制度・法改正 読了 13分

宅建の合格率の推移(令和7年度18.7%)|社員の受験を会社で支える考え方と、合格後の登録・宅建士証の更新(法定講習)の手順

宅建試験の合格率は、不動産適正取引推進機構の公表で令和7年度18.7%でした。合格後は登録と宅建士証の交付を受けて初めて宅建士として重要事項説明ができ、宅建士証は5年ごとに法定講習を受けて更新します。推移の読み方と会社での支え方を整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
宅建の合格率の推移(令和7年度18.7%)|社員の受験支援と、登録・宅建士証の更新の手順
目次

宅建試験の合格率は、不動産適正取引推進機構の公表で令和7年度が18.7%(受験者245,462人、合格者45,821人)でした。合格しただけでは宅建士として重要事項説明はできず、登録と宅建士証の交付を受ける必要があります。宅建士証の有効期間は5年で、更新には法定講習の受講が必要です。この記事では、公表されている数字の読み方と、社員の受験を会社で支える考え方、合格後の手続を整理します。

宅建試験の合格率の推移

不動産適正取引推進機構(RETIO)の「試験実施概況」から、平成28年度から令和7年度までの数字をまとめます。

年度受験者数合格者数合格率合格判定基準点(一般)
令和7年度245,462人45,821人18.7%50問中33点
令和6年度241,436人44,992人18.6%50問中37点
令和5年度233,276人40,025人17.2%50問中36点
令和4年度226,048人38,525人17.0%50問中36点
令和3年度(10月)209,749人37,579人17.9%50問中34点
令和3年度(12月)24,965人3,892人15.6%50問中34点
令和2年度(10月)168,989人29,728人17.6%50問中38点
令和2年度(12月)35,261人4,610人13.1%50問中36点
令和元年度220,797人37,481人17.0%50問中35点
平成30年度213,993人33,360人15.6%50問中37点
平成29年度209,354人32,644人15.6%50問中35点
平成28年度198,463人30,589人15.4%50問中35点

令和2年度と令和3年度は、10月と12月の2回に分けて実施されています。登録講習の修了者は45問で判定され、基準点は令和7年度が45問中28点、令和6年度が45問中32点です。

数字の読み方

合格率は13〜19%の範囲で動いている

上の10年分では、合格率は13.1%(令和2年度12月)から18.7%(令和7年度)の間にあります。おおむね受験者の6人に1人前後が合格する試験と見てよいでしょう。

基準点は年によって変わる

合格判定基準点は、50問中33点から38点まで年によって違います。「何点取れば合格」と決まっている試験ではないので、社員に目標を示すときは、過去の基準点の幅を見たうえで、余裕をもった点数を目安にするのが現実的です。

登録講習による一部免除

宅建業法16条3項は、国土交通大臣の登録を受けた機関が行う登録講習の課程を修了した人について、試験の一部を免除すると定めています。表の基準点が「50問中」と「45問中」の2つあるのはこのためです。受講できる人の条件や日程は、各登録講習機関の案内で確認してください。

合格率は会社の育成の成果を示す数字ではない

全体の合格率は、全国の受験者全体の数字です。社内の受験者が数人なら、1人の合否で割合は大きく動きます。社内の合格率を宣伝に使ったり、他社と比べたりするより、受験者一人ひとりの学習時間と模擬試験の点数を見るほうが、支援の改善には役立ちます。

令和8年度試験の日程

不動産適正取引推進機構の案内では、令和8年度の試験は次のとおりです。

項目内容
試験日令和8年10月18日(日)13時から15時まで(登録講習修了者は13時10分から15時まで)
申込期間(インターネット)令和8年7月1日(水)9時30分から7月31日(金)23時59分まで
合格発表令和8年11月25日(水)
受験手数料8,200円

申込は夏に締め切られます。社員の受験を支えるなら、春の時点で受験するかを本人と確かめ、申込期間を会社のカレンダーに入れておきます。

会社にとっての宅建士

設置義務

宅建業法31条の3第1項と施行規則15条の5の3により、事務所ごとに、業務に従事する人の5分の1以上の成年者である専任の宅建士を置く必要があります。足りなくなったときは2週間以内に措置をとらなければなりません(31条の3第3項)。従業員が増える計画があるなら、宅建士の人数もあわせて計画する必要があります。

宅建士にしかできない仕事

宅建業法35条1項は、契約が成立するまでに、宅建士に重要事項説明書を交付して説明させることを宅建業者に求めています。説明のときは相手方に宅建士証を提示し(同条4項)、書面に記名します(同条5項)。宅建士が少ない会社では、重要事項説明の日程が特定の人に集中しやすくなります。

筆者も宅地建物取引士です。資格を持つ人が増えると、重要事項説明の担当を分けられ、休みや急な予定変更があっても契約の日程を動かさずに済む場面が増えます。

社員の受験を支える仕組みの例

ここで示すのは考え方と手順の例で、効果を数字で約束するものではありません。

費用と時間の扱いを決めて文書にする

  • 受験手数料、教材や講座の費用を会社が負担するか、どこまで負担するかを決める。
  • 合格後の資格手当を設ける場合は、賃金規程などに支給の条件を書く。
  • 費用を負担した後に退職した場合の扱いを定めるときは、労働基準法など労働関係の法令に照らして社会保険労務士などの専門家に確認する。

学習の進み具合を一緒に見る

  • 申込期間の前に、本人と学習の計画(いつまでに何をやるか)を作る。
  • 月に1回程度、過去問や模擬試験の点数を本人から聞き、過去の合格判定基準点の幅と比べる。
  • 試験前の数か月は、繁忙期の業務の割り振りを調整する。

実務と結びつける

宅建業法、借地借家法、民法などの試験範囲は、日々の業務とつながっています。重要事項説明書の読み合わせに受験者を同席させる、契約書の条項がどの法律に基づくかを説明する、といった形で、勉強と仕事を行き来できるようにすると、合格後にすぐ役立つ知識になります。

合格から宅建士証の交付まで

合格しても、そのままでは宅建士ではありません。宅建業法2条4号は、宅建士を「宅地建物取引士証の交付を受けた者」と定義しています。

  1. 登録:法18条1項により、試験に合格し、2年以上の実務経験(施行規則13条の15)がある人、または国土交通大臣がそれと同等以上の能力があると認めた人が、試験を行った都道府県知事の登録を受けられます。
  2. 宅建士証の交付:法22条の2第1項により、登録している都道府県知事に交付を申請します。
  3. 講習:交付の申請前6か月以内に行われる知事指定の講習(法定講習)を受ける必要があります(同条2項)。ただし、試験に合格した日から1年以内に交付を受ける場合は不要です(同項ただし書)。

東京都の「宅地建物取引業法等関係手数料条例」では、登録の手数料は37,000円、宅建士証の交付申請手数料は4,500円とされています。他の道府県で登録する場合は、その道府県の案内で確認してください。

合格後に本人と会社が気をつけること

宅建士としての心構え

宅建業法15条は、宅建士が業務に従事するときは、取引の専門家として購入者等の利益の保護と円滑な流通に役立つよう、公正かつ誠実に事務を行い、関連する業務に従事する人との連携に努めるよう求めています。15条の3は、取引の事務に必要な知識と能力の維持向上に努めることを求めています。合格はゴールではなく、法改正を追い続ける仕事の始まりだと伝えておくとよいでしょう。

勤務先が変わったときの変更の登録

法20条は、登録を受けている事項に変更があったときは、遅滞なく変更の登録を申請するよう求めています。施行規則14条の2の2第1項5号により、宅建業者の業務に従事する人は、その宅建業者の商号または名称と免許証番号も登録事項です。社員が入社したとき、退職したときは、本人に変更の登録を促し、会社側も宅建業者として変更届(法9条)が必要かどうかを確かめます。

場面本人の手続会社の確認
宅建士が入社した勤務先の変更の登録(法20条)専任の宅建士にするなら変更届(法9条)、従業者名簿と従業者証明書
宅建士が退職した勤務先の変更の登録(法20条)専任の宅建士の人数が5分の1以上か(法31条の3)、変更届
住所や氏名が変わった変更の登録(法20条)社内の名簿の更新

宅建士証の更新と法定講習

宅建士証の有効期間は5年です(法22条の2第3項)。有効期間は申請により更新し(法22条の3第1項)、更新を受けようとする人にも、申請前6か月以内に行われる法定講習の受講が求められます(同条2項で22条の2第2項本文を準用)。

東京都の案内では、有効期間満了前6か月以内に実施される法定講習を受講するよう求めています。法定講習の実施団体として、公益社団法人東京都宅地建物取引業協会、公益社団法人全日本不動産協会、一般社団法人不動産協会、一般社団法人全国住宅産業協会が挙げられ、申込は各団体に直接行うとされています。費用は16,500円(受講料12,000円、宅建士証交付申請手数料4,500円)と案内されています。

宅建士は、取引の関係者から求められたときも宅建士証を提示しなければなりません(法22条の4)。有効期限の切れた宅建士証は使えないので、会社としても社員の宅建士証の有効期限を一覧で把握しておくと安心です。

有効期限を切らしたとき

東京都の案内では、有効期間が満了すると宅建士証は効力を失い、都から案内はないため各自で有効期間を管理する必要があるとされています。効力を失った宅建士証は速やかに返納しなければなりません(法22条の2第6項)。新たに宅建士証が必要になったときは、法定講習を受けて交付を受けます。

宅建士証が切れている間は宅建士ではないため、重要事項説明や書面への記名はできません。専任の宅建士として届け出ている人の宅建士証が切れると、事務所の宅建士の人数にも影響します。会社としては、免許の更新と同じように、社員の宅建士証の有効期限をカレンダーに入れ、満了の6か月前に講習の申込を促す仕組みを作っておくとよいでしょう。宅建業免許そのものの更新は、宅建業免許の更新フローの記事で説明しています。

このテーマの全体像は「不動産のコンプライアンス実務ガイド2026|宅建業法・管理業法・個人情報・犯収法」にまとめています。

よくある質問

Q1. 宅建試験の合格率はどのくらいですか。

不動産適正取引推進機構の公表で、令和7年度は18.7%、令和6年度は18.6%、令和5年度は17.2%です。過去10年分では13.1%から18.7%の間にあります。

Q2. 合格点は毎年同じですか。

違います。一般の受験者の合格判定基準点は、過去10年分で50問中33点から38点まで動いています。

Q3. 合格したらすぐに重要事項説明ができますか。

できません。登録を受け、宅建士証の交付を受けて初めて宅建士になります(法2条4号、18条、22条の2)。合格から1年以内に交付を受ける場合は、法定講習が免除されます。

Q4. 宅建士証の更新はいつまでに何をすればよいですか。

有効期間は5年です。満了前6か月以内に行われる法定講習を受け、更新を申請します。東京都では講習の実施団体に直接申し込みます。

Q5. 社員の受験費用を会社が出すとき、注意することはありますか。

負担する範囲と、合格後の手当の条件を文書にしておくことです。退職時に費用の返還を求める定めを置くかどうかは、労働関係の法令に照らして専門家に確認してください。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月7日時点の情報です。

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