この記事の要点
- 不動産会社向けの賃料(家賃)査定ツールは、2026年9月2日時点で公式サイトまたは提供元の発表で内容を確認できたものが5つある(スマサテ、SRE AI賃料査定 CLOUD、ちんさてくん、CLAMILL、ポルティ賃料査定)。弊社の機能を加えて6つを扱う。
- 選ぶ軸は「査定書がそのままオーナーに出せるか」「自社の成約データを使えるか」「価格が公開されているか」の3つ。査定精度の数字は各社が公開していないので、本記事でも書かない。
- AIの数字は「たたき台」。最終的な募集家賃は、現地と直近の成約を見た人が決める。ツールはその時間を短くするためのもの。
更新時や退去後の募集家賃を決めるとき、オーナーはすでにポータルで近隣の募集家賃を見ている。管理会社が「だいたいこのくらいです」と口頭で言うだけでは受託も更新も取りにくくなった。根拠のある査定書を短時間で出す道具として、賃料査定ツールを使う会社が増えている。本記事では、不動産会社向けに提供されている賃料査定ツールのうち、公式情報で内容を確認できたものだけを整理する。
賃料査定ツールで見る3つの軸
軸1:査定書をそのままオーナーに出せるか
数字だけ出るツールと、根拠(比較物件、相場の分布、グラフ)まで含めた査定書がPDFで出るツールでは、オーナー提案での使い方が変わる。受託や更新交渉に使うなら後者。
軸2:自社の成約データを反映できるか
公開データだけで出す数字は「募集家賃」に引っ張られて高めに出やすい。自社の成約家賃を取り込める、あるいは担当者が現地の補正を入れられる作りかを見る。
軸3:価格が公式ページに出ているか
月に何件査定するかで向き不向きが決まる。公式ページに料金表があるものは、査定件数と月額を突き合わせて試算できる。本記事では公式ページに印字されている金額だけを書く。
2026年9月時点で確認できたサービス
以下は、2026年9月2日に各社の公式サイトまたは提供元の発表(PR TIMES)で確認できたものだけ。価格は公式ページに印字されている場合のみ記載した。金額は税抜・税込の表記が各社で異なるため、契約前に必ず公式ページで確認してほしい。
1. スマサテ(スマサテ株式会社)
「数秒で高精度な査定ができる賃料査定システム」として提供されている、不動産会社向けのAI賃料査定と査定書作成のツール。公式ページには無料のフリープラン(査定5回)のほか、月額19,800円・49,800円・69,800円・89,800円・150,000円のプランが掲載されている(2026年9月2日時点)。査定件数に応じて選ぶ形。
2. SRE AI賃料査定 CLOUD(SREホールディングス株式会社)
SREホールディングスが「SRE CLOUD」ブランドで提供する賃料のAI査定サービス。2024年9月26日に提供開始が発表されている。料金は非公表。
3. AI賃料査定のちんさてくん(株式会社住宅テックラボ)
不動産事業者向けのAI賃料査定。公式ページには月額11,000円・16,500円・44,000円・66,000円のプランとエンタープライズ(要見積)が掲載されている(2026年9月2日時点)。
4. CLAMILL(クラミル)
賃料査定と競合物件調査をまとめたクラウドツールで、公式サイトでは「グラフレポートまでわずか3分」と案内されている。料金は「月額30,000円(税別)〜」の表示があり、業務量・査定件数によって変わるとされている。
5. ポルティ賃料査定(株式会社ポルティ)
80を超えるパラメータで賃料を推定するオンラインの賃料査定。2025年5月28日の発表では無料のオンラインサービスとして、投資家や管理会社向けに案内されている。査定書の作成や自社データの取り込みについては公式情報で確認できなかった。
6. ウルスタくん AI賃料査定(ウルスタ株式会社・弊社)
弊社の賃貸管理クラウドに含まれる機能。住所と条件から、周辺の成約データをもとに適正レンジを提示する機能で、物件台帳と同じ画面で使える。オーナー提案の画面に組み込まれており、提示されたレンジを担当者が現地の見立てで補正して使う。全プランに含まれ、月額980円(税抜)からの管理戸数制で、30日間は全機能を無料で試せる。私が代表を務める会社の製品なので、評価に偏りがあり得ることを明記しておく(末尾の利益相反開示を参照)。
参考:売買の査定書ツール
賃料ではなく売買の査定書を作るツールとして、AI査定プロ(株式会社コラビット)がある。公式ページには月額12,800円・25,800円・49,800円のプランとエンタープライズ(要問合せ)の表示がある(2026年9月2日時点)。賃料査定の記事で混同されやすいので分けて書いておく。
比較表(公式情報で確認できた範囲だけ)
「○」は公式ページまたは提供元の発表で確認できたもの、「—」は公式情報で確認できなかった(無いという意味ではない)もの。
| サービス | 提供元 | 査定書の出力 | 公式ページの価格表示(2026年9月2日) |
|---|---|---|---|
| スマサテ | スマサテ株式会社 | ○ | 無料(5回)/月額19,800円〜150,000円の5プラン |
| SRE AI賃料査定 CLOUD | SREホールディングス | — | 非公表 |
| ちんさてくん | 住宅テックラボ | — | 月額11,000円〜66,000円の4プラン+要見積 |
| CLAMILL | クラミル | ○(グラフレポート) | 月額30,000円(税別)〜 |
| ポルティ賃料査定 | 株式会社ポルティ | — | 無料(提供元発表) |
| ウルスタくん AI賃料査定(弊社) | ウルスタ株式会社 | ○(提案画面に内蔵) | 月額980円(税抜)〜・30日無料 |
使い方で選ぶ
月に数件・まず数字の目安が欲しい
無料で使えるもの(スマサテのフリープラン、ポルティ賃料査定)から試す。出てきた数字を、担当者が近隣の成約と突き合わせて使う。
オーナー提案で査定書を出したい
査定書やグラフレポートが出るもの(スマサテ、CLAMILL、ウルスタくん)。オーナーが自分でポータルを見ている前提で、比較物件と根拠が一枚に入っているかを見る。
物件管理と一体で回したい
物件台帳と査定が同じシステムにあるもの(ウルスタくん)。更新時期が来た部屋を一覧から選んで査定に進める形にすると、査定のために物件情報を打ち直す手間がなくなる。
現場メモ — AIの数字をそのまま出さない
やっていること。 自社で管理する部屋の募集家賃を決めるときは、AIの数字を先に出したうえで、近隣の直近の成約と、現地で見た状態(日当たり、上下階の音、共用部の管理状態)で補正している。AIは募集家賃のデータに引っ張られて高めに出ることがあるので、そのまま採用はしない。
学び。 ツールの価値は「正しい数字を出すこと」より「根拠を短時間で並べてくれること」にある。根拠が並んでいれば、オーナーとの会話は「いくらか」ではなく「なぜその額か」に移る。そこまで持っていければ、更新も受託も話が早い。
今やるべきこと。 無料で使えるものを1つ選び、次に更新時期が来る部屋で1件試す。出た数字と自分の見立ての差を記録する。差の理由が説明できるなら、そのツールは自社で使える。
よくある質問
Q1. AI賃料査定の精度はどのくらいですか?
各社とも精度の数値は公式ページで公開していないため、本記事では書かない。実際の精度は地域・物件種別・自社データの有無で変わる。無料プランや試用で、自社の直近成約と比べて確かめるのが確実。
Q2. 無料で使える賃料査定ツールはありますか?
スマサテのフリープラン(査定5回)と、ポルティ賃料査定(提供元発表で無料)がある。弊社のウルスタくんも登録から30日間は無料で使える。
Q3. 査定書をオーナーにそのまま渡せますか?
スマサテ、CLAMILL、ウルスタくんは査定書またはグラフレポートの出力を公式に案内している。他のサービスは公式情報で確認できなかったので、導入前にデモで確かめてほしい。
Q4. 売買の査定にも使えますか?
本記事のツールは賃料向け。売買の査定書はAI査定プロ(コラビット)のような別のツールになる。
利益相反の開示
本記事の筆者 馬場生悦は、ウルスタ株式会社の代表です。比較に含めた「ウルスタくん」は弊社の製品であり、評価に偏りが生じ得ることを明記します。他社のサービスについては、2026年9月2日時点の公式サイトおよび提供元の発表で確認できた内容だけを記載し、確認できなかった事項は「非公表」または「—」としました。各社の仕様・価格は変わるため、導入時は必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
出典・参考資料
- スマサテ 公式(料金・機能)
- SREホールディングス「SRE AI賃料査定 CLOUD」提供開始のお知らせ(2024年9月26日)
- AI賃料査定のちんさてくん(住宅テックラボ)
- CLAMILL 公式
- 株式会社ポルティ「ポルティ賃料査定」発表(PR TIMES、2025年5月28日)
- AI査定プロ(コラビット)
- ウルスタくん 料金
本記事の各社情報は2026年9月2日時点の公式サイト・提供元発表に基づく。次回の見直し予定:2027年3月。

