同じ50㎡という数字が、3つの制度で同時に40㎡へ下がろうとしています。国土交通省の令和9年度税制改正要望が公表されました。国土交通省のウェブサイトの表記は「令和8年8月28日公表」です。項目は主要項目だけで33本、その大半は「延長」の2文字で終わります。ですが、延長ではない行が3本あります。本稿はそこだけを拾い、中小不動産会社の実務で何が変わるのかを書きます。
8月28日に出たのは「要望」であって、決まったことではありません
はじめに、いちばん大事な前提を書きます。税制改正要望は、各省庁が財務省と総務省に「こうしてほしい」と出す文書です。ここに書かれた内容が、そのまま制度になるわけではありません。実際に決まるのは12月の与党税制改正大綱で、条文になるのは翌年の通常国会です。
本稿も「こうなります」ではなく「こう要望されています」と書きます。お客様への説明も同じにしてください。8月末の要望を「決まった」と伝えて12月にひっくり返ると、次の説明まで信じてもらえなくなります。
日付も正確に書いておきます。国土交通省のウェブサイトは「令和8年8月28日公表」と記載していますが、PDF本体の表紙は「令和8年8月」までで日が入っていません。本稿の「8月28日」はウェブサイトの表記に拠ります。
【要点】中小不動産会社が見ておく3本の線
| 線 | 要望の中身 | 効いてくる場面 |
|---|---|---|
| 床面積の線 | 50㎡以上という要件を40㎡以上へ緩和(登録免許税の住宅用家屋特例/買取再販/市街地再開発の権利床) | 単身向け・コンパクト住戸の売買。いままで「特例が使えないので登記費用が高い」と説明していた帯が動きます |
| 災害レッドゾーンの線 | 土砂災害等の災害レッドゾーン内で新築された住宅は、登録免許税の特例の適用対象外とする | 新築の登記費用の見積り。今回の要望のなかで、唯一「狭める」方向の項目です |
| 民事信託の線 | 空き家の3,000万円特別控除に、相続・遺贈と同視し得る民事信託契約の終了に伴う取得を追加。あわせて築年要件を緩和し、4年延長 | 親の家の出口。信託を組んだ家は控除が使えないという、いまの読み方が変わる可能性があります |
この3本以外は、ほぼ「延長」です。延長は、いま使えている特例が来年度も使えるという話なので、見落としても事故にはなりません。逆に、この3本は見落とすと見積りが狂います。
期限は令和9年3月31日に集まっています
要望書の書きぶりは、どれも「現行の特例措置を◯年間(令和9年4月1日〜)延長する」です。つまり、ここに並んでいる特例の期限は、そろって令和9年3月31日です。延長されなければ、令和9年4月1日から本則に戻ります。
| 特例 | 現行の中身 | 要望 |
|---|---|---|
| 住宅用家屋の登録免許税 | 保存登記 0.4%→0.15%/移転登記 2%→0.3%/抵当権設定 0.4%→0.1% | 2年延長+40㎡へ緩和+災害レッドゾーンを対象外 |
| 買取再販の登録免許税・不動産取得税 | 買主の移転登記 0.1%/宅建業者の取得分を減額 | 2年延長+40㎡へ緩和 |
| 土地等の不動産取得税 | 宅地評価土地は課税標準1/2/税率 4%→3% | 3年延長 |
| 工事請負・不動産譲渡契約書の印紙税 | 契約金額に応じて20〜50%減 | 3年延長 |
| 土地の固定資産税の負担調整措置・条例減額制度 | 負担水準に応じた課税標準の調整 | 3年延長 |
| 大規模修繕マンションの固定資産税 | 工事翌年度の建物部分を減額(参酌基準1/3) | 3年延長+要件の見直し・拡充 |
| 空き家の3,000万円特別控除 | 相続した被相続人の居住用家屋等の譲渡所得から控除 | 4年延長(令和10年1月1日〜令和13年12月31日)+築年要件の緩和+民事信託の追加 |
空き家の特例だけ、延長の起点が令和10年1月1日です。所得税の特例なので、年度ではなく暦年で区切られているからです。つまりこの特例の現行期限は令和9年12月31日で、ほかの項目より9か月遅い。一覧にするときは、ここを同じ行に並べないでください。
第一の線:床面積が50㎡から40㎡へ。3つの制度で揃いました
要望書のなかで「床面積要件を50㎡以上から40㎡以上へ緩和する」という同じ一文が、3か所に出てきます。住宅用家屋の登録免許税の特例、買取再販の特例、そして市街地再開発事業の権利床に係る固定資産税の減額措置です(再開発は「50㎡以上280㎡以下」の下限側の緩和)。
なぜ40㎡なのか|住生活基本計画の一文
根拠は要望書に書かれています。令和8年3月27日に閣議決定された住生活基本計画です。住宅性能水準のなかに、今後供給・流通を促していく住宅の規模について、2050年に向けて増加が見込まれる単身世帯が都市居住にあたってゆとりのある住生活を営むことができる規模等を考慮して「40㎡程度を上回る住宅とする」という記述があります。
要望書は世帯構成の変化も並べています。1人世帯の割合は1980年の19.8%から2020年に38.0%へ、1世帯当たり人員は3.22人から2.21人へ。50㎡は、4人世帯が標準だった時代の線です。
40㎡緩和が効くのは、どの取引か
効くのは、おおむね専有面積40㎡台の区分所有マンションです。いまは50㎡を1㎡でも下回ると、住宅用家屋証明が取れず、登録免許税は本則になります。要望書が示す効果イメージでは、固定資産税評価額2,000万円の中古住宅で移転登記が40万円から6万円へ、34万円の軽減、抵当権設定が8万円から2万円へ、6万円の軽減です。
ただし、登記の面積と広告の面積は違います。住宅用家屋証明で見るのは登記簿上の床面積で、マンションの場合は内法(うちのり)です。壁芯で42㎡の住戸が、登記簿では39㎡台ということが普通に起きます。40㎡へ下がっても、壁芯42㎡の物件が自動的に対象になるわけではありません。いまの50㎡でも同じ間違いが起きているので、ここは制度が変わっても変わりません。
第二の線:災害レッドゾーンの新築住宅を、特例から外す
住宅用家屋の登録免許税の項目は、要望内容が3行あります。2年延長、40㎡への緩和、そして「土砂災害等の災害レッドゾーン内で新築された住宅は適用対象外とする」です。
「拡充等」の中に、狭める要望が入っています
この項目の見出しは「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の拡充等」です。拡充という見出しの下に、対象を狭める一行が入っています。見出しだけ拾って社内共有すると、この行は消えます。
本稿が読んだ要望書には、「災害レッドゾーン」がどの区域を指すかの定義は書かれていません。書かれているのは「土砂災害等の」という限定だけです。一般に災害レッドゾーンと呼ばれるのは、災害危険区域、土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域といった区域ですが、この特例で具体的にどこまで含むのかは、大綱と条文を待つ必要があります。本稿は推測で範囲を書きません。
重要事項説明とは、別の話です
混同しやすいので分けておきます。土砂災害特別警戒区域内であることは、いまも宅地建物取引業法の重要事項説明の対象です。説明義務があることと、登録免許税の特例が使えるかどうかは、別の制度の話です。
実務で効くのは見積りの順番です。ハザード情報の調査は、いまは重要事項説明の準備として契約前に行います。要望が通れば、同じ調査結果が登記費用の見積りにも効きます。資金計画の段階で区域を見ていないと、決済間際に登録免許税が変わる事故が起こり得ます。
第三の線:空き家3,000万円控除に、民事信託が入りました
相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除について、要望は3つあります。
相続・遺贈と同視し得る民事信託契約の終了
要望書の文言は「『相続・遺贈と同視し得る民事信託契約の終了に伴い家屋・敷地等を取得した場合』を対象に追加する」です。要望の背景欄には、「相続後に空き家が放置されないためには、民事信託の活用など、相続前の準備を進めておくことも重要」と書かれています。
認知症対策で家族信託を組んだ家が、控除の面では不利になる——この構図を直しにいく要望だ、と読めます。ただし「同視し得る」の範囲は要望書には書かれていません。受益者連続型はどうか、受託者が売却する場合はどうか、といった点は本稿では確認できていません。
築年要件の緩和と、4年延長
現行の対象家屋は昭和56年5月31日以前に建築された家屋に限られます。要望はこれを「緩和する」と書いていますが、どこまで緩めるかの数字は書かれていません。背景として挙げられているのは、制度創設後10年が経過し、新耐震基準を満たすような相続空き家であっても腐朽・破損のあるものが増加しているという事実です。
延長は4年間、令和10年1月1日から令和13年12月31日までです。現行の控除額は3,000万円、家屋とその敷地を相続した相続人が3人以上の場合は2,000万円。期間の縛りは、相続の日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで。ここは変わりません。
要望書が引いている数字も添えておきます。空き家の取得経緯は「相続」が58%で最多です(国土交通省・令和6年空き家所有者実態調査)。空き家は、買われて空き家になるのではなく、相続されて空き家になります。
買取再販の特例は、40㎡緩和と2年延長の両方
宅建業者が中古住宅を買い取り、リフォームして販売する買取再販の特例も、2年延長と40㎡への緩和が要望されています。現行は買主の所有権移転登記が0.1%(本則2%、一般住宅特例0.3%)、宅建業者側は不動産取得税を住宅部分は築年月日に応じて最大36万円、敷地部分は床面積に応じて最低4.5万円減額です(敷地部分は対象住宅が安心R住宅であるか、既存住宅売買瑕疵保険に加入する場合)。
40㎡緩和が通れば、いままで買取再販のスキームに乗せられなかった40㎡台の住戸が対象に入ります。単身向けの中古を扱う会社は、仕入れの判断が変わり得ます。ただし、通ればの話です。
令和9年度は、固定資産税の評価替えの年です
土地の固定資産税の負担調整措置と条例減額制度は、3年延長が要望されています。この項目の背景欄が、いちばん率直です。
「令和9年度の評価替えに伴い、商業地等の固定資産税負担は大幅に増加する見込み」——要望書はこう書いています。固定資産税の評価替えは3年に1度で、次が令和9年度です。要望書に載っている商業地の地価動向は、平成20年を100とした指数で、令和6年から令和8年にかけて三大都市圏平均が大きく伸びています。
負担調整措置は、負担水準(前年度の課税標準額÷評価額)に応じて課税標準額を段階的にならす仕組みです。商業地等は評価額の70%が上限で、負担水準が60%未満なら前年度の課税標準額に評価額の5%を加算します。
賃貸オーナーへの説明で使えるのは、ここです。令和9年度は評価替えの年で、地価が上がった地域では評価額が上がる。その上がり方をならしているのが負担調整措置で、それはいま延長を要望している最中である。この3点を先に伝えておくと、来年の納税通知書で驚かれずに済みます。
印紙税の軽減は3年延長の要望
工事請負契約書と不動産譲渡契約書の印紙税の軽減も、3年延長が要望されています。契約金額が大きいほど軽減率は下がる形です。
| 契約金額 | 本則 | 現行の特例 |
|---|---|---|
| 500万円超 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円(50%減) |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円(50%減) |
| 5,000万円超 1億円以下 | 6万円 | 3万円(50%減) |
| 1億円超 5億円以下 | 10万円 | 6万円(40%減) |
| 5億円超 10億円以下 | 20万円 | 16万円(20%減) |
この表の区分は、工事請負契約書と不動産譲渡契約書で共通する帯だけを載せています。500万円以下の帯は、契約書の種類によって金額の区切りが違うので、本稿では扱いません。売買契約書の印紙は、いま5,000万円の物件で1万円です。延長されなければ2万円に戻ります。
土地の不動産取得税|買っているのは個人と中小企業です
土地等の不動産取得税の特例(宅地評価土地は課税標準1/2、税率は本則4%を3%へ)は、3年延長の要望です。この項目に載っている内訳が、そのまま自社の顧客層の説明になります。件数ベースで土地購入者の60.3%が個人、35.7%が法人、4.0%が国・地方公共団体。さらに土地を購入する法人のうち、資本金1億円未満の中小企業が82.4%です(1億円以上は14.8%、その他2.8%)。出典は国土交通省「土地保有・動態調査(2024年取引分)」。土地の税制の話は、大手の話ではありません。
賃貸管理会社に効くのは、税ではなく予算のほうです
同じ8月28日に、令和9年度の予算概算要求も公表されています。賃貸管理会社にとっては、税制よりこちらのほうが直接的です。
不動産・建設経済局の要求資料に、こう書かれています。「地域価値共創の中核を担うことが期待される賃貸住宅管理業者の取組の質の向上や可視化を促すための、ガイドラインの策定や評価制度の創設のための技術的設計を行う」——新規または拡充の印が付いた項目です。予算枠は「地域価値共創に向けた優良な不動産ストックの流通・利活用」の173百万円のなかで、前年度8百万円からの大幅増です。
管理業者の仕事を「評価」して外から見えるようにする、という設計が始まります。登録制度が「登録しているかどうか」の線だったのに対して、評価制度は「どのくらいか」の線です。いまの時点でできることは、評価軸が公表されたときに答えられるだけの記録を残しておくことだけです。対応履歴、原状回復の判断、入居者からの連絡の一次応答時間。制度が来てから記録を始めても、過去の分は作れません。
住宅確保要配慮者向けの特例措置が「創設」で並んでいます
税制改正要望のⅢ章に、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に係る特例措置の創設(不動産取得税・固定資産税)」という項目があります。担当は住宅局安心居住推進課です。
本稿は、この項目の中身(軽減割合・対象・期間)を確認できていません。項目名と担当課までは要望書の目次と問合せ先一覧で確認しましたが、該当ページの本文までは読めていません。「創設」と書かれている以上、いまは存在しない措置です。中身が分からないものを、分かったように書きません。
予算側からは、方向は見えます。住宅局は「みんなが安心して良い住宅セーフティネットを提供できる環境整備モデル事業」を新規要求しており、居住サポート住宅の供給促進を図る先導的な取組を支援するとしています。類型は多主体連携型とサブリース型の2つで、サブリース型には管理会社が図に描かれています。居住支援協議会等活動支援事業は12.98億円。指定を受けた居住支援法人は令和8年6月30日時点で1,196法人、居住支援協議会は192協議会(全都道府県と157市区町村)です。
背景の数字も現場の感覚と合うはずです。高齢者・障害者の入居への拒否感は大家の約7割、拒否理由として孤独死の不安が約9割。単身高齢者の世帯数は738万世帯(2020年)から887万世帯(2030年)へ。
不動産IDは、令和9年度に試験運用へ
不動産・建設経済局の要求で、金額の動きがいちばん大きいのがここです。「建築・都市のDXのキーとなる『不動産ID』の整備推進」に500百万円。前年度は0で、皆増です。
ロードマップは、令和9年度が一部先行整備地域(東京都心部等を想定)における試験運用、社会実装は2030年代とされています。すぐに自社の物件データに番号が振られる話ではありません。ただし来年度は「試験運用が始まった」というニュースが出ます。いま自社の物件マスタで「同じ建物を別の名前で二重登録していないか」を見ておくと、後で効きます。
住宅局の要求は4,187億円。倍率は2.43です
住宅局の予算総括表は、公共事業3,585億円と行政経費602億円、合計4,187億円です。令和8年度は合計1,721億円。倍率欄の表記は2.43です。
| 区分 | 令和9年度要求・要望 | 令和8年度 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 公共事業 | 3,585億円 | 1,644億円 | 2.18 |
| 行政経費 | 602億円 | 76億円 | 7.87 |
| 合計 | 4,187億円 | 1,721億円 | 2.43 |
「約2.5倍」と紹介されることがありますが、総括表に書かれている数字は2.43です。社内資料に写すときは2.43を写してください。丸めた数字をさらに丸めると、元の資料と突き合わせられなくなります。なお区分は「公共事業」と「行政経費」の2つで、「非公共」という語は総括表にありません。
空き家関係では、空き家対策総合支援事業・空き家再生等推進事業が70.80億円(拡充)。使用目的のない空き家は212万戸(2003年)から386万戸(2023年)へ、約1.8倍です。
新築マンションの短期売買|数字のほうが先に出ています
税制改正要望には「新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置」という項目もあります。要望内容は「必要な検討を行い、所要の措置を講じる」で、具体的な税目も税率も書かれていません。載っているのは数字のほうです。短期売買(保存登記から1年以内に移転登記がなされたもの)の割合は、都心6区で2023年12.2%、2024年1〜6月7.1%。23区で2023年9.3%、2024年1〜6月5.7%。あわせて不動産協会が令和7年11月に公表した民間側の対策(登録・購入戸数の制限など)も併記されており、令和8年度税制改正大綱は「その結果も踏まえつつ」と書いています。まず民間の対策の効果を見る、という順番です。
やりがちな誤解3つ
誤解1:要望が出たから、来年4月から40㎡になる。なりません。決まるのは12月の大綱、条文は翌年の通常国会です。「要望が出ています」までが、いま言えることです。
誤解2:災害レッドゾーンの除外は、重要事項説明の話。別です。説明義務は宅建業法、特例の対象外は税制。ただし調べる資料は同じなので、段取りをまとめられます。
誤解3:延長要望が出ているから、期限は気にしなくていい。逆です。要望が出ているということは、いまの期限が令和9年3月31日(空き家特例は12月31日)だ、ということです。延長されなければ本則に戻ります。
今日からできる3つの準備
1つめ。手元の物件で、登記簿上の床面積が40㎡台の住戸を洗い出す。いま特例が使えず「登記費用が高くなります」と説明している物件です。要望が通れば説明が変わります。通らなければ、いままでどおりです。どちらでも困らないように、リストだけ作っておきます。
2つめ。新築の資金計画に、ハザード区域の確認を前倒しで入れる。いまは重要事項説明の準備として契約前に調べています。これを資金計画の段階へ半歩早めるだけで、災害レッドゾーンの除外が入っても対応できます。
3つめ。相続の相談で、信託を組んでいるかどうかを聞く。いままでは「信託だと3,000万円控除が使えない可能性がある」で終わっていた話です。要望が通れば、そこが変わります。いま聞いておけば、12月の大綱が出た時点で連絡すべき先が分かります。
よくある質問
Q. 税制改正要望は、どのくらいの確率で通りますか。
A. 本稿には確率を書きません。年度や項目によって扱いが違い、要望どおり通る項目も、期間が短くなる項目も、見送られる項目もあります。確率を示せる資料を、本稿は持っていません。12月の与党税制改正大綱で確認してください。
Q. 40㎡への緩和は、いつの取得から適用されますか。
A. 要望書には書かれていません。延長の期間は「令和9年4月1日〜令和11年3月31日」と明記されていますが、床面積要件の緩和がいつからの取得に適用されるかは、大綱と条文を待つ必要があります。
Q. 災害レッドゾーンに入っている既存の家を売る場合も、対象外になりますか。
A. 要望書の文言は「災害レッドゾーン内で新築された住宅」です。新築に係る記述なので、中古住宅の移転登記まで含むとは読めません。ただし、条文でどう書かれるかは確認が必要です。
Q. 空き家の3,000万円控除の築年要件は、何年まで緩和されますか。
A. 要望書は「緩和する」としか書いていません。数字はありません。現行は昭和56年5月31日以前に建築された家屋です。
出典
| 本文で使った内容 | 資料 |
|---|---|
| 令和9年度税制改正要望の公表日の表記、要望事項本体へのリンク | 国土交通省「令和9年度税制改正」 |
| 主要項目の一覧、40㎡緩和の3か所、災害レッドゾーンの除外、空き家特例、印紙税、土地の不動産取得税、固定資産税の負担調整措置、買取再販、大規模修繕マンション、短期売買の割合 | 国土交通省「令和9年度税制改正要望事項」(PDF・令和8年8月) |
| 「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に係る特例措置の創設」の項目名と担当課、「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の拡充等」の担当課 | 国土交通省「令和9年度税制改正要望 問合せ先一覧」(PDF) |
| 令和9年度予算概算要求の公表日の表記、組織別資料へのリンク | 国土交通省「令和9年度国土交通省予算概算要求概要」 |
| 住宅局の予算総括表(4,187億円/2.43倍)、空き家対策総合支援事業70.80億円、居住サポート住宅のモデル事業、居住支援協議会等活動支援事業12.98億円、居住支援法人・協議会の数、空き家戸数、単身高齢者世帯 | 国土交通省住宅局「令和9年度住宅局関係予算概算要求概要」(PDF) |
| 賃貸住宅管理業者のガイドライン策定と評価制度の技術的設計、不動産IDの500百万円と試験運用のロードマップ、不動産取引情報等の提供・実態把握 | 国土交通省不動産・建設経済局「令和9年度不動産・建設経済局関係予算概算要求概要」(PDF) |
| 令和9年度予算のページ構成(概算要求の掲載日) | 国土交通省「令和9年度予算」 |
| 税制改正・予算のページの所在 | 国土交通省「予算・決算・税制等」 |
書かなかったこと
国土交通省全体の概算要求額を書いていません。本稿は、住宅局と不動産・建設経済局の組織別資料は読みましたが、省全体の概算要求概要(本体)のPDFは開けませんでした。全体額や公共事業関係費の伸び率を紹介している記事もありますが、本稿が自分で確かめていない数字は載せません。
「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給に係る特例措置の創設」の中身を書いていません。項目名と担当課までしか確認できていないためです。創設される措置の軽減割合も対象も期間も、本稿は知りません。
印紙税の500万円以下の帯を書いていません。工事請負契約書と不動産譲渡契約書で金額の区切りが違い、資料の表から一対一で読み取れなかったためです。該当する契約金額の案件があるときは、要望書の表そのものに当たってください。
不動産特定共同事業の特例(小規模不特の築年数要件を築15年以上へ緩和し2年延長)は、要望書に載っていますが本稿では扱いません。不特事業については、施行規則の改正を扱った不動産特定共同事業法施行規則の改正の回で書いています。
最後に、この要望を一行にしておきます。世帯が小さくなったので面積の線を下げ、災害の場所には特例を出さないことにし、信託で持っている家にも出口を用意する。3本とも、いまの日本の家の持ち方の変化に、税の側が追いついていく形の要望です。ただし、追いつくかどうかが決まるのは12月です。
本稿は国土交通省の公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別の取引について税額を判断するものではありません。実際の適用は、税理士および所轄の税務署・都道府県税事務所への確認によってください。賃貸管理と売買仲介の実務はウルスタのコラムで書いています。
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