ目安として参考になります。
組み合わせの基本は、「資格が必要な場面に、資格者が少なくとも1人いる組」にすることです。たとえば主担当が入社2年目で宅地建物取引士の資格を持っていなければ、副担当に宅地建物取引士を置けば、重要事項の説明でつまずきません。
役割分担の決め方(手順の例)
ここからは、法律で決まっていることではなく、筆者が実務で考えている手順の例です。会社の規模や人数に合わせて変えてください。
- 仕事を書き出す:1件の流れ(問い合わせ、案内、申込み、重要事項の説明、契約、引渡し、入居中の対応、更新、退去)を書き出します。
- 決める人を決める:各工程で「主担当が決めること」と「副担当が代わりに決めてよいこと」を分けます。
- 資格の要件を当てはめる:前の章の表に当たる工程に、資格者が入っているかを確かめます。
- 組を決める:経験の長い人と短い人、資格のある人とない人を組み合わせます。
- お客様に伝える:最初の連絡で「担当」と「不在時に対応する人」の名前を伝えます。
- 記録の置き場所を決める:副担当がいつでも経過を読めるよう、記録を個人のメモ帳やメールの受信箱ではなく、共有の場所に残します。
業務ごとの分け方の例
| 業務 | 主担当が受け持つこと | 副担当が受け持つこと |
|---|---|---|
| 賃貸仲介 | 条件の聞き取り、物件の提案、申込みの調整 | 案内の代行、書類の準備、主担当不在時の連絡 |
| 売買仲介 | 媒介契約、価格の相談、買主との交渉 | 物件調査の補助、販売図面の作成、日程の調整 |
| 賃貸管理(物件ごと) | オーナーへの報告と提案、修繕の判断、更新の相談 | 入居者からの連絡の受付、業者の手配、入金の確認 |
| 管理受託の新規契約 | オーナーへの提案、契約条件の調整 | 説明書面と契約書面の準備、物件情報の登録 |
副担当が判断してよい範囲を書いておく
副担当が動けない理由の多くは、「どこまで自分で決めてよいか分からない」ことです。主担当の不在時に副担当が決めてよい範囲を、あらかじめ文章にしておきます。
- 決めてよい例:内見日程の変更、業者の手配(会社の決めた金額の範囲内)、書類の再送、入居者への一次回答
- 主担当に確認する例:価格や条件の変更、オーナーの費用負担が生じる判断、契約の解除にかかわる話
- 責任者に上げる例:事故・けが、法的な争いになりそうな申し出、個人情報の漏えい
修繕費のように金額で線を引ける判断は、金額の上限を決めておくと迷いが減ります。上限の額は、オーナーとの管理受託契約で決めている承認の範囲に合わせます。
記録の共有と引継ぎ
副担当が役に立つかどうかは、記録で決まります。主担当の頭の中にしかない情報は、副担当が代わりに対応する場面で使えません。
1件ごとに残しておく項目の例
- お客様の名前、連絡先、連絡しやすい時間帯と手段
- 案件の目的と希望条件、決まったこと、まだ決まっていないこと
- 直近のやりとりの日付と内容、次にすることと期限
- オーナーや取引先との約束事(承認の範囲、報告の頻度など)
- 注意点(過去の申し出、配慮が必要なことなど)
個人情報の扱い
記録を共有するときは、個人情報の扱いにも気を配ります。個人情報の保護に関する法律23条は、個人データの漏えいなどを防ぐための安全管理措置を、24条は従業者に対する監督を、事業者に求めています。共有する範囲は担当する人に絞り、持ち出しやコピーのルールを決めておきます。賃貸住宅管理業法21条2項も、従業者が業務で知った秘密を正当な理由なく漏らすことを禁じています。
引継ぎのときに確かめること
- 進行中の案件の一覧と、それぞれの次の期限
- お客様に伝えている約束(折り返しの日、見積もりの提出日など)
- お客様への担当交代の連絡を、誰がいつするか
- 鍵、書類の原本、共有フォルダの場所
主担当・副担当の組があると、退職や異動のときに副担当がそのまま主担当になれるので、引継ぎの負担が小さくなります。
ウルスタくんでは、物件・入居者の管理と顧客管理の画面に、やりとりの経過を担当者以外も見られる形で残せます。主担当が不在の日に副担当が入居者やオーナーから連絡を受けても、直近の経過を見てから答えられます。
うまく回らないときの見直し方
副担当が名前だけになっている
副担当が経過を知らないまま、主担当の不在時だけ呼ばれる状態です。週に1回、主担当と副担当が進行中の案件を一緒に見る短い時間をとると、副担当が経過を追えるようになります。
お互いに相手がやると思っている
「どちらがやるか」が決まっていない作業が残っている状態です。仕事の書き出しに戻り、作業ごとに担当を1人に決め直します。
お客様が誰に連絡すればよいか迷う
2人から別々に連絡が来ると、お客様は混乱します。お客様への連絡は原則として主担当がまとめ、副担当が連絡するのは不在時と決めた用件に限ると、窓口が1つに見えます。
主担当に仕事が集まりすぎる
副担当がいても、判断がすべて主担当に戻ってくるなら、負担は減りません。副担当が決めてよい範囲を広げられないか、上の「判断してよい範囲」を見直します。
このテーマの全体像は「不動産CRM完全ガイド|6サービス比較と導入手順」にまとめています。
よくある質問
Q1. 主担当と担当責任者は同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味で使われます。「担当責任者」は責任を持つことを強調した言い方で、お客様あての書面に向いています。社内で上司を「責任者」と呼んでいる場合は、主担当と混同しないよう、どちらかの呼び方をそろえてください。
Q2. 「主担」という略し方は失礼になりますか?
社内の会話やメモでは問題ありません。お客様や取引先あての文書では、略さずに「主担当」または「担当」と書くほうが丁寧で、意味も伝わります。
Q3. 副担当は何人置けばよいですか?
決まりはありません。まずは1人で始め、案件の規模が大きい場合や専門の作業が多い場合に、作業ごとの担当を足す形が分かりやすいでしょう。副担当を増やすときも、主担当は1人のままにします。
Q4. 社員が少ない会社でも主担当・副担当は必要ですか?
人数が少ないほど、1人が休んだときの影響は大きくなります。2人の会社なら、お互いが相手の案件の副担当になる形でも、不在時に経過を読める状態は作れます。宅地建物取引士が1人しかいない場合は、その人が不在の日に重要事項の説明を入れないよう、日程の決め方も合わせて考えます。
Q5. 主担当は宅地建物取引士でないといけませんか?
主担当という役割に資格の決まりはありません。ただし、重要事項の説明(宅地建物取引業法35条)と37条書面への記名は宅地建物取引士の仕事です。主担当が資格を持っていない場合は、資格者を副担当にするなどして、その場面に宅地建物取引士が入るようにします。
出典(本文で参照している資料)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第31条の3・第35条・第37条)
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(第15条の5の3)
- e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(第3条・第12条・第21条)
- e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(第3条・第13条)
- e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第23条・第24条)
この記事は2026年10月7日時点の情報です。
