同じ制度なのに、賃貸アパートだけ線が7.5倍のところに引かれています。令和8年8月7日、国土交通省が建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案を公示しました(案件番号155260719)。中身は一点で、上位住宅トップランナー事業者を指定するための戸数を決めることです。建売戸建て住宅・分譲マンション・注文戸建て住宅がそれぞれ2,000戸、賃貸アパートだけ15,000戸。意見公募の締切は令和8年9月6日17時、公布は令和8年9月、施行は令和9年4月1日が予定されています。
締切は9月6日17時。施行予定は令和9年4月1日
e-Govの意見募集案件(案件番号155260719)は、案の公示日が令和8年8月7日、受付開始が同日17時、受付締切が令和8年9月6日17時です。カテゴリーは「建築、住宅」、所管は国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付。
概要資料に書かれている今後のスケジュールは、公布 令和8年9月/施行 令和9年4月1日です。施行日は改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日にそろえられています。公布から施行まで半年強あり、建築基準法まわりの改正案でよくある「2か月弱で施行」とは時間の余裕がまるで違います。あわてる話ではありませんが、令和9年度の事業計画を組むときには入っている必要があります。
【要点】いま押さえる3点
| 押さえること | 根拠 |
|---|---|
| この政令案が決めるのは戸数だけ。制度の中身は令和8年7月に公布済みの改正法(令和8年法律第75号)に書かれている | 規制の事前評価書の「規制の名称」が「上位住宅トップランナー事業者の指定に係る基準となる住宅の戸数の設定(令第6条、第8条)」となっている |
| 賃貸アパートだけ15,000戸。ほかの3区分は各2,000戸 | 概要資料の「2.改正の概要」。令新第6条第1項・第2項、新第8条第1項・第2項 |
| 線は「上位4分の1」から逆算されている。2021〜2024年度の4年間の供給実績が根拠 | 規制の事前評価書「必要となる規制新設・拡充の内容」 |
いまの住宅トップランナー制度|150戸・300戸・1,000戸
4つの区分と、現行の戸数
上位住宅トップランナーは、既存の住宅トップランナー制度の上に載る仕組みです。まず土台のほうを確認します。現行制度は、自らが定めた規格に基づいて住宅を供給する事業者のうち、一定戸数以上を供給した者に対し、供給する住宅の省エネ性能を国土交通大臣に報告させ、トップランナー基準の達成を努力義務として求めるものです。区分と戸数は次のとおりです。
| 区分 | 誰が対象か | 現行の戸数(報告義務) |
|---|---|---|
| 建売戸建住宅 | 規格に基づき一戸建てを新築して分譲する建築主 | 150戸以上 |
| 注文戸建住宅 | 規格に基づき一戸建てを建設する工事を請け負う者 | 300戸以上 |
| 分譲マンション | 規格に基づき共同住宅等を新築して分譲する建築主 | 1,000戸以上 |
| 賃貸アパート | 規格に基づき共同住宅等を建設する工事を請け負う者 | 1,000戸以上 |
数え方は区分ごとです。注文戸建500戸・賃貸100戸・建売100戸という会社は、注文戸建についてだけ報告します。戸数は年度内に確認済証が交付された住宅で数え、確認は取ったが実際に建てなかったものは除きます。展示場のモデルハウスは数えません。
「賃貸アパート」は、賃貸だから対象なのではない
ここが最初の落とし穴です。区分の名前は「賃貸アパート」ですが、賃貸かどうかは判定基準ではありません。国土交通省の説明では、これは分かりやすさのための便宜的な呼び方で、実体は「自らが定めた共同住宅等(共同住宅または長屋)の構造・設備に関する規格に基づき、新たに建設する工事を業として請け負う者が建設する共同住宅等」です。つまり判定軸は請負契約かどうかであって、完成後に賃貸するかどうかではありません。
その結果、直感と逆になる場面が出ます。国土交通省のQAは、大家から規格に基づいて設計・工事を請け負って建てた場合は「大家がその住宅を賃貸するか分譲するかによらず」賃貸アパートとして報告対象だと明記しています。逆に、自社保有で賃料収入を得る場合や、自社が建設したあとに一棟売却を行う場合は報告対象になりません。建売のアパートも、請負契約による建設ではないため対象外です。
対象がなくても連絡が要る
見落とされがちですが、賃貸アパートの実施要領書には、報告対象となる住宅がない場合(1,000戸未満)についても、報告日・会社名・代表者名・連絡担当者の氏名と連絡先・報告対象とならなかった住宅の戸数を明記してメールで連絡するよう書かれています。ゼロ回答も回答のうち、という設計です。
そして、報告の重みも軽くありません。国土交通省のQAは、実際に供給した住宅と異なる虚偽の報告をした者、または報告をしない者は50万円以下の罰金となる可能性があるとし、必要に応じて建築物省エネ法に基づく事務所等への立入検査を行うことも可能だと述べています。
政令案が定めるのは「指定の戸数」だけ
令第6条と第8条に入る4つの数字
改正法では、住宅の供給量が特に多い事業者を国土交通大臣が指定し、指定を受けた事業者を上位住宅トップランナーとします。指定の基準は「前年度の住宅の供給量が、住宅市場に占める割合が特に大きいものとして政令で定める戸数以上であること」。その戸数を埋めるのが今回の政令案です。
| 類型(かっこ内は概要資料の言い換え) | 基準戸数 | 政令の条項 | 現行との倍率 |
|---|---|---|---|
| 特別特定一戸建て住宅建築主(建売戸建て住宅) | 2,000戸 | 新第6条第1項 | 約13.3倍 |
| 特別特定共同住宅等建築主(分譲マンション) | 2,000戸 | 同条第2項 | 2倍 |
| 特別特定一戸建て住宅建設工事業者(注文戸建て住宅) | 2,000戸 | 新第8条第1項 | 約6.7倍 |
| 特別特定共同住宅等建設工事業者(賃貸アパート) | 15,000戸 | 同条第2項 | 15倍 |
建築主側(分譲するほう)が新法第22条の2、建設工事業者側(請け負うほう)が新法第25条の2という並びです。指定の基準は第22条の2第1項および第5項、第25条の2第1項および第5項に置かれています。
ライフサイクルカーボンの届出は、この政令案ではない
混同しやすいので先に切り離しておきます。令和8年3月27日に閣議決定された改正法案の概要には、上位住宅トップランナー制度のほかに、ライフサイクルカーボン評価制度(特定用途の一定規模以上の建築について、着工の14日前までに評価結果等を国土交通大臣へ届け出る義務の創設)、先導的な省エネ技術を評価する大臣認定、建築物の環境性能の第三者認証・表示制度、そして法律名を「建築物のエネルギー消費性能の向上及び脱炭素化の促進に関する法律」に改めることが並んでいます。
このうち、ライフサイクルカーボン届出の具体的な用途と規模は「政令で規定」とされていますが、今回の政令案には入っていません。今回の案の題名も、改正後の新しい法律名ではなく現行の「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令」のままです。建築物省エネ法まわりの政令改正が今後もう一段ある前提で読んでください。
賃貸アパートだけ15,000戸。なぜ7.5倍なのか
「上位4分の1」という設計思想
規制の事前評価書に、線の引き方がはっきり書かれています。2021〜2024年度の4年間における住宅トップランナー事業者による供給実績を踏まえ、住宅市場全体の累積供給量の上位4分の1を占める事業者が上位住宅トップランナーとして指定されるよう、前年度の供給戸数を定める、というものです。閣議決定時の法律案概要も「概ね市場の1/4を占める住宅供給事業者を指定」と表現しています。
ここから逆算すると、数字の意味が変わって見えてきます。4区分すべてに「上位4分の1」という同じ物差しを当てて、賃貸アパートだけ15,000戸という答えが出た。それはこの市場が、それだけ少数の事業者に集中しているということです。建売や注文戸建なら2,000戸で市場の4分の1に届くのに、賃貸アパートでは7.5倍積まないと同じ地点に着かない。制度の意図ではなく、市場の形がこの数字を決めています。
現行比では15倍。4区分でいちばん大きな跳ね上がり
倍率で見ると、賃貸アパートの1,000戸→15,000戸が最大です。分譲マンションは1,000戸→2,000戸の2倍にとどまります。同じ「共同住宅等」でも、分譲か請負かで7.5倍の差がつく。ここも、賃貸アパート市場の集中度がそのまま出ています。
実務的な意味はこうです。年に数百戸から千数百戸を建てる地域の建設会社やアパートメーカーは、現行の報告義務は負い続けるが、上位住宅トップランナーには指定されない。指定されるのは、全国規模で賃貸住宅を供給する数社です。
指定されると何が増えるのか
努力義務から、計画と報告へ
現行のトップランナー制度は、供給した住宅の性能を報告させ、トップランナー基準への適合を努力義務として求める仕組みでした。目標年度に達成が不十分であれば、国土交通大臣が勧告し、従わなければ公表、命令(罰則)という段取りです。
上位住宅トップランナーに指定されると、これに中長期的な計画の作成(新法第22条の4、第25条の4)とその計画の取組状況の報告(新法第22条の5、第25条の5)が加わります。閣議決定時の概要では「目標を含む中長期的な計画を策定し、その取組状況を毎年度国土交通大臣に報告しなければならない」と義務として書かれています。実績の事後報告だけだったものに、将来の目標という軸が入る。ここが制度としての変わり目です。
基準戸数を超えたら届け出る
指定は国が一方的に見つけてくれるものではありません。規制の事前評価書によれば、住宅トップランナー事業者は、前年度に供給した住宅の戸数が基準戸数以上となった場合には、供給した戸数を国土交通大臣に届け出なければならないとされています(改正法第22条の2第2項および第6項、第25条の2第2項および第6項)。概要資料は同じ項に4類型の名称を対応させています。
中小不動産会社に効く3つの経路
正直に書きます。この記事を読んでいる会社が15,000戸を建てることは、まずありません。それでも読む価値があるのは、効き方が間接的だからです。
経路1:令和9年度、賃貸アパートの基準が▲10%から▲20%へ
いちばん実額に近いのはここです。賃貸アパートの実施要領書に載っている住宅トップランナー基準の水準は、次のとおりです。
| 目標年度 | 外皮基準 | 一次エネルギー消費量基準 |
|---|---|---|
| 令和6年度(2024年度)以降に新築する住宅 | 全ての住戸が省エネ基準に適合 | 全ての住宅の平均で省エネ基準▲10% |
| 令和9年度(2027年度)以降に新築する住宅 | 全ての住戸が強化外皮基準に適合 | 全ての住宅の平均で省エネ基準▲20% |
上位住宅トップランナーの政令が施行される令和9年4月1日と、賃貸アパートのトップランナー基準が一段上がる令和9年度は、同じ時点です。そして基準が上がるのは1,000戸以上の請負事業者すべてであって、15,000戸の上位層に限りません。地主に賃貸住宅の建築を提案する立場なら、令和9年度着工分から断熱仕様と設備仕様が一段上がった見積もりが出てくる前提で、事業収支を組み直す必要があります。
経路2:数年先の標準仕様が、読めるようになる
上位住宅トップランナーが作る中長期的な計画は、その事業者が数年かけて到達させる省エネ性能の目標を含みます。取組状況は毎年度報告されます。賃貸住宅の供給量で市場の4分の1を占める層が、いつ何をどこまで上げるかの見通しを立てるということです。
サブリースや一括借上げの条件を交渉する側、あるいは管理を受託する側から見れば、これは相手方の設備更新計画の輪郭が見える材料になります。「いま提案されている仕様は、2年後の標準に対してどうなのか」を問える立場になる、という言い方でもいい。
経路3:既存ストックの見え方が相対的に変わる
新築賃貸住宅の平均性能が上がるほど、既存の物件は同じ場所に立っていても相対的に見劣りします。建築物省エネ法には販売・賃貸時の省エネ性能表示の仕組みが別途あり、募集広告の段階で性能が可視化される方向に動いています。
この経路は、賃貸管理会社にとってはむしろ本題です。令和9年度以降に供給される新築アパートの水準が上がったとき、築15年の自主管理物件をどう位置づけるのか。窓の交換や給湯器の更新をいつ提案するのか。制度は新築にしか手を出していませんが、比較の基準線は勝手に上がっていきます。
どの区分で数えるか|用語の落とし穴
戸数の話は、区分を間違えると全部ずれます。国土交通省のQAから、実務で当たりやすいものを拾います。
| ケース | 扱い |
|---|---|
| 自社保有で賃料収入を得る共同住宅/自社建設後の一棟売却 | 報告の対象とならない |
| 大家から規格に基づき請け負って建設(大家が賃貸でも分譲でも) | 賃貸アパートとして対象 |
| 建売のアパート | 請負契約による建設ではないため対象外 |
| 店舗等を併用した注文戸建住宅 | 報告の対象ではない |
| 店舗等を併用した賃貸アパート | 報告の対象となる |
| 投資用ワンルームマンション | 分譲マンションで報告 |
| 寄宿舎・下宿 | 分譲マンションの対象外。賃貸アパートに該当すれば賃貸アパートとして対象 |
| 共同企業体(JV)による分譲マンション | 出資比率に応じて按分。対象事業者かどうかはJV単位ではなく事業者単位で判断 |
| フランチャイズ | 報告は法人単位。加盟店の戸数を本部に合算しない |
| 2世帯住宅 | 建築基準法上の戸建住宅なら戸建、共同住宅・長屋なら賃貸アパート |
店舗併用の扱いが戸建と共同住宅で逆になっているのは、覚えておく価値があります。1階が店舗のアパートは数に入り、1階が店舗の注文住宅は入りません。
いま動いている別の期限:報告が9月15日まで延びています
政令案とは別に、いま目の前で締切が動いている手続があります。令和8年度の住宅トップランナー報告(令和7年度供給実績分)です。
対象は令和7年4月1日から令和8年3月31日までに確認済証が交付された建売戸建住宅・注文戸建住宅・賃貸アパート・分譲マンション。提出期限は当初令和8年8月31日(月)でしたが、国土交通省のページで令和8年9月15日(火)まで延長が案内されています。政令案の意見公募(9月6日17時)と、報告の延長後の期限(9月15日)が、同じ9月に並んでいます。報告は住宅トップランナー報告システムから行い、エネルギー消費性能計算プログラムが出力したPDFを無加工で提出する形です。
日付と手続の一覧
| 日付 | できごと |
|---|---|
| 令和8年3月27日 | 改正法案を閣議決定(ライフサイクルカーボン評価制度、上位住宅トップランナー制度ほか) |
| 令和8年7月 | 改正法(令和8年法律第75号)が成立・公布 |
| 令和8年8月7日17時 | 政令案の意見公募 受付開始(案件番号155260719) |
| 令和8年8月20日 | 令和8年度の住宅トップランナー報告について、国土交通省が期限延長を掲載 |
| 令和8年9月6日17時 | 政令案の意見公募 締切 |
| 令和8年9月 | 政令 公布(予定) |
| 令和8年9月15日 | 令和8年度 住宅トップランナー報告の提出期限(延長後) |
| 令和9年4月1日 | 政令 施行(予定)。改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日 |
| 令和9年度(2027年度)以降 | 賃貸アパートのトップランナー基準が強化外皮基準・省エネ基準▲20%へ |
| 施行から5年後 | 事後評価を実施(改正法の事後評価に含めて実施) |
9月6日までにやること
意見を出すかどうかにかかわらず、手を動かす価値があるのは次の3つです。
1. 自社と取引先が、現行制度のどこに立っているかを1枚にする。自社が建設を請け負っている共同住宅の年間戸数、地主に紹介しているアパートメーカーの供給規模、その会社が現行の報告対象(1,000戸以上)に入っているか。令和9年度に基準が上がるのは1,000戸以上の事業者であって、15,000戸の上位層だけではありません。ここを取り違えると、影響範囲を過小に見積もります。
2. 令和9年度着工分の事業収支を、いまの仕様のまま置かない。強化外皮基準と一次エネルギー▲20%に届く仕様は、いまの標準仕様とは違います。地主向けの提案書に載っている建築費と想定家賃が、令和9年度以降そのまま通るかを確認してください。
3. 意見を出すなら、要領の全文を先に読む。e-Govの案件ページには、意見募集要領(提出先を含む)と命令などの案の全部を確認したうえで提出するよう明記されています。提出方法、記載を求められる事項、意見の取扱いは案件ごとに異なります。
よくある質問
Q. うちは年に数十戸です。この政令案で新しい義務が増えますか。
A. この政令案そのものからは増えません。規制の事前評価書は、本規制案について新たな遵守費用は想定されない、新たな行政費用も想定されない、その他の負担も現時点で想定されないと記載しています。戸数の基準を明確にして定量的な判定を可能にするもの、という位置づけです。ただし、令和9年度に賃貸アパートのトップランナー基準が上がることは別の話で、こちらは1,000戸以上の請負事業者に効きます。
Q. 「上位住宅トップランナー」に指定されるのは何社くらいですか。
A. 公表資料に社数は書かれていません。書かれているのは「住宅市場全体の累積供給量の上位4分の1を占める事業者が指定されるよう」戸数を定めた、という設計の考え方だけです。何社になるかは、各年度の供給実績によって変わります。社数を推測して書いている記事があれば、出典を確かめてください。
Q. 自社で建てて自社で貸しているアパートは、戸数に数えますか。
A. 数えません。国土交通省のQAは、資産運営の形態にかかわらず、自らが定めた規格に基づき請負契約により共同住宅等を建設する場合が「賃貸アパート」に当たるとしたうえで、自社保有で賃料収入を得る場合や、自社で建設した後に一棟売却を行う場合は報告の対象とならないと明記しています。
Q. ある年度だけ基準戸数を超えた場合、その後ずっと対象になりますか。
A. 現行制度については、超えた年度の翌年度に基準戸数を下回れば報告は不要になる、という趣旨のQAが公表されています。年度ごとの判定です。上位住宅トップランナーの指定も「前年度の住宅の供給量」を基準に置いています。
Q. 誘導仕様基準で設計しています。報告のために計算をやり直す必要はありますか。
A. 国土交通省のQAは、誘導仕様基準に適合している場合は省エネ計算を再度行う必要はないとしています。ただし注文戸建住宅については、トップランナー基準の引き上げに伴い2027年度以降は誘導仕様基準を用いた場合であっても再計算が必要と注記されています。
Q. 法律の名前が変わると聞きました。今回の政令もその名前になりますか。
A. 令和8年3月27日の閣議決定時の法律案概要には、法律名を「建築物のエネルギー消費性能の向上及び脱炭素化の促進に関する法律」に改める措置が含まれています。一方で今回の政令案の題名は、現行の「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令」のままです。公表資料はこの点の理由を説明していないため、本稿では推測を書きません。
出典
| 記述 | 出典 |
|---|---|
| 案件番号155260719、案の公示日、受付開始・締切日時、根拠法令条項、所管、資料の一覧 | e-Govパブリック・コメント「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集について」 |
| 4類型と基準戸数(2,000戸/2,000戸/2,000戸/15,000戸)、令新第6条・新第8条の条項、中長期計画と報告の根拠条文、公布令和8年9月・施行令和9年4月1日の予定 | 国土交通省住宅局「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律施行令の一部を改正する政令案について(概要)」(令和8年8月) |
| 「上位4分の1」という線の引き方、2021〜2024年度の供給実績が根拠であること、規制の区分が新設であること、遵守費用・行政費用が想定されないこと、届出義務、意見聴取の内容、事後評価は施行から5年 | 国土交通省「規制の事前評価書」(評価実施時期 令和8年8月7日) |
| 改正法案の5つの柱、「概ね市場の1/4」という表現、ライフサイクルカーボン届出の用途・規模は政令で規定すること、法律名の改称、閣議決定日 | 国土交通省「『建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律案』を閣議決定」(令和8年3月27日) |
| 現行の区分と戸数(150戸/300戸/1,000戸/1,000戸)、報告対象期間、提出期限の令和8年9月15日への延長、報告システムと計算プログラム | 国土交通省「住宅トップランナー制度の概要」 |
| 賃貸アパートの定義(法第26条第4項に基づく報告)、令和6年度・令和9年度の基準水準、対象がない場合のメール連絡、当初の提出期限 | 国土交通省「実施要領書(賃貸アパート編)」 |
| 区分の判定(自社保有・一棟売却・建売アパート・店舗併用・投資用ワンルーム・寄宿舎・JV・フランチャイズ・2世帯住宅)、年度ごとの判定、誘導仕様基準と再計算、虚偽報告の罰金、モデルハウスの扱い | 国土交通省「住宅トップランナー報告QA」 |
書かなかったこと
明記しておきます。上位住宅トップランナーに指定される事業者の社名も社数も書いていません。公表資料に記載がないためです。各社の年間供給戸数も推計していません。また、ライフサイクルカーボン評価制度の届出対象となる用途と規模、第三者認証制度の運用は今回の政令案の範囲外であり、扱っていません。「令和8年9月公布」「令和9年4月1日施行」はいずれも概要資料が示す予定であって確定ではなく、意見公募の結果として案が修正される可能性もあります。
この改正案の芯は、戸数の大小ではありません。同じ「上位4分の1」という物差しを4区分に当てたら、賃貸アパートだけ7.5倍の数字が返ってきたという事実のほうです。賃貸住宅の供給は、それだけ少数の手に握られている。その少数が令和9年度に仕様を上げるとき、影響を受けるのは指定された会社ではなく、その物件の隣で古い建物を回している会社です。
本稿は公示された政令案および国土交通省の公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別の事業計画や報告義務の有無を判断するものではありません。賃貸管理と売買仲介の実務はウルスタのコラムで書いています。
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