統計・市場データ 読了 24分

中古の売買は、個人と法人で別の市場になっています——同じ登記データで個人125.0、法人269.0です

同じ日に、同じ課から、同じ登記データを元にした2本の指数が出ました。個人が買った中古住宅は125.0、法人が買った既存建物は269.0。基準はどちらも2010年平均=100です。16年で個人は1.25倍、法人は2.69倍。戸建にいたっては個人1.25倍に対して法人3.55倍です。そしてもう一つ。先月「前月比1.3%減」と公表された4月の数字は、今回の資料の中で「0.6%減」に書き換わっています。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
既存住宅販売量指数 令和8年5月|個人125.0・法人269.0
目次

令和8年8月31日、国土交通省が「既存住宅販売量指数」と「法人取引量指数」の令和8年5月分を同時に公表しました。どちらも不動産・建設経済局不動産市場整備課が出していて、元になっているデータも同じ「建物の売買を原因とした所有権移転登記」です。基準もそろえてあり、どちらも2010年(平成22年)平均=100。違うのは、買った人が個人か法人かだけです。その結果が、個人125.0、法人269.0でした。同じ市場を同じ物差しで測って、2倍以上の差がついています。

8月31日に出た2本は、どちらも「5月」の数字です

まず、いつの話なのかを押さえます。令和8年8月31日に公表されたのは、令和8年5月分です。3か月前の月の数字が、いま出てきています。

公表日対象月ずれ
令和8年8月31日令和8年5月3か月
令和8年7月31日令和8年4月3か月
令和8年6月30日令和8年3月3か月

3か月のずれは、この2本にずっとついて回ります。登記が完了してデータになるまでに時間がかかるためですが、その理由は資料に書かれていないので、本稿も断定しません。確かめられるのは、公表日と対象月の間が毎回3か月あいているという事実です。

同じ8月末に出た建築着工統計は令和8年7月分でした。ずれは1か月です。不動産の統計は、同じ月に公表されても見ている月がそろっていません。社内で並べるときは、必ず「何月の数字か」を先に書いてください。

【要点】3つの数字と、3つの読み違え

数字中身やりがちな読み違え
125.0既存住宅販売量指数(個人が買った中古住宅)の令和8年5月・季節調整値「中古は1.25倍に伸びた」とは言えても、それは2010年との比較です。直近1年は減っています
269.0法人取引量指数(法人が取得した既存建物)の同月・季節調整値個人の指数と足し算はできません。法人側には非住宅が入り、個人側には入りません
100.2個人のマンション取得のうち、床面積30平方メートル未満を除いた指数「中古マンションが伸びている」の中身です。30平方メートル以上に限れば2010年とほぼ同じ水準です

令和8年5月の数字を、そのまま並べます

既存住宅販売量指数(個人が購入した中古住宅)

区分指数(季節調整値)前月比前年同月比(本稿の計算)
合計(戸建・マンション)125.03.5%減6.37%減
合計(30平方メートル未満のマンションを除く)114.32.9%減5.85%減
戸建住宅124.63.4%減4.59%減
マンション124.24.4%減8.07%減
マンション(30平方メートル未満を除く)100.24.1%減7.65%減

法人取引量指数(法人が取得した既存建物)

区分指数(季節調整値)前月比前年同月比(本稿の計算)
合計(戸建・マンション・非住宅)269.05.2%減5.01%減
住宅合計(戸建・マンション)299.55.7%減2.41%減
戸建住宅355.06.2%減1.06%減
マンション250.64.2%減4.02%減
非住宅215.28.1%減11.59%減

前年同月比は、どちらの資料にも載っていません。資料が示すのは前月比だけです。上の表の前年同月比は、資料に添付された月次の時系列(令和7年5月と令和8年5月の季節調整値)から本稿が計算しました。

同じ登記データなのに、個人125.0・法人269.0です

ここが本稿でいちばん言いたいところです。2つの指数は基準年が同じ(2010年平均=100)で、元データも同じ登記です。だから、指数の水準そのものを「2010年の何倍か」として並べられます。

買った主体令和8年5月の指数2010年の何倍か
個人(中古住宅)125.01.250倍
法人(住宅のみ)299.52.995倍
法人(住宅+非住宅)269.02.690倍

16年間で、個人の中古住宅取得は25%増えました。同じ16年間で、法人の中古住宅取得はほぼ3倍になっています。269.0 ÷ 125.0 = 2.152。この割り算は資料に載っていないので、本稿の計算です。

「中古市場が伸びている」という話は、この2本を分けずに聞くと、実態より個人寄りに聞こえます。伸びの大半は法人側で起きています。

いちばん差が開いているのは、戸建です

種別個人法人法人 ÷ 個人(本稿の計算)
戸建住宅124.6355.02.849倍
マンション124.2250.62.018倍
マンション(30平方メートル未満除く)100.2254.52.540倍

法人の中古戸建取得は、2010年の3.55倍です。個人は1.25倍。マンションより戸建のほうが、はるかに開いています。買取再販・賃貸用の一棟取得・社宅など、どの内訳が効いているかは指数からは分かりませんので、本稿は理由を特定しません。分かるのは、戸建の買い手構成が2010年と別物になっているという事実です。

中古住宅の移転登記の36.1%は、法人が取得しています

指数だけでは「多いのか少ないのか」が掴めません。両方の資料には、季節調整前のサンプル数(=集計に使った登記の件数)が載っています。これを並べると、市場の形が見えます。

令和8年5月(原系列・件数)個人法人法人の割合(本稿の計算)
住宅 合計26,63715,04236.09%
戸建住宅13,7128,39637.98%
マンション12,9256,64633.96%
うちマンション(30平方メートル未満を除く)9,3145,20735.86%
非住宅(対象外)5,314
法人の総計(住宅+非住宅)20,356

中古住宅の移転登記10件のうち、3.6件は法人が買っています。そしてこの割合は上がり続けています。

時点個人法人(住宅)法人の割合(本稿の計算)
2020年1月19,1508,74731.35%
2021年5月22,96110,71431.82%
2026年5月26,63715,04236.09%

6年余りで4.74ポイント上がっています。査定で競合するのが同業の仲介だけではない、という実感が数字になっています。

個人のマンションは、30平方メートル以上に限ると2010年と同じ水準です

既存住宅販売量指数は、マンションについて30平方メートル未満を含んだ数値と、除いた数値の両方を出しています。資料は理由をこう書いています。「個人による床面積30平方メートル未満のワンルームマンション取得が増大している現状に鑑み」。

個人のマンション取得2020年1月2026年5月
指数(30平方メートル未満を含む)112.8124.2
指数(30平方メートル未満を除く)100.1100.2
2つの比(本稿の計算)1.127倍1.240倍
件数(マンション全体 / 30平方メートル未満を除く)10,088 / 7,73412,925 / 9,314
件数に占める30平方メートル未満(本稿の計算)23.33%27.94%

30平方メートル以上のマンションを個人が買う量は、2026年5月時点で100.2。2010年平均とほぼ同じです。指数が124.2まで伸びて見えるのは、そこに30平方メートル未満が乗っているからです。

実務では、これは「実需の話」と「ワンルーム投資の話」を混ぜないという意味になります。ファミリー向けの中古マンション仲介の母数は、指数が言うほど増えていません。

前年同月比で見ると、減っているのは主に個人のほうです

前月比だけを見ると、5月は個人3.5%減・法人5.2%減で、法人のほうが強く落ちています。ところが1年前と比べると順番が入れ替わります。

区分令和7年5月令和8年5月前年同月比(本稿の計算)
個人 合計133.5125.06.37%減
個人 合計(30平方メートル未満除く)121.4114.35.85%減
個人 戸建130.6124.64.59%減
個人 マンション135.1124.28.07%減
個人 マンション(30平方メートル未満除く)108.5100.27.65%減
法人 合計283.2269.05.01%減
法人 住宅合計306.9299.52.41%減
法人 戸建358.8355.01.06%減
法人 マンション261.1250.64.02%減
法人 非住宅243.4215.211.59%減

法人の戸建取得は、1年前とほぼ変わっていません(1.06%減)。個人のマンション取得は8.07%減っています。単月の前月比は主体の順位を逆に見せることがあります。1年前と比べる癖をつけてください。

先月出た数字は、今月の資料の中で書き換わっています

本稿でいちばん実務に効くのは、ここです。7月31日に「令和8年4月分」として公表された数値と、8月31日の「令和8年5月分」の資料に載っている4月の数値が、一致していません。

令和8年4月の季節調整値7月31日 公表時8月31日 資料内
既存住宅販売量指数 合計128.8129.6+0.8
同 戸建住宅128.3128.9+0.6
同 マンション129.2129.9+0.7
法人取引量指数 合計281.6283.7+2.1
同 住宅合計314.2317.5+3.3
同 戸建住宅376.4378.6+2.2
同 マンション258.7261.6+2.9
同 非住宅234.4234.0−0.4

水準が動いたので、そこから出る前月比も動きます。

令和8年4月の前月比公表時の見出し改定後(本稿の計算)
既存住宅販売量指数 合計1.3%減0.6%減
法人取引量指数 合計2.7%減2.1%減
法人取引量指数 戸建0.8%増1.2%増

「前月比1.3%減」は、1か月で「0.6%減」になりました。減り幅が半分以下です。しかも既存住宅販売量指数の資料には「各数値は確報値」と明記されています。確報値と書いてあっても動きます。

なぜ動いたのかは、どちらの資料にも書かれていません。本稿も理由を断定しません。確かめられるのは「動いた」という事実だけです。実務への含意は単純で、単月の前月比を根拠に営業方針を変えないこと。使うなら、指数の水準と、1年前との比較です。

季節調整値と原系列で、3月と5月の差が9.6倍ちがいます

どちらの資料も、季節調整値と原系列の両方を出しています。個人の合計で並べます。

令和8年季節調整値原系列
3月130.4165.8
4月129.6131.5
5月125.0117.2
3月 ÷ 5月(本稿の計算)1.043倍(4.3%)1.415倍(41.5%)

原系列で見れば、3月の登記は5月の1.42倍あります。季節調整値では1.04倍です。差は9.6倍。現場の繁忙感に近いのは原系列のほうで、市場の基調に近いのは季節調整値のほうです。人員配置や広告出稿の山谷を決めるときは原系列、方針を決めるときは季節調整値。使い分けないと、どちらも実感と合いません。

同じ月・同じ県で、個人と法人が逆に動いています

全国値は平均です。県別の前月比を見ると、同じ月に真逆のことが起きています。

令和8年5月・前月比個人のマンション法人のマンション
愛知県指数152.2(10.0%増指数236.4(19.1%減
大阪府指数152.8(9.0%減)指数375.1(4.3%増)
全国指数124.2(4.4%減)指数250.6(4.2%減)

愛知県は個人が10.0%増えて法人が19.1%減り、大阪府はその逆です。大阪府の法人マンション取引量指数375.1は、全国の250.6の1.50倍にあたります(本稿の計算)。東京都では法人の戸建取得が指数307.4で21.3%減っています。

個人の合計で見ると、5月の最大の下げは北海道地方の13.0%減、最大の上げは北陸地方の11.0%増でした。全国値の「3.5%減」は、この幅を平らにならした数字です。自社の商圏の話を全国値で説明しないでください。

価格は上がり続けているのに、量は減っています

量の統計と、価格の統計を並べます。

資料時点結果
令和8年地価公示令和8年1月1日全用途平均・住宅地・商業地とも5年連続上昇
令和8年第1四半期 地価LOOKレポート令和8年1月1日〜4月1日全44地区で上昇。9期連続で全地区上昇(住宅地は16期連続)
既存住宅販売量指数令和8年5月前年同月比6.37%減(本稿の計算)

値段は上がっていて、動く件数は減っています。調査の対象も方法も違うので、直接引き算はできません。ただ、オーナーや売主への説明で「相場は上がっています」とだけ伝えると、「では早く高く売れるはずだ」と受け取られます。上がっているのは価格、減っているのは件数。両方を並べて話してください。

なお地価LOOKレポートは、令和8年度から半期ごとの公表に変わりました。次回は令和8年11月下旬頃に第2四半期と第3四半期の結果がまとめて出る予定です。四半期ごとに更新される前提で資料を作っていた場合は、直してください。

「試験運用」と「登記」という2つの但し書き

どちらも試験運用です

2本とも報道発表の見出しに「(試験運用)」と入っています。正式統計としての扱いが確定していない段階の数値です。社外資料に載せるときは、この表記を落とさないでください。

登記なので、含まれるものと含まれないものがあります

既存住宅販売量指数の定義には、こう書かれています。「総務省統計局が5年に1度実施している住宅・土地統計調査で把握可能な『既存住宅取引量』には含まれていない別荘、セカンドハウス、投資用物件等を含む」。

つまりこの指数は、住み替えの実需だけを数えたものではありません。賃貸に出す目的で買われた区分マンションも、この125.0の中にいます。「個人=実需」と読み替えないでください。

また、指数の単位も違います。既存住宅販売量指数は移転登記の「個数」、法人取引量指数は移転登記の「戸数」で定義されています。厳密な件数の比較には、この違いが残ります。

売買仲介の段取りに落とすと、変わるのは3か所です

1. 査定の競合に、法人の買取を最初から入れる

中古住宅の移転登記の36.09%、戸建に限れば37.98%が法人取得です(令和8年5月・件数ベース・本稿の計算)。売却相談の初回で「買取の見積もりも取っていますか」と聞くかどうかで、その後の話の進み方が変わります。

2. 「相場は上がっている」の後ろに、件数の話を付ける

地価は5年連続の上昇、地価LOOKは9期連続で全地区上昇。一方、個人の中古住宅取得は前年同月比6.37%減です。価格の上昇は、売れるまでの期間の短さを保証しません。

3. 単月の前月比を社内資料に転記しない

4月分の「1.3%減」は、1か月後に「0.6%減」になりました。数字を引用するなら、公表日と対象月と、あとで変わりうることを併記してください。

賃貸管理の側から見ると、法人の戸建取得が効いてきます

法人の中古戸建取得は2010年の3.55倍で、前年同月比では1.06%減とほぼ横ばいです。個人の中古戸建取得(124.6、前年同月比4.59%減)とは、明らかに動きが違います。

法人が取得した戸建は、そのまま売られるか、賃貸に回るか、社宅などに使われます。どれがどれだけかは、この指数からは分かりません。ただ、管理受託の営業先として「戸建を持っている法人」が2010年より3倍以上いる、という母数の話にはなります。

もう一つ。個人のマンション取得のうち27.94%が30平方メートル未満です(令和8年5月・件数ベース・本稿の計算)。ワンルームを買った個人オーナーは、そのほとんどが賃貸に出します。単身向け区分の管理受託は、この層が母数です。2020年1月の23.33%から4.6ポイント増えています。

やりがちな誤解4つ

誤解実際
「8月31日に出たから、いまの市況だ」令和8年5月分です。3か月前の数字です
「個人125.0+法人269.0で市場全体」足せません。法人側には非住宅が含まれ、個人側には含まれません。単位も個数と戸数で違います
「中古マンションは2010年比24%増」30平方メートル未満を除くと100.2で、ほぼ2010年並みです
「確報値だから、もう動かない」確報値と書かれた4月分が、128.8から129.6に書き換わりました

今日からできる3つの準備

1. 社内の統計メモに「対象月」の欄を作る

公表日だけを書いた資料は、必ず混ざります。公表日・対象月・ずれ(何か月前か)の3列にしてください。着工統計は1か月、この2本は3か月です。

2. 自社の商圏のブロック・都市圏の数字を1つ選ぶ

両方の資料には、9ブロック・3都市圏・主要都府県の内訳が載っています。全国値ではなく、自社が営業している区分の数字を毎月同じ場所から取ってください。北海道13.0%減と北陸11.0%増が同じ月に起きています。

3. 買取業者の動きを、指数と別に自分で数える

法人取引量指数は全国の登記の集計で、商圏ごとの内訳は都市圏・都府県までです。自社の商圏で、直近1年に法人名義で決済された取引が何件あったか。これは自社の記録から数えられます。全国36.09%に対して自社の商圏がどうか、を持っておくと交渉の言葉が変わります。

よくある質問

この2つの指数は、レインズの成約件数と比べられますか

直接は比べられません。指数の元は登記で、レインズは会員業者の成約報告です。仲介を通さない取引も登記には出ますし、決済から登記までの日数のずれもあります。傾向が同じ向きかどうかを見る使い方に留めてください。

前年同月比は、どこを見れば載っていますか

載っていません。報道発表とPDFに書かれているのは前月比だけです。ただしPDFの末尾に2020年1月からの月次の時系列(季節調整値・前月比・サンプル数)が付いているので、そこから自分で計算できます。本稿の前年同月比はすべてこの方法です。

30平方メートル未満を除いた数字は、どちらを使えばいいですか

目的によります。ファミリー向けの実需を見たいなら「除いた」ほう(個人100.2)、単身向けを含む市場全体を見たいなら「含む」ほう(124.2)です。法人取引量指数も同じ場合分けで公表されているので、そろえて比べられます。

次はいつ出ますか

過去3回はいずれも月末(6月30日・7月31日・8月31日)の公表で、対象月は公表月の3か月前でした。次回の公表日と対象月は本稿の推測になるので、書きません。国土交通省の「土地・不動産・建設業関係報道発表資料」のページで確かめてください。

出典

本稿の記述資料
個人125.0・戸建124.6・マンション124.2・30平方メートル未満除く100.2、前月比、定義、確報値の表記既存住宅販売量指数 令和8年5月分を公表(試験運用)(国土交通省・令和8年8月31日)
月次時系列(2020年1月〜2026年5月)、サンプル数、ブロック別・都市圏別・都府県別、令和8年4月の改定後の値【報道発表】既存住宅販売量指数(令和8年5月分)を公表(試験運用)(PDF)
法人269.0・住宅合計299.5・戸建355.0・マンション250.6・非住宅215.2、前月比、定義法人取引量指数 令和8年5月分を公表(試験運用)(国土交通省・令和8年8月31日)
法人側の月次時系列、サンプル数、愛知県・大阪府・東京都の内訳、令和8年4月の改定後の値【報道発表】法人取引量指数(令和8年5月分)を公表(試験運用)(PDF)
令和8年4月分の公表時の値(合計128.8・前月比1.3%減 ほか)既存住宅販売量指数 令和8年4月分を公表(試験運用)(国土交通省・令和8年7月31日)
令和8年4月分の公表時の値(合計281.6・前月比2.7%減 ほか)法人取引量指数 令和8年4月分を公表(試験運用)(国土交通省・令和8年7月31日)
9期連続で全44地区上昇、住宅地16期連続、令和8年度から半期公表・次回11月下旬頃主要都市の地価は9期連続で全地区において上昇(令和8年第1四半期地価LOOKレポート・令和8年6月26日)
全用途平均・住宅地・商業地とも5年連続上昇、全国26,000地点全国の地価動向は全用途平均で5年連続上昇(令和8年地価公示・令和8年3月17日)
公表日と対象月のずれが毎回3か月であること土地・不動産・建設業関係報道発表資料(国土交通省)

上記9本は、本稿の執筆時にすべて実際に開いて内容を確認しています。指数の水準・前月比・定義・サンプル数は資料の記載どおりです。前年同月比・倍率・構成比・改定幅は、資料の数値から本稿が計算したもので、資料には載っていません。本文中では「本稿の計算」と明記しています。

書かなかったこと

法人が中古住宅を取得している理由を書いていません。買取再販なのか、賃貸用の保有なのか、社宅なのか、他の目的なのか。登記の集計からは判別できず、資料にも書かれていないためです。

今後の見通しを書いていません。この2本は3か月遅れの実績で、先行きを示す性質の資料ではありません。

指数の改定の理由を書いていません。4月分が動いたことは2つの資料を突き合わせれば確認できますが、なぜ動いたのかは、どちらの資料にも説明がありません。推測を事実として書かないためです。

不動産価格指数との突き合わせを省きました。価格の指数と量の指数は対象も方法も違い、単純な組み合わせは誤解を生みます。地価公示と地価LOOKは「価格は上がっている」という一点の確認にだけ使いました。

最後に、この2本の公表を一行にしておきます。同じ登記を同じ物差しで測ると、個人は2010年の1.25倍、法人は2.69倍。伸びているのは主に法人側です。そして先月の数字は、今月の資料の中で書き換わっています。単月の前月比で方針を変えないこと。見るのは水準と、1年前との比較です。

本稿は国土交通省の公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別の投資判断や査定額を示すものではありません。実際の判断は、物件ごとの調査と、金融機関・税理士等の専門家への確認によってください。賃貸管理と売買仲介の実務はウルスタのコラムで書いています。

制度改正・統計の記事を、1か所にまとめてあります
この記事と同じ種類の「制度・法令の改正」「官公庁の統計」を制度改正・統計まとめ2026に集めました。自社の書面や業務フローに触れるものが他にないか、あわせて確認できます。