賃貸管理 読了 16分

賃貸契約書テンプレート(無料)|国交省の賃貸住宅標準契約書 Word・PDFの入手先と使うときの確認点

賃貸契約書の無料テンプレートは、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」(Word・PDF)を使うのが確実です。家賃債務保証業者型と連帯保証人型の選び方、定期借家やサブリースの雛形、改訂の経緯、極度額・原状回復・特約など使うときの確認点を説明します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸契約書テンプレート無料(Word・PDF)|国交省の雛形と個人間で使う注意点
目次

賃貸契約書の無料テンプレートは、国土交通省が公開している「賃貸住宅標準契約書」(Word・PDF)を使うのが確実です。保証の形に合わせて「家賃債務保証業者型」と「連帯保証人型」から選び、定期借家やサブリースには別の標準契約書を使います。この記事では、公式の入手先、改訂の経緯、使うときに確かめる民法・借地借家法・宅地建物取引業法の条文を整理します。

国土交通省の雛形の入手先

住宅の賃貸借に使う標準的な契約書は、国土交通省のサイトで無料で公開されています。主なものを並べます。いずれもWord版とPDF版があります。

雛形版使う場面
賃貸住宅標準契約書(家賃債務保証業者型/連帯保証人型)平成30年3月版住宅の普通借家契約
定期賃貸住宅標準契約書(家賃債務保証業者型/連帯保証人型)平成30年3月版住宅の定期借家契約
サブリース住宅標準契約書、サブリース住宅定期建物賃貸借標準契約書(それぞれ家賃債務保証業者型/連帯保証人型)令和2年12月版転貸する住宅で、転借人(入居者)と結ぶ契約
特定賃貸借標準契約書、管理受託契約の標準契約書令和3年4月23日更新オーナーとサブリース会社、オーナーと管理会社の契約

賃貸住宅標準契約書のページでは、契約書本体のほか、連帯保証人型の極度額に関する参考資料や、承諾書の例も公開されています。定期賃貸住宅標準契約書とサブリース住宅標準契約書は、それぞれ別のページにあります。オーナーとの契約に使う標準契約書は、賃貸住宅管理業法の法令・ガイドラインをまとめたページに掲載されています。

ファイルを直接開く(国土交通省のサイト)

下の表のリンクは、国土交通省のサイトにある契約書のファイルそのものです(2026年10月24日に開けることを確認)。Word版は契約書本体で、承諾書の例などは各ページから取れます。

雛形保証の形ファイル
賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)家賃債務保証業者型PDF・Word
賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)連帯保証人型PDF・Word
定期賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)家賃債務保証型PDF・Word
定期賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)連帯保証人型PDF・Word
サブリース住宅標準契約書(令和2年12月版)家賃債務保証業者型PDF・Word
サブリース住宅標準契約書(令和2年12月版)連帯保証人型PDF・Word
サブリース住宅定期建物賃貸借標準契約書(令和2年12月版)家賃債務保証業者型PDF・Word
サブリース住宅定期建物賃貸借標準契約書(令和2年12月版)連帯保証人型PDF・Word

あわせて、法務省と国土交通省が令和3年6月に公表した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」もあります。60歳以上の単身の方の入居時に、亡くなった後の契約の解除や残された家財の処理を円滑に行えるようにするための条項のひな形です。

どの雛形を使うかの選び方

選ぶ基準は、契約の種類(普通借家か定期借家か)、貸主の立場(オーナーが直接貸すか、転貸か)、保証の形(保証会社か連帯保証人か)の3つです。

場面使う雛形
オーナーが入居者に直接貸す。更新のある契約。保証会社を使う賃貸住宅標準契約書(家賃債務保証業者型)
オーナーが入居者に直接貸す。更新のある契約。個人の連帯保証人を付ける賃貸住宅標準契約書(連帯保証人型)
期間満了で終わる契約にしたい定期賃貸住宅標準契約書(保証の形で2種から選ぶ)
サブリース会社が借り上げた住宅を入居者に貸すサブリース住宅標準契約書(定期借家なら定期建物賃貸借の版)
オーナーとサブリース会社が借り上げの契約を結ぶ特定賃貸借標準契約書

定期借家の契約書の作り方や普通借家との違いは「定期借家契約書テンプレート」で詳しく扱っています。

改訂の経緯(民法改正、押印欄の削除、特約の記載例)

古い雛形を使い続けていないかを確かめるため、主な改訂を押さえておきます。

時期内容
平成30年3月民法改正や家賃債務保証業者を使う契約の増加などを踏まえ、「家賃債務保証業者型」と、極度額の記載欄を設けた「連帯保証人型」を作成
令和4年5月宅地建物取引業法の改正(令和4年5月18日施行)で、契約締結時の書面への宅地建物取引士の押印が不要になったことを受け、宅建業者と宅建士の押印欄を削除
令和6年12月作成にあたっての注意点と解説コメントに、死後事務委任契約の締結を前提とした賃貸借契約の特約の記載例を追加

手元のWordファイルがいつ取得したものか分からない場合は、国土交通省のページから取り直し、社内で使っている版と見比べます。自社で条文を書き足している場合は、書き足した部分を新しい版に移し替えます。

使うときの確認点

標準契約書は、そのまま使えば足りる完成品というより、物件と当事者に合わせて記入・調整する前提のひな形です。記入するときに、特に条文との関係を確かめたい点を挙げます。

頭書と37条書面の記載事項

宅建業者が貸借の媒介や代理をしたときは、宅地建物取引業法第37条第2項により、契約の当事者などに書面を交付します。記載事項は、当事者の氏名・住所、物件を特定するための表示、引渡しの時期、借賃の額と支払の時期・方法、契約の解除に関する定め、損害賠償額の予定や違約金に関する定め、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め(定めがあるとき)、借賃以外の金銭の授受に関する定め(定めがあるとき)の額・時期・目的などです。

契約書を37条書面として兼ねる場合は、頭書と本文でこれらがすべて埋まっているかを確かめます。第37条第3項により、この書面には宅地建物取引士の記名が必要です。

連帯保証人を付けるなら極度額

民法第465条の2は、個人が保証人となる根保証契約について、保証人は極度額を限度として責任を負い、極度額を定めなければ効力を生じないとしています。賃貸借の連帯保証は、将来の賃料や損害賠償など一定の範囲の債務をまとめて保証するため、この規定の対象になります。連帯保証人型の頭書にある極度額の欄は、空欄のまま契約しないようにします。

また、民法第446条第2項は保証契約を書面で行うことを求めており、同条第3項は電磁的記録で行った場合を書面で行ったものとみなしています。

敷金と原状回復

民法第622条の2は、敷金を、賃料債務など賃貸借に基づいて生じる賃借人の金銭債務を担保する目的で交付する金銭と定め、賃貸借が終わって物件が返還されたときなどに、受け取った敷金から債務の額を差し引いた残りを返すとしています。民法第621条は、賃借人の原状回復義務から、通常の使用と収益によって生じた損耗と経年変化を除いています。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)は、この考え方を具体的な部位ごとに整理した資料です。契約書の原状回復の条文と別表は、ガイドラインと食い違いがないかを見比べておきます。

特約を加えるとき

ハウスクリーニング費用の負担など、通常の原状回復の範囲を超える負担を賃借人に求める特約を加えることがあります。原状回復ガイドラインは、こうした特約の要件として、特約の必要性があり暴利的でないなどの客観的・合理的な理由があること、賃借人が通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識していること、賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること、の3つを挙げています。

個人の入居者との契約は消費者契約に当たることが多く、消費者契約法第10条は、消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項で、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効としています。特約は、金額や範囲を具体的に書き、重要事項説明や契約の場で説明した記録を残します。

定期借家にするとき

借地借家法第38条第1項は、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができるとしています。同条第3項は、契約の前に、更新がなく期間の満了で終了する旨を記載した書面を交付して説明することを求め、第5項は、この説明をしなかったときは更新がないこととする定めが無効になるとしています。

契約書とは別に、事前の説明書面を用意する必要があることを押さえておきます。定期賃貸住宅標準契約書のページからは、定期建物賃貸借の概要やQ&Aの資料にも進めます。

電子で契約するとき

借地借家法第38条第2項は、定期借家の契約が電磁的記録によってされたときは書面によってされたものとみなし、第4項は、建物の賃借人の承諾を得て、事前説明の書面に記載すべき事項を電磁的方法で提供できるとしています。宅地建物取引業法第37条第5項も、相手方などの承諾を得て、貸借の37条書面に代えて電磁的方法で提供することを認めています。承諾の取り方や保存の注意は「不動産の電子契約チェックリスト」にまとめています。

Wordで編集するときの運用

Word版は自由に書き換えられる分、社内でばらばらの版が生まれやすくなります。次のような運用を決めておくと、誤った版での契約を防ぎやすくなります。

  • 原本のファイルは1か所に置き、ファイル名に取得日または改訂日を入れる。
  • 自社で書き足した条文や特約は、どこを変えたかを一覧にして残す。
  • 解説コメントや作成上の注意の部分は、契約書として渡す前に削る。
  • 物件ごとに記入したファイルは、記入後にPDFにして、入居者に渡したものと同じものを保存する。
  • 特約を新しく作ったときや、法改正があったときは、宅建士が条文を見直す。

あわせて、重要事項説明書との整合も確かめます。契約書の特約と、重要事項説明書の「契約の解除」「損害賠償額の予定」などの記載が食い違うと、どちらが正しいかで揉める原因になります。重要事項説明書の雛形は「重要事項説明書テンプレート」で扱っています。

個人間(大家さんと入居者の直接契約)で使うとき

不動産会社を通さず、大家さんが自分で入居者と契約する場合も、賃貸住宅標準契約書を使えます。標準契約書は「民間賃貸住宅(社宅を除く。)」の賃貸借に使う契約書として作られていて、頭書の「建て方」には共同建・長屋建・一戸建・その他の欄があるので、一戸建ての貸家にも使えます。使うことが法令で義務づけられたものではないため、物件に合わせて記入・調整して使います。

自分が貸主になって貸す場合(自ら貸借)は宅地建物取引業に当たらず、宅地建物取引業法は適用されません。このため、重要事項説明(第35条)や37条書面の交付、宅地建物取引士の記名は求められません。一方で、民法と借地借家法は、不動産会社が入るかどうかに関係なく適用されます。

  • 連帯保証人を付けるなら極度額を書く:個人の連帯保証人は、極度額を定めないと保証の効力が生じません(民法第465条の2)。連帯保証人型の頭書の極度額の欄を埋めます。
  • 定期借家にするなら事前の説明書面を別に渡す:契約書とは別に、更新がなく期間の満了で終わることを書いた書面を、契約の前に渡して説明します(借地借家法第38条)。
  • 敷金と原状回復の取り決めを具体的に書く:敷金の返し方(民法第622条の2)と、通常の損耗を除く原状回復の範囲(民法第621条)は、上の「使うときの確認点」と同じ考え方です。
  • 解説コメントと作成上の注意は渡す前に削る:Word版には説明のための文章が入っています。入居者に渡すのは契約書の部分だけにします。

雛形だけでは足りない場面

賃貸住宅標準契約書は、住宅の賃貸借を想定したひな形です。次のような場面では、そのままでは合わないことがあります。

  • 店舗や事務所など、住宅以外の用途で貸す場合
  • 駐車場だけを貸す場合
  • 1つの住戸を複数の入居者に部屋ごとに貸す場合
  • ペットの飼育、楽器の演奏、事業での使用など、物件ごとの細かな使用条件を決めたい場合
  • 単身の高齢の方の入居で、残置物の処理や死後事務委任の取り決めをしたい場合

最後の場面では、先に挙げた残置物のモデル契約条項や、令和6年12月に追加された特約の記載例が参考になります。どの場面でも、追加する条文が民法や借地借家法、消費者契約法に反していないかを確かめ、判断に迷うときは弁護士に相談します。

オーナーから管理を受託する場合や、サブリースで借り上げる場合は、入居者との契約とは別に、賃貸住宅管理業法の書面の交付が必要です。管理受託契約の重要事項説明(第13条)と契約締結時の書面(第14条)、特定賃貸借契約の締結前の書面(第30条)と締結時の書面(第31条)については「賃貸住宅管理業法のガイド」で説明しています。

ウルスタくんでは、賃貸借契約書や重要事項説明書など24種の書類を物件・入居者の情報から作り、電子サインで締結できます。どの書類も、記入した内容と特約を宅建士が確かめてから使う前提です。

このテーマの全体像は「不動産の業務効率化ガイド2026|5段階の進め方と法令チェックポイント・関連記事一覧」にまとめています。

よくある質問

Q1. 国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、使わなければならないものですか。

使う義務はありません。標準的な契約の形を示したひな形で、内容を調整して使うこともできます。ただし、宅建業者が媒介する場合は、37条書面の記載事項を満たしているかを確かめます。

Q2. 無料で配られている民間のテンプレートを使ってもよいですか。

使うこと自体は自由です。いつの法令に基づいて作られたものか、極度額の欄があるか、押印欄などが古いままでないかを確かめます。出どころや改訂日が分からないものは、国土交通省の標準契約書と見比べてから使います。

Q3. 連帯保証人型で極度額を書き忘れたらどうなりますか。

民法第465条の2第2項は、個人根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じないとしています。保証が無効になるおそれがあるため、契約前に欄が埋まっているかを確かめます。

Q4. 契約書と重要事項説明書は同じ雛形で作れますか。

別の書面です。重要事項説明書は宅地建物取引業法第35条に基づき、契約が成立するまでの間に交付して説明するもので、契約書(37条書面)は契約の成立後に交付するものです。記載内容が食い違わないように、同じ物件情報から作ります。

Q5. 古い版の契約書で結んだ契約は、結び直す必要がありますか。

雛形が改訂されても、すでに結んだ契約が当然に無効になるわけではありません。更新や再契約のときに新しい版に切り替えるかどうかを検討します。個別の契約の有効性に不安があるときは、弁護士に相談します。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月24日時点の情報です。

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