令和8年8月21日、東京都が「東京都高齢者いきいき住宅認定制度」と「東京都高齢者いきいき住宅供給促進事業」を開始しました。見守りや防犯対策などの安全・安心機能を備え、入居者同士や地域とのコミュニティ形成にも配慮した賃貸集合住宅を都が独自に認定し、認定住宅を整備する事業者等に整備費の一部を都が直接補助します。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会も8月25日に会員へ周知しました。この記事は、補助の表を1枚読むところから始めます。
補助の表に、空欄がひとつある
東京都の報道発表に載っている補助率と補助限度額の表を、そのまま並べます。
| 区分 | 新築 | 改修 |
|---|---|---|
| 補助対象事業費(A) | 認定住宅の新築工事に係る費用 | 認定取得に必要な改修工事に係る費用 |
| 基本補助金額 | Aの5分の1 | Aの3分の2 |
| 補助限度額:アドバンストモデル | 200万円/戸 | 260万円/戸 |
| 補助限度額:セレクトモデル | 150万円/戸 | 200万円/戸 |
| 補助限度額:セーフティモデル | (なし) | 100万円/戸 |
| 交流促進施設(B) | 500万円/申請 | 500万円/申請 |
2つ、目に留まるはずです。
ひとつめ。補助率が新築5分の1、改修3分の2で、3倍以上ちがいます。補助金は普通、新築のほうが金額が大きくなります。工事費そのものが大きいからです。ここでは率のほうが逆転しています。
ふたつめ。セーフティモデルの「新築」欄に金額がありません。報道発表の表では、この欄だけが「ー」です。いちばん軽いモデルは、新築では補助の対象にならない。改修のときだけ100万円/戸が出ます。
この2点を合わせると、制度の向きが読めます。これは高齢者向けの建物を新しく建てさせる制度ではありません。いま建っている賃貸住宅を、高齢者が住める状態に直させる制度です。都は報道発表でも「特に、既存住宅を改修して活用する取組を手厚く支援するとともに、耐震改修等を併せて行う場合は補助金を加算し、既存ストックの活用を促進します」と書いています。
いま押さえる4点
1. 対象は賃貸集合住宅である。認定するのは「見守り機能や防犯対策設備などを備え、交流機会の創出にも配慮した」賃貸集合住宅です。持ち家でも施設でもありません。管理会社が日常的に扱っている物件の話です。
2. 認定は3段階に分かれる。セーフティモデル、セレクトモデル、アドバンストモデルの3つで、後ろほど要求が重く、補助限度額も上がります。いきなり最上位を目指す必要はない構造になっています。
3. 耐震改修に上乗せがある。耐震性が不足した既存ストックを耐震改修して活用促進を図る取組には、耐震改修費の3分の2・上限200万円/戸が加算されます。旧耐震の木造アパートを持つオーナーにとって、これが一番効く行です。
4. 認定マークはまだ決まっていない。都は3案からの投票コンテストを令和8年8月21日から9月30日まで実施しています。制度が動き出したのに、認定住宅であることを示すマークはこれから決まる段階です。
認定制度の中身|3つのモデル
認定基準への適合状況に応じて、3つのモデルに分けて認定されます。都の報道発表の定義をそのまま引きます。
セーフティモデル
「見守り機能や防犯対策設備などを備え、交流機会の創出にも配慮したモデル」。3段階の入口です。改修で100万円/戸。新築の欄はありません。既存アパートに見守りの仕組みと防犯設備を入れて、共用部で顔が合う工夫をする、という水準だと読めます。
セレクトモデル
「セーフティモデルの取組に加え、高齢者が安心して快適に暮らせる住生活に配慮したモデル」。新築150万円/戸、改修200万円/戸。住戸の中の話——段差、手すり、温度、水回りといった住生活側の配慮が加わる層です。
アドバンストモデル
「セレクトモデルの取組に加え、交流促進施設等を備えたモデル」。新築200万円/戸、改修260万円/戸。ここだけ建物に部屋をひとつ足す話になります。交流促進施設には別枠で500万円/申請が用意されています。
3つの定義は入れ子です。セーフティに積んでセレクト、セレクトに積んでアドバンスト。下の層を飛ばして上に行く設計ではないので、まずセーフティで認定を取り、次の大規模修繕でセレクトへ上げる、という順番が組めます。
補助の設計を読む|なぜ改修が3分の2なのか
改修の補助率3分の2は、この分野の補助として高い水準です。比較になるのが国の制度です。
| 制度 | 改修の補助率 | 限度額の例 |
|---|---|---|
| 東京都 高齢者いきいき住宅供給促進事業 | 3分の2 | 100万円/戸(セーフティ)〜260万円/戸(アドバンスト) |
| 国 セーフティネット専用住宅改修事業(令和8年度) | 3分の1 | 基本62万円/戸等 |
率で2倍、限度額でも上回ります。ただし、この比較だけで判断しないでください。国のセーフティネット専用住宅改修事業は、管理期間が10年以上であることと、住宅確保要配慮者専用の住宅として登録することが要件です(この制度は別稿で扱いました)。限度額も「62万円/戸等」と書かれており、工事内容によって加算があります。
そして補助率が高いということは、都がそれだけ強く既存ストックの改修を進めたいということです。新築5分の1という低い率は、新築を排除はしないが優先もしない、という意思表示に読めます。
ここまでの数字は「概要」の数字です
大事な注意をひとつ。本稿がここまで挙げた補助の数字は、令和8年8月21日の報道発表に載っている表の数字です。報道発表は制度の概要を伝える文書であって、交付の要件を定める文書ではありません。
実際に申請するときに効くのは、住宅政策本部の「東京都高齢者いきいき住宅供給促進事業」のページと、そこから辿れる交付要綱です。一般に、概要資料と要綱では項目の立て方も、単位の書き方も、加算の適用条件も、粒度が違います。報道発表の表で1行にまとまっている加算が、要綱では複数の項目に分かれていて、それぞれに新築限定・改修限定といった条件が付いていることは珍しくありません。
また、補助を受ける以上、認定を一定期間続けることや、入居費用の水準に関する条件が置かれるのが通例です。本稿は報道発表を出典としており、そうした要件の有無と中身までは確認していません。オーナーに数字を出す前に、必ず要綱そのものを取り寄せてください。補助率と上限額だけを持って行くと、あとから条件を伝えることになります。
3つの加算が示しているもの
基本の補助に加えて、3つの加算があります。この3つが、都の狙いをいちばん具体的に語っています。
| 加算する取組 | 金額 |
|---|---|
| 耐震性が不足した既存ストックを耐震改修して活用促進を図る取組 | 耐震改修費の3分の2、上限200万円/戸 |
| 認定基準に基づく取組に加え、暑さ対策やヒートショック予防のため高い環境性能に向上させる取組 | 新築100万円/戸、改修60万円/戸 |
| 東京こどもすくすく住宅との一体整備による多世代交流を図る取組 | 交流促進施設(B)に加算、上限150万円/申請 |
耐震改修の加算は、改修の欄にしか金額がありません。新築は当然に現行基準を満たすので、加算の対象になりようがない。この行は旧耐震の建物を名指ししています。
環境性能の加算に付いている理由が具体的です。「暑さ対策やヒートショック予防のため」。断熱を上げれば省エネになる、という一般論ではなく、夏に室内で熱中症になること、冬に浴室で倒れることを名指しで挙げています。高齢者向け住宅の補助として、目的の書き方が具体的です。
3つめは多世代交流です。「東京こどもすくすく住宅」との一体整備に加算が付く。高齢者だけを集めた建物にしない、という方向が入っています。
交流促進施設の500万円は「戸あたり」ではない
ここは読み違えやすいところなので、単独で書きます。交流促進施設(B)の500万円は「/申請」です。他の限度額が「/戸」なのに対して、この行だけ単位が違います。
10戸のアパートで考えると、セーフティモデルの改修なら100万円/戸×10戸で1,000万円が限度額の目安になりますが、交流促進施設は何戸の建物でも1申請あたり500万円です。多世代交流の加算150万円も「/申請」です。戸数の大きい建物ほど、共用施設の補助は相対的に薄くなります。
なお交流促進施設は、都の注記によればその整備に要した額を基に算出されます。上限額がそのまま出るわけではありません。
単位の表記そのものにも注意が要ります。本稿が引いている「/申請」は、令和8年8月21日の報道発表の表記です。要綱側で別の言い方(たとえば1件あたり)になっている可能性があります。「戸あたりではない」という点が変わることはまずありませんが、何を1単位として数えるのかは要綱で確かめてください。
認定マークのコンテストが9月30日まで開いている
都は認定マークを3案から選ぶコンテストを実施しています。募集期間は令和8年8月21日(金曜日)から令和8年9月30日(水曜日)まで。投票は東京アプリのアンケート一覧から、またはLoGoフォームからできます。3案のコンセプトは、都のページに次のように書かれています。
- 案A:人が交わりハートになるように配置し温かみや人と人とのつながりを表現
- 案B:手をつなぐように立ち並ぶ住宅のモチーフで確かなサポートとつながりを表現
- 案C:カラフルなリボンが安心の象徴である「家」と集う人々の「笑顔」をつむぎ出すデザイン
都は、認定マークは東京都の認定を受けている旨を示す併記文と併せて使用するとしています。募集広告に載せることを考えている会社は、この併記文の扱いを認定要領で確認してください。マーク単独で使えるとは書かれていません。
「先導事業」から「認定制度」へ|都は先に実験していた
この認定制度は、いきなり出てきたものではありません。都には「東京都高齢者いきいき住宅先導事業」が先にあり、そこで実際に整備に取り組んだ事業者がいます。9月5日のシンポジウムで取組を紹介するのも、その先導事業の参加者です。
制度の作り方としては素直な順序です。まず補助を出して数件やらせ、そこで分かったことを認定基準に落とし、認定制度として広げる。裏を返すと、いま公表されている3モデルの区分は、机上で考えた分類ではなく、実際に建てたり直したりした事例から出てきた区分だということです。
だから「セーフティモデルの新築に補助がない」という一見不思議な設計にも、現場側の理由があると考えるのが自然です。見守りと防犯だけを備えた集合住宅をわざわざ新築する必要はない、という判断でしょう。新築するならその程度は当然に入るからです。ここは公表資料に理由が書かれていないため、本稿の読みであることを明記しておきます。
見守りを入れるとき、実務で詰まるところ
以下は認定基準の解説ではありません。認定基準の詳細は公表資料から確認できていません。ここに書くのは、見守りの仕組みを賃貸住宅に入れるときに一般に問題になる点です。認定を検討する前段の、社内の整理として読んでください。
誰が通知を受けるのかを先に決める
見守り機器は「異常を検知して通知する」ところまでは商品が担いますが、その通知を受けて動く人は商品に含まれません。管理会社が受けるのか、親族か、地域包括支援センターか、警備会社か。受け手を決めずに機器だけ入れると、深夜の通知が管理会社の携帯に鳴り続けることになります。ここを契約書と重要事項の説明に落とすところまでが設計です。
入居者の同意をどう取るか
生活の様子を検知する仕組みは、入居者にとっては監視にもなりえます。何を検知し、何を検知しないのか、誰に何が伝わるのかを、入居時に書面で示すことになります。センサーの種類(人感・電力・ドア開閉・カメラ)によって説明の重さがまったく違うので、機器の選定は費用ではなく説明のしやすさで決めたほうが、あとが楽です。
誰がランニング費用を負担するか
補助が出るのは整備費です。通信費や監視サービスの月額は別で、これが賃料に乗るのか共益費に乗るのかオーナー負担かを、工事の前に決めておく必要があります。10年動かす前提の設備を、初期費用の話だけで決めないでください。
9月5日に居住支援シンポジウムがある
日本賃貸住宅管理協会の周知によれば、東京都は9月5日(土)に「東京都居住支援シンポジウム2026」を開催します。対象は賃貸住宅オーナー、不動産管理会社、仲介会社。「東京都高齢者いきいき住宅先導事業」に取り組んだ事業者からの取組紹介も予定されています。
先導事業は、この認定制度の前段にあたる取組です。制度が始まったばかりで認定を受けた住宅の一覧はまだ厚くありません。実際に手を挙げた会社が何をしたのかを聞ける機会は、いまの段階では貴重です。
東京都以外の会社が、この制度から読み取れること
この制度は東京都の制度で、都外の物件には使えません。それでも読む価値があるのは、行政が「高齢者向け賃貸住宅」に何を求めているかの現時点での答えが、認定基準という形で言語化されているからです。
1. 見守りと防犯が最下層に置かれた。セーフティモデルの要件は見守り機能と防犯対策設備です。バリアフリーではありません。高齢者の入居を断る理由として実際に挙がるのは「中で倒れていたらどうするか」であって、段差ではない。その順序が制度の側にも表れています。
2. 交流が要件に入っている。3モデルすべてに交流の要素があり、最上位は交流促進施設という「場所」まで求めます。孤立を設備で防ごうという設計です。
3. 暑さとヒートショックが名指しされた。環境性能の加算の理由書きです。断熱の話を「省エネ」ではなく「命」の側から書いている。オーナーへの説明でも、この順序のほうが通ります。
4. 耐震と一緒にやると得になる設計。旧耐震のアパートは、いずれ耐震か建替えかの判断を迫られます。都は、そのタイミングで高齢者対応も一緒にやらせようとしています。他県でも、耐震改修の補助と居住支援の補助を同じ工事で重ねられないかは確認する価値があります。
数字の一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の開始 | 令和8年8月21日(報道発表日) |
| 認定の主体 | 東京都(住宅政策本部民間住宅部安心居住推進課) |
| 対象 | 賃貸集合住宅 |
| モデル | セーフティ/セレクト/アドバンストの3段階 |
| 補助率 | 新築 5分の1/改修 3分の2 |
| 補助限度額(新築) | アドバンスト200万円/戸、セレクト150万円/戸、セーフティは設定なし |
| 補助限度額(改修) | アドバンスト260万円/戸、セレクト200万円/戸、セーフティ100万円/戸 |
| 交流促進施設 | 500万円/申請(新築・改修とも) |
| 耐震改修の加算 | 耐震改修費の3分の2、上限200万円/戸 |
| 環境性能の加算 | 新築100万円/戸、改修60万円/戸 |
| 多世代交流の加算 | 交流促進施設に加算、上限150万円/申請 |
| 認定マーク投票 | 令和8年8月21日〜令和8年9月30日 |
| シンポジウム | 令和8年9月5日(土)東京都居住支援シンポジウム2026 |
| 位置づけ | 「2050東京戦略」戦略7 長寿(Chōju) |
いまやること
1. 管理物件を築年で仕分ける。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物を先に抜き出します。耐震改修の加算が乗るのはこの層で、補助の設計上いちばん得をする物件群だからです。
2. 空室が続いている物件を重ねる。耐震も要る、空室も埋まらない、という物件が一致したところが最優先です。埋まっている物件に工事を提案しても、オーナーは動きません。
3. セーフティモデルの水準を、いまの設備で測る。見守りと防犯です。既にオートロックや防犯カメラが入っているなら、足りないのは見守りだけかもしれません。認定要領の基準を取り寄せて、現況と突き合わせてください。本稿は報道発表と都のページに基づく整理で、認定基準の詳細までは扱っていません。
4. 9月5日のシンポジウムに人を出す。制度の初年度は、要領の読み方や実際の申請の詰まりどころが公表資料に載っていません。先に手を挙げた事業者の話が、いちばん早い情報源です。
5. オーナーへの説明の順序を決めておく。「補助金が出ます」から入らないことをすすめます。補助金は工事の話ですが、オーナーが決めるのは事業の話です。空室の期間、10年後の入居者の年齢、耐震をいつやるか。その話の中に補助を置く順序のほうが通ります。
よくある質問
Q. サービス付き高齢者向け住宅とは違うのですか。
A. 別の制度です。東京都はこの認定制度を「元気で自立した高齢者のニーズに対応するため」の制度と説明しており、認定するのは賃貸集合住宅です。サービス付き高齢者向け住宅は高齢者住まい法に基づく登録制度で、根拠も要件も異なります。本稿は両者の比較をしていません。
Q. セーフティモデルで新築すると、補助はまったく出ませんか。
A. 報道発表の表では、セーフティモデルの新築欄は「ー」です。限度額が設定されていない、という意味に読めます。ただし交流促進施設の欄は新築にも500万円/申請が付いており、表の構造が単純ではありません。実際の可否は認定要領と補助要綱で確認してください。
Q. 都外の物件でも使えますか。
A. 東京都の制度で、都が直接補助します。「認定住宅の供給を都内全域で加速化するため」という説明のとおり、都内が対象です。
Q. 認定マークは、まだ募集広告に載せられませんか。
A. マークそのものが3案から選定される途中です(投票は9月30日まで)。使用の可否と方法は、マーク確定後に都が示す条件によります。都は「認定を受けている旨を示す併記文と併せて使用する」と書いています。
出典
| 記述 | 出典 |
|---|---|
| 制度の開始日、3つのモデルの定義、補助率と補助限度額の表、3つの加算、交流促進施設の単位と注記、認定マークコンテストの投票期間と方法、2050東京戦略における位置づけ、所管課と連絡先 | 東京都住宅政策本部「元気で自立した高齢者の住まいの選択肢を充実させるため『東京都高齢者いきいき住宅認定制度』を開始」(令和8年8月21日 報道発表) |
| 制度の趣旨(元気で自立した高齢者のニーズに対応するため、見守り機能や交流機会に配慮された高齢者向け賃貸集合住宅を認定する)、認定マーク3案のコンセプト、併記文と併せて使用すること、募集期間 | 東京都住宅政策本部「東京都高齢者いきいき住宅認定制度」(2026年8月21日更新) |
| 日本賃貸住宅管理協会による会員周知、東京都居住支援シンポジウム2026の開催日と対象者、高齢者いきいき住宅先導事業の取組紹介が予定されていること | 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「【東京都】高齢者いきいき住宅認定制度/供給促進事業のご案内」(2026年8月25日) |
| 国のセーフティネット専用住宅改修事業の補助率3分の1、基本62万円/戸等、管理期間が10年以上であること、住宅確保要配慮者専用の住宅として登録すること | 国土交通省「空き家等をセーフティネット住宅・居住サポート住宅に改修する事業者を支援します!」(令和8年4月13日) |
| 供給促進事業の要件・加算の適用条件・単位の表記は、この事業ページと交付要綱で確認する必要があること(本稿は内容を引用していません) | 東京都住宅政策本部「東京都高齢者いきいき住宅供給促進事業」 |
| 高齢者世帯向け住宅の施策全体の中での位置づけ、高齢者いきいき住宅先導事業 | 東京都住宅政策本部「高齢者世帯向け住宅(サービス付き高齢者住宅、高齢者いきいき住宅等)」 |
書かなかったこと
認定基準の具体的な項目は書いていません。報道発表と都のページはモデルごとの性格を文章で示すにとどまり、設備や数値の一覧を公表資料の形では確認できませんでした。見守り機能とは何を指すのか、防犯対策設備はどこまで要るのか——ここは認定要領そのものを取り寄せて読む必要があります。推測で埋めると、そのままオーナーへの誤った説明になります。
供給促進事業の申請期間・受付窓口・予算枠も書いていません。同じ理由です。補助は予算の範囲で行われるのが通例ですが、この事業の枠と締切は本稿が確認した資料からは読み取れませんでした。
補助を受ける側に課される要件も書いていません。認定を何年続ける必要があるのか、入居費用に条件が付くのか、入居者にどこまで説明する義務があるのか。補助金には必ず「もらったあとの縛り」があります。本稿は報道発表を出典としており、そこには縛りの記載がありません。ないのではなく、報道発表に書かれていないだけだと考えるのが安全です。供給促進事業のページと交付要綱で必ず確認してください。
報道発表の文言は「開始します」です。本稿では読みやすさのため「開始しました」と書いた箇所がありますが、発表時点の宣言形であることを申し添えます。
東京都居住支援シンポジウム2026の詳細は、日本賃貸住宅管理協会の周知に載っている範囲だけを書きました。都の該当ページを直接開けなかったため、開催時刻・会場・申込方法には触れていません。参加を検討する場合は都のページで確認してください。
最後に、この制度でいちばん静かに効くのは金額ではないと考えています。「高齢者だから断る」という判断に、行政が別の選択肢を並べて置いたことです。断るか受けるかの二択だったところに、直して受けるという三つめが、金額の裏付き付きで置かれた。その三つめを持っていない管理会社は、これから断る理由を説明しにくくなります。東京都以外でも、遅れて同じ形の制度が来ると考えておくのが現実的です。
本稿は東京都および国土交通省の公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別の物件について認定の可否や補助の対象性を判断するものではありません。賃貸管理と売買仲介の実務はウルスタのコラムで書いています。
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