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老朽マンション対策法改正|中小管理会社の新規事業チャンス【2026年版】

日本全国の区分所有マンションの約3棟に1棟が築30年超となる中、国土交通省は老朽化マンション対策を重要施策として加速させています。2026年4月以降、管理計画認定制度の拡充、自治体による危険マンション対応強化、民間管理支援団体の登録制度創設が相次ぎ実装されます。本記事では、中小管理会社にとってのビジネスチャンス(認定取得サポート、修繕提案、建替え・敷地売却スキーム)と、住民総会で説得力を持つ提案ロジックを具体的に解説します。

ULSAPO編集部
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
老朽マンション対策法 改正 2026
目次
最終更新 | 著者: 馬場生悦 (宅建士)

最終更新: 2026年5月16日

築40年を超えるマンションのオーナーからは、「このまま管理を続けて資産価値を保てるのか」という相談が増えています。管理計画認定は、その問いに対して外形的な裏づけを与える仕組みです。以下、認定の要件と、取得までの段取りを整理します。

不動産業務のマンション管理適正化法 改正の背景|今なぜ必要か

2024年6月、マンション管理適正化法の改正が施行されました。背景は、築40年超の老朽マンションが2025年に約125万戸、2035年に約250万戸と急増する見込み。管理が不十分な物件は、修繕不足→スラム化→近隣治安悪化、というリスクを抱えます。

改正の核は、自治体が管理組合の管理計画を認定する制度。認定基準は、修繕積立金の十分性、長期修繕計画の策定、管理組合の運営体制、住民総会の開催実績、などの項目。

認定取得のメリットは、1) 物件の資産価値維持、2) 住宅金融支援機構のフラット35S金利優遇、3) 銀行融資の条件改善、4) 売却時の説明材料として有利。

認定を目指しやすい築古マンションの条件

管理計画認定を検討する価値が高いのは、長期修繕計画が30年以上あり、修繕積立金が計画に沿って積まれていて、総会が毎年開けている管理組合です。逆に、計画が10年程度しかない、積立金が慢性的に不足している、総会の定足数が満たせない、のいずれかに当てはまる場合は、認定の前に組合運営の立て直しが必要になります。

認定基準は自治体ごとに上乗せがあるため、着手前に管轄自治体の要領を確認してください。

不動産業務の管理計画認定の準備プロセス (9ヶ月)

2024年9月-2025年6月の9ヶ月で実施した内容: 1) 長期修繕計画の見直し (専門業者へ依頼、費用30万円)、2) 修繕積立金の値上げ合意形成 (月額1,200円→2,000円、住民総会での議決必要)、3) 管理組合運営規程の整備 (弁護士監修、費用15万円)、4) 認定申請書類作成 (マンション管理士へ依頼、費用25万円)、5) 自治体への申請 (2025年4月)、6) 認定取得 (2025年6月)。

総費用は70万円程度、自治体への申請手数料は3万円。9ヶ月間の私の関与時間は約40時間、内勤の事務作業20時間、合計60時間。中小管理会社が支援するには現実的な工数です。

不動産業務の民間支援団体の活用|実務で押さえるべきポイント

準備プロセスで活用したのが2つの民間支援団体: 都道府県のマンション管理士会、マンション管理業協会。都道府県のマンション管理士会からマンション管理士を紹介してもらい、認定申請書類作成を依頼。費用は妥当 (25万円)、専門知識ある対応で書類不備ゼロ。

マンション管理業協会は長期修繕計画の見直し業者紹介で活用。協会推薦の業者は信頼性高く、見積も適正価格。

これら民間支援団体は管理組合 (建物オーナー) からの相談を受ける窓口。中小管理会社が単独で全て対応するのは負担が大きく、専門団体との連携が現実解。

不動産業務の住民総会での合意形成|実務で押さえるべきポイント

修繕積立金の値上げ (月額1,200円→2,000円、+66%) は住民総会の特別決議 (議決権4分の3以上) が必要。当社オーナーが理事長、当社の管理担当が事務局として総会運営をサポート。

合意形成の柱は2つ。1) 数字での説明 (「値上げしないと10年後に修繕不可能、資産価値が半減」)、2) 段階的値上げ (一気に+66%ではなく、2年で段階的に+33%×2)。これにより住民の納得度が上がり、賛成多数で議決可決。

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認定要件の現状診断、長期修繕計画の見直し、住民総会の合意形成、申請書類作成支援。宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の馬場生悦が、認定要件の確認から申請までを伴走支援します。

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現場メモ — 認定が取れたあとに現れる効果

管理計画認定は、取得した瞬間よりも、そのあとの取引の場面で効いてきます。よく挙がるのは、築年数の古いマンションで家賃債務保証や住宅ローンの審査を通すときに、管理状態を説明する材料として使えることです。

自治体によっては、認定マンションを対象にした改修補助や金融機関の金利優遇の案内が出ることもあります。取得を検討する段階で、対象になりそうな制度を管轄の自治体と取引金融機関に確認しておくと、オーナーへの説明がしやすくなります。

不動産業務の認定取得の経済効果|実務で押さえるべきポイント

認定取得後の経済効果 (見込み): 1) 物件売却時の評価額が約5-10%高く査定される、2) フラット35Sの金利優遇 (約0.25%)、3) 銀行の修繕融資金利優遇 (約0.3%)、4) 入居者集客の差別化材料。

当社支援物件の場合、20戸 × 平均評価額500万円 × 5%増 = 500万円の資産価値向上。長期修繕費の融資金利優遇で10年間で約100万円の利息削減。投資70万円に対し、リターン600万円超。明らかに割に合う投資。

2026年に向けた追加動向|実務で押さえるべきポイント

2026年は管理計画認定の取得が全国で本格化する年。国土交通省は2026年度予算で支援制度を拡充見込み (自治体への補助金、管理士派遣の費用補填等)。

また、住宅金融支援機構のフラット35Sの金利優遇枠拡大も議論中。認定マンションへの融資条件がさらに有利になる方向。

当社では2026年度中に追加で2物件の認定取得支援を予定。築35-40年のRCマンション (◯◯市◯◯区、◯◯市内) が対象。

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私が他社と意見が違う点 — 「老朽マンションは管理から撤退すべき」論への反論

同業から「築40年超は修繕費が嵩み、トラブル多発、管理会社の利益薄い、撤退すべき」という意見を聞きます。私はこれに完全反対です。

確かに老朽マンションは手間がかかるが、需要は確実に存在 (低家賃帯、住宅セーフティネット)。管理会社が撤退すればさらにスラム化が進み、社会問題化。中小管理会社こそ地域の老朽マンションを支える役割を担うべき。

経済合理性の面でも、認定取得支援は短期的にコスト負担ありだが、長期的にはオーナー信頼獲得、物件管理継続による安定収益、銀行融資仲介手数料、と複数の収益源を持つ。撤退ではなく支援強化、というのが私の方針です。

STEP 1
入居受付
月 4-6h / 物件
STEP 2
契約締結
月 6-8h / 物件
STEP 3
入金管理
月 8-10h / 物件
STEP 4
送金管理
月 6-8h / 物件
STEP 5
更新提案
月 3-5h / 物件
STEP 6
退去精算
月 5-7h / 物件
合計 月32-44時間 / 物件 — 6ステージが密に連動する賃貸管理業務。各ステップ間の情報連携の遅れがオーナー流出と滞納増の起点になる。
賃貸管理の典型的な6ステップ業務サイクル。各ステージが密に連動するため、情報の一元管理で全体最適を取ることが業務効率化の核心。月間の業務時間目安は小規模物件管理会社の実績値に基づく。

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不動産業務のよくある質問 FAQ|実務で押さえるべきポイント

Q1. 管理計画認定はどの自治体で取得可能ですか?

A. 全国の市区町村で順次受付開始。2026年5月時点で主要都市はほぼ対応。事前に自治体マンション担当課への確認推奨。

Q2. 認定取得にかかる総費用は?

A. 規模により50-150万円。当社支援物件 (20戸) は70万円。長期修繕計画の見直し費用、書類作成費が主。

Q3. 管理組合がない物件でも認定可能?

A. 区分所有マンションは管理組合が必要 (区分所有法上)。組合未組成の物件はまず組合組成から。

Q4. 認定の有効期間は?

A. 5年間。5年ごとの更新申請が必要。更新時には期間中の管理状況を再評価。

Q5. 管理会社のメリットは?

A. オーナー信頼獲得、管理委託契約の継続性向上、認定支援に伴う追加業務報酬 (30-50万円)、銀行融資仲介手数料機会。

不動産業務の利益相反開示 — 馬場生悦 = ウルスタ 創業者

本記事の著者・馬場生悦は不動産管理SaaS「ウルスタ」の創業者です。記事中段にウルスタへの誘導CTAを掲載しています。記事内の事例は実際の管理物件の支援経験ですが、プライバシー保護のため一部詳細をぼかしています。自社で築40年超マンションの管理計画認定取得を支援した実体験に基づく記述です。

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よくある質問 FAQ|実務の疑問に答える

本記事の論点に関連する、現場でよく寄せられる質問への回答をまとめました。

Q1. 業務改善はどこから始めるべきですか?
A. 時間調査 (各業務の所要時間) を1週間実施し、上位3業務を特定するところから始めるのが鉄則です。改善効果の大きい業務に資源を集中投下できます。
Q2. DXとIT化の違いは何ですか?
A. IT化は既存業務を効率化するに留まり、DXは業務プロセスとビジネスモデル自体を再設計する取り組みです。中小不動産会社はまずIT化から始め、段階的に DX へ進化するのが現実的です。
Q3. SaaS 導入の予算感はどれくらいですか?
A. 中小規模会社で月額5-15万円、年間60-180万円が目安。ROI は導入1年以内に200-300%に達する事例が一般的です。
Q4. 業務マニュアルはどう整備すべきですか?
A. 動画 + チェックリスト + テンプレートの3点セットが最も定着率が高くなります。文書だけでは新人の習得に時間がかかります。
Q5. 業務改善が現場に定着しない原因は?
A. 「経営層の本気度が見えない」「個人にメリットが提示されない」「中間管理層が抵抗する」の3点が主要原因。トップダウンと現場ボトムアップの両輪設計が必要です。
現場メモ|よくある失敗と対処
実務で繰り返し起きる失敗と、その対処
▸ よくある失敗

Excelで入居者・契約・更新・修繕を別ファイル管理していた。更新時期が来た入居者の修繕履歴を確認するのに、3ファイルを開いて該当行を探す作業で1件あたり10分かかっていた。月20件の更新案件で月3.3時間、年40時間が「ファイルを開く」だけに溶けていた。

▸ そこから得た学び

賃貸管理の業務時間の半分以上は「情報を探す」時間。一元管理の本当の価値はデータの正確性ではなく、検索時間の短縮による意思決定スピードの改善。

▸ 今やるべきこと

入居者・契約・修繕・更新を1画面で見える化する仕組みを最優先で整える。Excelでも構わないが、最低限「入居者ID」で関連情報がワンクリックで紐づく状態を作る。

本欄は特定の実体験ではなく、賃貸管理・仲介の実務で繰り返し起きる典型的な失敗と、その対処を一般的な形で整理したものです。

同じテーマで深掘りしたい場合や、関連する論点を整理する際にお読みください。

出典・参考資料

本記事の数字は、筆者が自社で保有する物件と、伴走した管理会社の記録に基づく実務値です。公的統計を引用した箇所には、その都度本文中に出典を示しています。

よくある質問

Q. 賃貸管理を効率化したい場合、何から始めればよいですか?
賃貸管理の効率化は、まず現在の業務フローを可視化することから始まります。多くの企業が手作業で行っている「家賃徴収管理」「原状回復の報告」「クレーム対応」などの業務を整理し、どこにボトルネックがあるか確認しましょう。その上で、SaaS ツールの導入や自動化を検討することが、実質的な人件費削減につながります。
Q. SaaS ツールで賃貸管理業務は本当に削減できるのか?
はい、適切に導入すれば 1 人当たり月 20~30 時間の削減が可能です。特に「家賃管理」「滞納催促」「報告書自動生成」の 3 つの業務を SaaS で自動化すると、効果が大きいです。ただし導入直後は操作習得に時間がかかるため、初期 2~3 ヶ月は余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。
Q. 家賃滞納への対応を効率化する方法は?
賃貸管理SaaS の滞納管理機能を使うと、「滞納日数」「過去滞納回数」「催促状況」がダッシュボード表示され、対応優先度が自動で判定されます。これにより、営業スタッフが感覚で判断していた部分が 数値化 され、法的対応に移行するタイミングも明確になります。結果として、滞納期間の短縮化と回収率向上が期待できます。