宅建業法・賃貸住宅管理業法・建築基準法・民法など、2026年に施行・改正される制度を、中小不動産会社の現場で「何を、いつまでに」の形に整理したコラム一覧。 全 52 記事。

2026年8月7日、国土交通省の有識者会議が提言を公表しました。見出しになりやすいのは届出対象面積の引き下げですが、実務への影響が大きいのはそこではありません。提言は、利用目的を変えたときの再届出を求めるべきだと書き、相続や無償譲渡も届出対象に加えることが考えられると書き、国外に住む取得者には国内連絡先や国内に居住する管理者・保証人の登録を求める方策を検討すべきだと書きました。さらに、これまで取引段階だけだった指導監督を利用段階にも広げ、被害が生じるおそれがある場合には利用行為の差し止めや変更の命令、緊急的な行政代執行まで可能とすることも考えられるとしています。届出は一回で終わる手続きではなくなる、というのが本稿の読みです。

国土交通省は2026年、重要事項説明に関する業務でデジタルやAIの補助ツールを使うことについて、基本的な考え方と具体例を整理して業界団体に周知しました。根拠は規制改革実施計画(令和7年6月13日閣議決定)で、そこには宅建業者が補助ツールの利用に「躊躇」しないようにという表現が入っています。ところが同じ周知に添えられた一覧を数えると、掲載44件のうちAI系の技術が書かれているのは3件だけで、契約関連書類の作成の欄に書かれているのはAPI連携です。生成AIについては3箇所すべてに「検証が必要」という留保がついています。その検証が、令和8年7月頃から9月末までの実証事業です。本稿の日付から実証終了まで42日。中小の会社が今できるのは、採択を待つことではなく、同じ測り方を自社でしておくことです。

届出面積が下がる、という一行の提言です。ですが根拠になった全国調査を開くと、不適切な土地利用として報告された事案のうち、面積が判明した1,023件の約半分が2,000㎡未満でした。現行のいちばん厳しい閾値でも網にかからない。そして取得前に気づけていたのは1.3%だけです。仲介の段取りが、どこで一段増えるのかを整理します。

請負代金が100万円未満だから事前調査はいらない——これは誤りです。100万円は報告の閾値であって、調査そのものは規模によらずすべての解体・改修工事で必要とされています。原状回復の1室でも例外ではありません。

売買の話だけして賃貸借の条件を契約書送付で済ませていると、10月以降はそれが法47条1号の事実不告知に当たりえます。過失で告げなかった場合も31条の信義誠実義務に抵触するおそれがある、と明記されました。

10月5日以後の登記申請では、買主の国籍等を検索用情報として申し出ます。日本人も対象です。電子申請でも書面の証明情報が要る点が、決済当日の段取りにいちばん効きます。

海外に住むオーナーや外国法人から受任した売買・賃貸の仲介手数料は、これまで消費税0%の輸出免税でした。令和8年10月1日からは課税10%です。経過措置の基準日は3月31日で、もう過ぎています。

賃貸中心の会社でも、売買を年に数件やれば犯収法の特定事業者です。リスク評価書は令和8年度中に全社作成が政府目標、体制整備は令和8年度末まで、対面の本人確認は2027年4月からICチップ読み取りへ。3本の期限が同時に走っています。

計画の提出期限が延びた、という話だけが伝わっています。延びていないのは、贈与と相続そのものの期限です。しかも不動産会社は、業種の性格上この制度から外れやすい。宅建業の免許が承継されないことも含め、いま逆算しておくべき順番を整理します。

安く上げてほしい。その一言が、これからは言い方を選ぶ必要のある一言になりました。改正建設業法の全面施行で、著しく低い労務費による見積りの依頼が禁じられ、見積書には労務費の内訳が並びます。発注する側にまわる不動産会社が、何をどう変えるべきかを整理します。

理事会のないマンションが増えています。管理会社そのものが管理者を務める管理業者管理者方式は、担い手不足への現実的な答えである一方、発注する側と受注する側が同じになるという構造を抱えます。2026年4月から、その方式の有無が重要事項説明の対象になりました。調べ方、聞き方、伝え方を実務に落として整理します。

カスタマーハラスメント対策が、2026年10月1日から会社の義務になります。労働者が1人でもいれば対象で、中小企業に猶予はありません。賃貸管理の現場は、深夜のクレーム電話、退去時の過剰要求、担当者への人格否定と、カスハラが日常的に起きる場所です。しかも取引先であるオーナーの言動も、対象になり得ます。まず、従業員を1人で矢面に立たせない体制から始めてください。