マイソク・物件広告 読了 13分

マイソク(募集図面)から内見予約までの流れ2026|表示規約の必要な表示事項、おとり広告の禁止、宅建業法32条・34条の注意点

マイソク(募集図面)から内見予約までの流れは、規約と宅建業法に沿った図面づくり、掲載中の物件が実際に取引できる状態かの確認、問い合わせへの早い返答と内見日時の確定の3つで組み立てます。必要な表示事項、おとり広告の禁止、問い合わせ対応の手順を整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
マイソクから内見予約までの流れ2026|必要な表示事項・おとり広告・宅建業法32条の注意点
目次

マイソク(募集図面)から内見予約までの流れは、規約と宅建業法に沿った図面づくり、掲載中の物件が実際に取引できる状態かの確認、問い合わせへの早い返答と内見日時の確定の3つで組み立てます。図面の見た目より先に、表示の誤りや、すでに決まった物件の掲載が残っていないかを確かめる仕組みが大切です。この記事では、不動産の表示に関する公正競争規約、宅地建物取引業法32条・34条、個人情報保護法をもとに、募集図面の作成から内見当日までの流れを整理します。

募集から内見までの全体の流れ

賃貸物件の募集から内見までは、おおむね次の順に進みます。各段階で確かめることを決めておくと、担当者が変わっても同じ品質で対応できます。

段階主な作業確かめること
1. 募集条件の確定オーナーと賃料、敷金・礼金、入居時期などを決める条件の記録が残っているか
2. 募集図面の作成間取り図、設備、条件をまとめる必要な表示事項、取引態様の明示
3. 広告の掲載・業者への公開自社サイト、ポータル、業者間の物件情報に出す掲載内容が図面と一致しているか
4. 掲載中の確認空室状況と条件を定期的に確かめる申込や成約のあとに掲載が残っていないか
5. 問い合わせへの返答空室の確認、内見可能日の案内最新の状況で答えているか
6. 内見予約の確定日時、集合場所、鍵の手配を決める連絡先と利用目的の伝え方
7. 内見・申込現地の案内、申込の受付事実と違う説明をしていないか

マイソクに載せる事項

規約の必要な表示事項

「不動産の表示に関する公正競争規約」は、不動産業界が景品表示法に基づいて定めた自主ルールです。規約8条は、事業者が規則で定める表示媒体を用いて物件を表示するときは、物件の種別ごとに、広告主に関する事項、物件の所在地・規模・形質その他の内容、価格その他の取引条件、交通その他の利便及び環境などについて、見やすい場所に、見やすい大きさ・色彩の文字で、分かりやすく明瞭に表示するよう定めています。

具体的な事項は、施行規則4条と別表で、物件の種別と表示媒体ごとに定められています。賃貸マンション・賃貸アパート・貸家などには専用の別表があり、取引態様、所在地、交通、賃料、管理費・共益費、敷金・保証金などの金銭、面積、間取り、建築年月、設備などが挙がっています。媒体ごとに求められる事項が異なるため、自社の図面のひな形を作るときは、該当する別表を原文で確かめてください。図面に入れる事項の整理は、マイソクに入れる事項の記事も参考になります。

取引態様の明示(宅建業法34条)

宅建業法34条1項は、宅建業者が宅地や建物の売買・交換・貸借に関する広告をするときは、自ら当事者となるのか、代理人となるのか、媒介するのかの別を明示するよう定めています。2項は、注文を受けたときにも、遅滞なく取引態様の別を明らかにするよう求めています。図面の帯の部分に「媒介」「代理」などを入れる欄を設けておくと、記載漏れを防げます。

宅建業法32条と不当表示

宅建業法32条は、宅建業者が広告をするときに、物件の所在、規模、形質、現在または将来の利用の制限、環境、交通その他の利便、代金・借賃等の対価の額や支払方法などについて、著しく事実に相違する表示をすること、実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示をすることを禁じています。

規約23条も、取引態様、所在地、交通の利便、距離、面積、形質、設備、環境、価格などについて、実際より優良・有利であると誤認されるおそれのある表示を禁じています。募集図面で起きやすい誤りの例を挙げます。

  • 駅からの所要時間や距離を、実際より短く書いてしまう
  • 面積や間取りを、別の部屋の図面から写したままにしてしまう
  • 更新料や鍵交換費用など、入居時や更新時にかかる費用の記載を落とす
  • 設備の故障や撤去を反映しないまま、設備欄に残す

図面を作る人と確かめる人を分け、オーナーとの募集条件の記録と照らして確認する流れにすると、誤りに気づきやすくなります。

おとり広告を出さない仕組み

規約21条のおとり広告

規約21条は、次の3つの広告表示を禁じています。

  • 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
  • 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
  • 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

国土交通省も、おとり広告は宅建業法32条に違反するものとして注意を呼びかけています。業界団体が会員向けに周知した国土交通省の注意喚起では、成約済みの物件を速やかに広告から削除しないこと、他の物件の情報をもとに賃料や面積などを偽った広告を出すこと、問い合わせのあとに「急な修繕が入った」などの口実で別の物件に誘導することなどが、問題のある例として挙げられています。

意図しないおとり広告を防ぐ手順

おとり広告は、わざと出すものだけではありません。申込が入ったあとに掲載を止め忘れる、業者間で取得した物件の成約を知らないまま掲載を続ける、といった管理の漏れでも同じ状態になります。次のような手順を決めておくと防ぎやすくなります。

  1. 掲載前に、元付けの業者やオーナーに空室と条件を確かめる
  2. 掲載中の物件は、曜日を決めて空室状況を確かめ直す
  3. 申込や成約が入ったら、その日のうちに全ての掲載先の状態を変える担当者を決めておく
  4. 掲載先ごとの一覧を作り、止め忘れがないかを確かめる

おとり広告の防ぎ方はおとり広告を防ぐ掲載管理の記事でも整理しています。

掲載前のチェック表

募集図面を作り終えたら、掲載の前に次の表で確かめます。作った人とは別の人が確かめると、思い込みによる見落としを減らせます。

確認する点照らし合わせる資料根拠
取引態様(媒介・代理など)が書かれているかオーナーや元付け業者との取り決め宅建業法34条1項
賃料、管理費・共益費、敷金・礼金などの金額が正しいかオーナーとの募集条件の記録宅建業法32条、規約8条
面積、間取り、階数がその部屋のものか図面の原本、登記、現地宅建業法32条、規約23条
交通の表示(駅名、徒歩の所要時間)が正しいか地図での確認、現地宅建業法32条、規約23条
設備の記載が現状と合っているか退去後の室内確認の記録宅建業法32条、規約23条
空室で、実際に募集している物件かオーナー・元付け業者への確認規約21条
使う媒体で必要な表示事項がそろっているか規約の施行規則4条と別表規約8条

業者間で物件情報を受け取るとき

ほかの業者が元付けの物件を自社で広告する場合は、元付けの業者を通じて、広告してよいか、どの条件で募集しているかを確かめてから掲載します。元付け側で申込や成約が入っても、すぐには伝わらないことがあります。掲載を続ける間は、元付けの業者に空室状況を確かめ直す日を決めておくと、意図しないおとり広告を防ぎやすくなります。

問い合わせから内見予約まで

最初の返答で確かめること

問い合わせを受けたら、まず最新の空室状況と条件を確かめてから答えます。掲載時の情報のまま「ご案内できます」と答え、あとで申込済みだと分かると、相手の信頼を損ねます。返答の早さを社内で目安として決めておく考え方は、問い合わせへの返答時間の記事で整理しています。

内見の前に聞いておくこと

内見の日時を決める前に、次のような点を聞いておくと、当日の案内がスムーズになります。聞く項目は、内見の手配と物件の提案に必要な範囲にとどめます。

  • 入居を希望する時期
  • 入居する人数
  • 賃料、間取り、エリアなどの希望条件
  • 連絡のつきやすい方法と時間帯
  • ほかに見ておきたい物件があるか

個人情報の利用目的

個人情報保護法21条1項は、個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知し、または公表するよう定めています。内見予約のフォームやメッセージで氏名や連絡先を受け取るなら、自社サイトのプライバシーポリシーで利用目的を公表し、フォームからも見られるようにしておきます。

内見予約を確定する

日時、集合場所(現地か店舗か)、当日の連絡先、持ち物(必要な場合)を、相手に文章で送って確定します。鍵の手配が必要な物件では、管理会社やオーナーへの連絡と、鍵の受け渡し方法も同時に決めておきます。

内見当日と申込のあと

内見の前日までに、鍵の受け渡し方法、室内の清掃や設備の状態、電気・水道が使えるかを確かめておきます。前回の内見から日がたっている部屋では、照明やカーテンがなく室内が暗い、虫が出ているなど、図面からは分からない状態になっていることがあります。可能であれば当日の少し前に現地に着き、室内を一回りしてから案内を始めると、その場で慌てずに済みます。

内見では、図面と現地が違う点に気づいたら、その場で正確に伝えます。宅建業法47条1号は、物件の所在、規模、形質、環境、交通、借賃などで相手方の判断に重要な影響を及ぼす事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為を禁じています。日当たりや騒音など、季節や時間で変わる点は、分かる範囲で事実を伝え、分からないことは「確かめて連絡します」と答えます。

申込を受けたら、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士が重要事項説明書を交付して説明します(宅建業法35条1項)。内見の段階で伝えた内容と、重要事項説明書の記載が食い違わないよう、図面と募集条件の記録を宅建士にも共有しておきます。

ウルスタくんでは、募集図面(マイソク)の作成、業者間流通(ウルスタBB)での物件情報の公開、お部屋探しサイト(ヘヤスタ)への掲載、問い合わせのあった顧客の管理を、物件の情報とつないで扱えます。掲載先が増えるほど止め忘れが起きやすくなるため、物件の状態を1か所で管理しておくことが、おとり広告を防ぐうえでも役に立ちます。

よくある質問

Q1. 成約済みの物件を掲載したままにするとどうなりますか

実際には取引できない物件の表示として、規約21条のおとり広告に当たるおそれがあります。国土交通省も、成約済みの物件を速やかに削除しないことを問題のある例として挙げています。申込や成約が入った時点で掲載を止める手順を決めておきましょう。

Q2. 内見予約をLINEや予約フォームで受け付けてもよいですか

受付の方法を限定する法律はありません。氏名や連絡先を受け取る場合は、個人情報保護法21条1項に沿って利用目的を公表または通知し、受け取った情報を担当者の個人の端末に残さない運用にします。

Q3. 取引態様はどこに書けばよいですか

宅建業法34条1項は、広告をするときに取引態様の別を明示するよう求めています。募集図面の帯の部分など、見やすい位置に「媒介」「代理」などを入れる欄を設けておくと漏れを防げます。

Q4. 図面の表示事項は媒体によって違いますか

規約の施行規則4条と別表は、物件の種別と表示媒体ごとに必要な表示事項を定めています。インターネット広告やチラシなど、使う媒体に合わせて別表を確かめてください。

Q5. 内見の予約が直前で取り消されることに、どう備えればよいですか

予約を確定した文章に、日時、集合場所、当日の連絡先を書いておき、前日に短い確認の連絡を入れる方法があります。鍵の手配が必要な物件では、取り消しがあったときに管理会社やオーナーへ連絡する担当者も決めておきます。取り消しの理由を聞ける場合は記録しておくと、物件の条件や案内の仕方を見直す材料になります。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月7日時点の情報です。

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