Googleビジネスプロフィールは、会社名・住所・営業時間などを実態どおりに登録し、口コミはGoogleのポリシーと景品表示法のステルスマーケティング規制に沿って集めることが基本です。名前に地域名やキーワードを足す、謝礼と引き換えに口コミを頼む、社員に書かせるといった行為は、Googleのポリシーで禁じられています。この記事では、不動産会社が設定から口コミの返信までを安全に運用する手順を整理します。
不動産会社がGoogleビジネスプロフィールを整える意味
Googleビジネスプロフィールは、Google検索やGoogleマップに会社の名前、所在地、営業時間、電話番号、写真、口コミを表示する仕組みです。店舗に来てもらう仲介会社や、地域で管理物件を探しているオーナーにとって、会社を調べたときに最初に目にする情報になりえます。
表示順位を上げる方法が話題になりがちですが、まず大事なのは情報が正しいことです。営業時間が違う、電話がつながらない、移転前の住所が出ているといった状態は、それだけで問い合わせの機会を失います。この記事では、効果の数字ではなく、Googleのヘルプページと法令で確かめられる手順を中心に書きます。
筆者は宅地建物取引士で、自社で賃貸住宅226戸を所有し、約100戸を自主管理しています。
基本情報の整え方(Googleのガイドライン)
Googleは「Googleに掲載するビジネス情報のガイドライン」で、登録する情報の決まりを示しています。不動産会社が特に気をつけたい点を表にまとめます。
| 項目 | Googleのガイドラインの要点 | 不動産会社での注意 |
|---|---|---|
| ビジネス名 | 看板やビジネスレターなどで一貫して使っている実際の名前を使う。キーワード、営業時間、住所、カテゴリを含めない | 「〇〇不動産|〇〇駅 賃貸 仲介」のような付け足しはしない。看板・名刺・ホームページの表記と合わせる |
| 住所 | 顧客の所在地でサービスを提供する非店舗型ビジネスは、拠点の住所で1つのプロフィールを作り、サービス提供地域を指定し、住所は非表示にする | 来店を受け付ける店舗なら住所を表示する。自宅兼事務所などで来店を受けないなら非店舗型の設定を検討する |
| カテゴリ | 中核事業に当てはまるカテゴリを、できるだけ少なく選ぶ | 仲介が中心か、管理が中心かで、最も具体的に表すものをメインにする |
| 営業時間 | 顧客に対応できる通常の営業時間を入れる | 祝祭日や年末年始などは特別営業時間で事前に入れる(ガイドラインで指定できるとされている) |
| 電話番号 | 各拠点に直接つながる番号を指定する | 代表番号を転送している場合は、つながる時間帯を営業時間と合わせる |
| ウェブサイト | 実際のビジネスのサイトを指定する | 会社のホームページか店舗のページを設定する |
名前に地域名や「賃貸」「売買」を足すと検索で目立つと考えがちですが、ガイドラインに反します。ガイドラインには、プロフィールが停止される場合があることも書かれています。正式な名前で登録します。
店舗が複数ある場合と、担当者個人のプロフィール
店舗が複数あるときは、拠点ごとに住所・電話番号・営業時間を実態どおりに登録し、名前の付け方は上の表と同じ基準にそろえます。本店と支店で表記がばらばらだと、検索した人が別の会社だと受け取るおそれがあります。
Googleのガイドラインは、対外的に専門業務を行い、通常は独自の顧客を持つ「個人専門家」が自分のプロフィールを持てるとしています。例として、医師、弁護士、保険代理人などと並んで不動産仲介士が挙がっています。条件は、対外的に専門業務を行う本人であること、オーナー確認された事業所で営業時間内に本人に直接連絡が取れることなどで、サポートスタッフは自分のプロフィールを持てません。
営業担当者が個人のプロフィールを作る場合は、ここからは運用の考え方ですが、会社としての口コミとの関係、担当者が退職したときのプロフィールの扱い、物件の紹介を載せる場合の広告の点検を、事前に社内で決めておきます。個人のプロフィールで物件を紹介する場合も、会社の広告と同じルールがかかると考えます。
写真・投稿にかかる広告のルール
Googleビジネスプロフィールには写真や「投稿」を載せられます。会社の外観や店内の写真なら問題になりにくいですが、物件を紹介する写真や投稿は、宅建業法と不動産の表示に関する公正競争規約(以下「表示規約」)の広告として扱うと考えます。表示規約4条5項は、規約の対象となる「表示」の1つ目にインターネットによるものを挙げています。
- 取引態様の明示(宅建業法34条1項)。物件の投稿には「売主」「貸主」「代理」「媒介(仲介)」の別を書きます(表示規約施行規則9条(1))。
- 誇大広告の禁止(宅建業法32条)と特定用語(表示規約18条2項)。「最高」「格安」などは、裏付ける資料を持ち、根拠となる事実を併せて書く場合に限って使えます。「完全」「日本一」「厳選」「完売」なども、裏付ける資料がなければ使えません。
- おとり広告の禁止(表示規約21条)。成約した物件の投稿を残し続けないよう、自社で削除の管理をします。
- 写真は取引する物件のもの(表示規約施行規則9条(22))。別の物件の写真を流用しません。
広告表現の判断は、マイソクの必須記載事項やおとり広告を防ぐ物件情報の管理と同じ基準で行うと、媒体ごとに基準がずれません。
口コミの集め方とやってはいけないこと
Googleのポリシーで禁止されていること
Googleの「禁止または制限されているコンテンツ」(マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー)は、口コミについて次のような行為を禁じています。
- 直接的な金銭や現物を対価として支払った口コミや評価
- 口コミの投稿、否定的な口コミの修正や削除と引き換えに、金銭的な報酬や割引などのインセンティブを提供すること
- 現在または過去の雇用関係、契約関係、家族関係などの利益相反がある人による投稿(社員や取引先に自社の口コミを書いてもらうことは、これにあたります)
- 否定的な口コミの投稿を妨げたり、肯定的な口コミを選択的に募ったりすること
- 実体験にもとづかない内容や、1人が複数のアカウントで投稿すること
ステルスマーケティング規制との関係
消費者庁は、事業者の表示であることを一般消費者が判別することが困難な表示を不当表示に指定する告示(令和5年内閣府告示第19号)を、2023年10月1日から施行しています。事業者が顧客を装って自ら書いた口コミや、内容を指示して書かせた口コミは、この告示の対象になると考えられます。
注意したいのは、法令とGoogleのポリシーの基準が同じではない点です。消費者庁のQ&A(Q6)は、内容を指示せずに口コミ投稿を条件として割引する程度なら、事業者が表示内容の決定に関与しているとはいえないと説明しています。一方、Googleのポリシーは、割引を含むインセンティブと引き換えの口コミ自体を禁じています。Googleビジネスプロフィールでは、厳しいほうのGoogleのポリシーに合わせます。
許されている集め方
Googleのヘルプ「ユーザーからのクチコミを管理する」は、クチコミを依頼するためのリンクやQRコードを顧客に共有できると案内しています。たとえば、契約や鍵の引き渡しが終わった時点で、すべてのお客様に同じ文面でリンクを送ります。手順の例は次のとおりです。
- 依頼する時期を「契約手続きが終わった後」などに固定し、満足していそうな人だけを選ばない
- 依頼文に謝礼や割引を書かない
- 評価の内容(星の数や書いてほしいこと)を指定しない
- 社員、その家族、取引先には依頼しない
口コミへの返信と個人情報
Googleのヘルプは、クチコミに返信することで、ユーザーの意見を尊重していることを示せるとしています。返信はオーナー確認を済ませたプロフィールから行います。ポリシーに違反していると思われる口コミは、Googleに報告できます。報告しても削除するかどうかはGoogleが判断するため、まずは返信で対応します。
返信で気をつけたいのが個人情報です。個人情報保護法27条1項は、法令の例外にあたる場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することを禁じています。口コミへの返信は誰でも読めるため、「〇月〇日にご契約の〇号室の件」「家賃の入金が遅れていた件」のように、顧客を特定できる情報や取引の内容を書かないようにします。
低い評価への返信の例を示します。
「ご不便をおかけし申し訳ありません。いただいたご指摘は社内で共有し、対応を見直します。詳しくお話を伺えれば、店舗までご連絡ください。」
事実関係を公開の場で争うより、連絡先を示して個別に話す形にすると、ほかの読み手にも対応の姿勢が伝わります。クレーム対応の社内の流れはクレームの早期発見の仕組みでも説明しています。
月に1回の点検表
| 点検すること | 見る場所 | 直すときの基準 |
|---|---|---|
| 名前・住所・電話・営業時間 | プロフィールの編集画面と、看板・ホームページ | 実態と違えばすぐ直す。休業日は事前に特別営業時間を入れる |
| カテゴリ・サービス提供地域 | プロフィールの編集画面 | 業務の中心が変わっていないか、カテゴリを増やしすぎていないか |
| 物件の写真・投稿 | 写真と投稿の一覧 | 成約・募集終了の物件、別物件の写真、取引態様の書き漏れがあれば削除・修正 |
| 未返信の口コミ | クチコミの一覧 | 返信の担当者と期限を決めて対応する |
| 口コミの依頼方法 | 依頼文と送付の記録 | 謝礼や評価の指定が入っていないか、送る相手を選んでいないか |
点検は担当者を1人決め、月末など日にちを固定すると続きます。プロフィールから来た問い合わせは、ほかの経路と分けて顧客管理に記録すると、どの経路が実際の来店につながっているかを比べられます。ウルスタくんの顧客管理では、問い合わせの経路と対応の記録を顧客ごとに残せます。
このテーマの全体像は「不動産CRM完全ガイド|6サービス比較と導入手順」にまとめています。
よくある質問
Q1. ビジネス名に「〇〇駅前」や「賃貸」を入れてもよいですか?
看板や契約書などで実際に使っている正式な名前に含まれていない限り、入れません。Googleのガイドラインは、ビジネス名にキーワードや住所、カテゴリを含めないよう定めています。
Q2. 口コミを書いてくれた人に粗品を渡してもよいですか?
Googleのポリシーは、口コミと引き換えに金銭的な報酬や割引などのインセンティブを提供することを禁じています。粗品も対価にあたると考え、渡さない運用が安全です。
Q3. 社員の家族に口コミを書いてもらうのは問題ですか?
Googleのポリシーは、雇用関係や家族関係などの利益相反がある人による投稿を禁じています。実際に取引したかどうかにかかわらず、依頼しません。
Q4. 事実と違う低評価の口コミは消せますか?
Googleのポリシーに違反している口コミは報告できますが、削除するかどうかはGoogleが判断します。まずは返信で事実と対応方針を簡潔に示し、個人を特定できる情報は書かないようにします。
Q5. 物件情報を投稿機能で紹介してもよいですか?
紹介できますが、宅建業法32条・34条と表示規約の広告ルールがかかると考えます。取引態様を書き、成約したら削除します。管理の手間が増えるため、物件の紹介は自社サイトやポータルサイトに任せ、投稿機能は営業日のお知らせなどに使う方法もあります。
出典(本文で参照している資料)
- Googleビジネスプロフィール ヘルプ「Googleに掲載するビジネス情報のガイドライン」
- マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー ヘルプ「禁止または制限されているコンテンツ」
- Googleビジネスプロフィール ヘルプ「ユーザーからのクチコミを管理する」
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関する景品表示法の規制」
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」(Q6)
- 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)32条・34条
- 不動産公正取引協議会連合会「規約集」(表示規約4条・18条・21条、施行規則9条)
- 個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索)27条
この記事は2026年10月7日時点の情報です。