賃貸管理 読了 13分

賃貸保証会社の選び方 2026 — 公式情報で確認できた5社(Casa・日本セーフティー・全保連・JID・オリコフォレントインシュア)と、中小不動産会社が見るべき7つの判断軸

賃貸保証会社を選ぶときの7つの判断軸(国交省登録・保証範囲・料金の組み立て・審査・代位弁済と求償・業務連携・相談窓口)と、2026年9月時点で公式サイトから確認できた5社の登録番号・保証範囲・料金表示。公式に無い審査時間や代位弁済日数は数字を出さず、自社で記録する方法を書く。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸保証会社の選び方 2026|公式情報で確認できた5社と7つの判断軸
目次

この記事の要点

  • 賃貸保証会社(家賃債務保証会社)を選ぶときに見る軸は7つ。国土交通省への登録、保証範囲、料金の組み立て(初回・継続・更新)、審査の運用、代位弁済と求償の運用、業務連携、相談窓口。順番も大事で、まず登録と保証範囲を見る。
  • 各社の料金は、公式ページに印字があるのは日本賃貸保証(JID)だけ。Casa・日本セーフティー・全保連・オリコフォレントインシュアは「非公表(物件・プランにより異なる)」で、本記事でも数字を作らない。
  • 審査時間・代位弁済までの日数は、どの会社も公式に公開していない。比較したいなら自社の申込で記録するしかないので、記録の取り方を最後に書く。

賃貸保証会社は、入居者の家賃を保証するだけでなく、審査の速さ、滞納時の立替(代位弁済)、退去時の原状回復費の扱いまで、賃貸管理の日々の運用に直結する。ところが各社の条件は「物件・プランにより異なる」とされ、公式ページに料金が出ている会社は少ない。この記事では、公式で確認できる事実と、自社で確かめるべき項目を分けて書く。

まず前提 — 登録制度と民法改正

家賃債務保証業者には、2017年10月から国土交通省の家賃債務保証業者登録制度がある。登録は任意で、登録しなくても営業はできる。ただし登録には、純資産1,000万円以上、法令遵守の研修、求償権(立て替えた家賃の取り立て)の行使方法が適切であること、相談・苦情に応じる体制、などの要件がある。登録業者一覧は国土交通省のページで公開されている(2026年8月13日時点で123社)。

もう一つの前提は2020年4月の民法改正で、個人が連帯保証人になる根保証契約は極度額(上限額)を書面で定めないと無効になった。保証会社の利用が広がった背景の一つで、「連帯保証人+保証会社」の二重構成をどう扱うかは、各社の審査運用を確認する項目になる。

選ぶときの7つの判断軸

1. 国土交通省の登録番号があるか

公式サイトの会社概要に「国土交通大臣(2)第◯号」の表示があるかを見る。登録があれば、求償の方法や相談体制について最低限の要件を満たしている。下の5社はいずれも登録業者。

2. 保証範囲はどこまでか

家賃・共益費だけか、変動費(電気・水道・ガス)、更新料、原状回復費、残置物処理費、明渡訴訟の費用、早期解約違約金まで含むか。各社の公式ページに保証範囲の文言があるので、そこを読む。上限(月額賃料の何か月分か)も同じページに書いてある。

3. 料金の組み立てと、誰が払うか

初回保証委託料(家賃の何%か、または定額)、継続保証料(年払いか月払いか)、更新時の保証料の3つに分けて見る。誰が払うか(入居者負担か、オーナー・管理会社負担か)はプランで変わる。公式に料金を印字している会社は少ないので、見積を取って書面で残す。

4. 審査の運用

連帯保証人の要否、緊急連絡先の扱い、外国籍・学生・高齢者・法人契約の受け付け方、申込のオンライン化。審査にかかる時間は公式に公開されていないため、自社の申込で記録する(後述)。

5. 代位弁済と求償の運用

滞納が起きたとき、何日目に保証会社へ報告し、何日目に立て替えが入るかは契約書と運用マニュアルに書いてある。ここは口頭ではなく書面で確認する。求償(入居者への取り立て)の方法が適切であることは登録要件の一つで、行き過ぎた取り立ては管理会社の評判にも跳ね返る。

6. 業務連携

申込フォームからの連携、賃貸管理ソフトや業者間サイトとの連携、電子契約の可否。申込書の転記が減るかどうかで、店の事務量が変わる。

7. 団体加盟と相談窓口

一般社団法人 賃貸保証機構(LGO)や全国賃貸保証業協会(LICC)などへの加盟、日本賃貸住宅管理協会の会員かどうか。入居者からの苦情に応じる窓口が明示されているかも見る。

2026年9月時点で公式サイトから確認できた5社

以下は2026年9月2日に各社の公式サイトと国土交通省の登録業者一覧で確認できたものだけ。料金は公式ページに印字がある場合のみ記載し、それ以外は「非公表」とした。

株式会社Casa(東京都新宿区)

国土交通大臣(2)第21号。居住用は「BASIC プラン」「Casaダイレクト プラン」「家主ダイレクト」の3つが案内されている。保証範囲として賃料、変動費、更新料、退去時の原状回復費用、明渡訴訟の手続き・費用が挙げられ、家主ダイレクトは早期解約違約金と孤独死保険も含む。料金は非公表。公式サイトに一般社団法人 賃貸保証機構(LGO)の掲載がある。

日本セーフティー株式会社(大阪府大阪市)

国土交通大臣(2)第8号(国土交通省の一覧で確認。自社サイトには登録番号の表示を確認できなかった)。居住用の保証範囲は、家賃・管理費・共益費と月々の固定費、明渡し不履行による使用損害金、残置物処理費用、明渡し訴訟の法的手続き費用(弁護士費用も同社負担)、単身入居者が死亡した場合の原状回復費用(最大10万円)。保証限度額は月額保証対象額の24か月分。料金は非公表。公式サイトに賃貸保証機構・日本賃貸住宅管理協会の掲載がある。

全保連株式会社(沖縄県那覇市・東京本社あり)

国土交通大臣(2)第16号。居住用は「住居用」「住居学生用」。保証範囲は月額賃料(家賃、共益費・管理費、駐車場料金)、変動費、更新料、原状回復費用(修繕費、ハウスクリーニング、残置物撤去・ゴミ処理)、鍵交換費用、畳表替費用、違約金。限度額は月額賃料の24か月分相当額。継続(年間)保証委託料がある旨は公式に書かれているが、金額は非公表。火災保険をセットにした「Z-value」もある。

日本賃貸保証株式会社 JID(千葉県木更津市)

国土交通大臣(2)第41号。5社の中で唯一、公式ページに料金の印字がある。「JIDトリオ」は住居用の初回保証料30%(最低12,000円)、更新30%/2年(最低12,000円)。基本の保証範囲は賃料・管理費・共益費等の月額賃料等(24か月分相当額)、明渡訴訟にかかわる費用、残置物対応にかかわる費用。「JIDトリオTrust」は初回50%(最低20,000円)または初回30%+月額1.5%などの組み合わせがあり、原状回復費用(賃料2か月分まで)と室内死亡時の費用(賃料6か月分・上限50万円)が加わる。日本賃貸住宅管理協会の会員。

株式会社オリコフォレントインシュア(東京都港区)

国土交通大臣(2)第1号。株式会社オリエントコーポレーションのグループ。保証範囲は月額賃料(家賃、管理費・共益費、駐車場料金)、変動費、更新料、訴訟費用、原状回復費用・残置物処理費用、早期解約違約金・退去予告義務違反の違約金(一部プランは異なる)。付帯プランに「住まいるインシュアグローバル」「見守りR」「学生プラン」などがある。料金は非公表。公式サイトに日本賃貸住宅管理協会の掲載がある。

比較表(公式情報で確認できた範囲だけ)

会社国交省登録公式ページの料金表示(2026年9月2日)保証範囲の主な項目(公式表記)
株式会社Casa大臣(2)第21号非公表賃料・変動費・更新料・原状回復費・明渡訴訟費用(家主ダイレクトは早期解約違約金・孤独死保険も)
日本セーフティー株式会社大臣(2)第8号非公表家賃・固定費・使用損害金・残置物処理・訴訟費用(弁護士費用含む)・単身死亡時の原状回復(最大10万円)、限度24か月分
全保連株式会社大臣(2)第16号非公表(継続保証委託料あり)月額賃料・変動費・更新料・原状回復費・鍵交換・畳表替・違約金、限度24か月分
日本賃貸保証株式会社(JID)大臣(2)第41号JIDトリオ 初回30%(最低12,000円)/更新30%・2年月額賃料等(24か月分)・明渡訴訟費用・残置物対応。Trust は原状回復(2か月分)・室内死亡時(上限50万円)を追加
株式会社オリコフォレントインシュア大臣(2)第1号非公表月額賃料・変動費・更新料・訴訟費用・原状回復費・残置物処理・違約金(一部プランは異なる)

公表されていない項目を自社で確かめる方法

審査にかかる時間、代位弁済までの日数、否決の傾向は、どの会社も公式に出していない。比較したいなら、自社の申込で次の3つを記録する。

  1. 申込送信の日時と審査結果の日時:申込ごとに保証会社名・送信日時・結果日時・結果(承認/条件付き/否決)を台帳に残す。3か月分たまれば、会社ごとの中央値が出る。
  2. 滞納報告の日と入金の日:滞納が発生した契約について、保証会社へ報告した日と立て替えが入金された日を残す。件数は少ないが、これが実際の代位弁済日数になる。
  3. 見積書:初回・継続・更新の料金と、誰が払うかを、プランごとに書面で取っておく。公式ページに無い数字は、見積書だけが根拠になる。

数字が無いうちは「A社は速い」と言わない。記事を書く側の当社も、この記録を取っていない項目については数字を出さないことにした。

導入前のチェックリスト

  • 国土交通省の登録番号を会社概要で確認したか。
  • 保証範囲(原状回復費・残置物・訴訟費用・違約金)と上限(何か月分)を公式ページで確認したか。
  • 初回・継続・更新の料金と負担者を、プランごとに書面で受け取ったか。
  • 連帯保証人の要否、極度額の扱い、外国籍・法人・学生の受け付け条件を確認したか。
  • 滞納時の報告期限と、代位弁済の入金タイミングを契約書で確認したか。
  • 申込のオンライン化と、自社の賃貸管理ソフト・業者間サイトとの連携を確認したか。
  • 苦情・相談の窓口が明示されているか。

よくある質問

Q1. 保証会社は1社に絞るべきですか?

プランと保証範囲は会社ごとに違うので、法人契約・学生・外国籍など属性ごとに使い分ける管理会社は多い。ただし複数社を使うなら、申込書の転記と滞納報告の運用が会社ごとに分かれる。自社の管理戸数と担当者の人数で決める。

Q2. 保証会社の審査は何時間で終わりますか?

各社とも公式に公開していない。自社の申込で送信日時と結果日時を記録すれば、会社ごとの実際の時間が分かる。

Q3. 保証会社を使えば連帯保証人は不要ですか?

プランによる。連帯保証人を不要とするプランもあれば、緊急連絡先だけを求めるものもある。2020年4月以降、個人の連帯保証人を付ける場合は極度額の書面記載が必要になるので、保証会社と連帯保証人を併用するときは契約書の様式も確認する。

Q4. 国土交通省に登録していない保証会社は使えないのですか?

登録は任意なので、未登録でも営業は違法ではない。ただし登録には純資産や求償方法、相談体制の要件があるため、選ぶ側の目安にはなる。

利益相反の開示

本記事の筆者 馬場生悦は、ウルスタ株式会社の代表で、賃貸管理クラウド「ウルスタくん」を提供している。本記事は保証会社の比較であり、特定の保証会社との資本関係・広告契約はない。各社の情報は2026年9月2日時点の公式サイトと国土交通省の資料で確認できた内容だけを記載し、確認できなかった事項は「非公表」とした。各社の条件は変わるため、契約時は必ず公式サイトと見積書で最新情報を確認してほしい。

出典・参考資料

本記事の各社情報は2026年9月2日時点の公式サイト・国土交通省・法務省の資料に基づく。次回の見直し予定:2027年3月。