不動産会社の業務改善 読了 15分

業者間流通(BB)の入居申込をオンラインで受ける流れ|受付・状況の更新・おとり広告の防止・個人情報

業者間流通(BB)での入居申込は、受付の記録、物件の状況の更新、成約後の掲載終了を一続きの手順にすることが基本です。レインズの取引状況の制度、おとり広告の決まり、申込書の個人情報の扱いとあわせて、FAXからオンライン受付へ切り替える手順を整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
業者間流通(BB)の入居申込をオンラインで受ける流れ|状況の更新とおとり広告の防止
目次

業者間流通(BB)で入居申込を受けるときは、申込の受付を記録し、物件の状況を「申込あり」「募集停止」にすぐ更新し、成約した物件の広告を止めるという3つを、一続きの手順にすることが基本です。売買のレインズでは、2025年1月1日から取引状況の登録が義務になりました。賃貸の業者間流通に同じ法的義務はありませんが、考え方はそのまま使えます。この記事では、申込の受付から契約までの流れ、状況の更新、おとり広告の決まり、申込書の個人情報と預り金の扱いを、法令と公的資料に沿って整理します。

業者間流通(BB)での入居申込の位置付け

業者間流通(BB)は、管理会社や元付業者が募集中の物件情報を載せ、客付業者がそれを見て内見や申込を取り次ぐ、業者どうしの物件情報の仕組みです。多くは民間の会社が運営しているもので、法律で設けられた制度ではありません。

法律上の位置付けを先に確かめておきます。宅地建物取引業法(宅建業法)34条の2は、売買・交換の媒介契約について、書面の交付や、専任媒介契約の場合の指定流通機構(レインズ)への登録を定めています。貸借の媒介はこの条文の対象に入っていないため、賃貸の募集情報をレインズや業者間サイトに載せる法律上の義務はありません。

一方で、物件情報を広告として出す以上は32条(誇大広告等の禁止)が適用されます。申込の受付で預り金を受け取る場合は、47条の2と施行規則の定めも関係します。義務がないから自由に運用してよい、という話ではない点に注意が必要です。

元付・客付・貸主の役割

立場主な仕事申込で押さえること
元付(管理会社・貸主側の業者)物件情報の掲載と更新、申込の受付、貸主への報告、審査の取りまとめ受付した順番と時刻の記録、状況のすぐの更新、成約後の掲載終了
客付(借主側の業者)物件確認、内見の案内、申込書の取り次ぎ申込前の空室確認、申込者への利用目的の説明、自社広告の更新
貸主入居者を決める審査の基準と、申込が重なったときの扱いを元付業者と決めておく

申込の受付から契約までの流れ

一般的な流れを手順ごとに整理します。会社や貸主によって順番が前後することがあります。

手順内容記録しておくこと
1 物件確認客付業者が元付業者に空室と条件を確かめる確認の日時、回答した担当者、回答の内容
2 内見鍵の受け渡しや立会い内見の日時、案内した業者
3 申込書の受付申込者の情報と希望条件を受け取る受付の日時(順番の根拠)、受け取った書類
4 状況の更新業者間流通の物件を「申込あり」に変える更新した日時と担当者
5 審査貸主と家賃債務保証会社が判断する審査に回した日、結果、結果を伝えた日
6 重要事項説明宅建業法35条の説明を宅地建物取引士が行う説明した日、説明した宅地建物取引士
7 契約契約の締結と37条書面の交付締結日、交付の方法
8 掲載終了業者間流通と広告をすべて止める止めた掲載先と日時

要点は、3と4の間をできるだけ短くすることです。申込を受けたのに物件が「募集中」のまま残っていると、ほかの客付業者が内見を入れたり、別の入居希望者に案内したりしてしまいます。客付業者の手間が無駄になるだけでなく、入居希望者から見ると「申し込めない物件を案内された」ことになります。

申込が重なったときのルールを先に決める

同じ物件に申込が重なることは珍しくありません。誰を優先するかを決めるのは貸主ですが、元付業者が次の点を貸主と先に決めておかないと、客付業者への説明が場当たりになります。

  • 順番を、申込書を受け付けた時刻で付けるのか、必要な書類がそろった時点で付けるのか
  • 審査中に2番手以降の申込を受け付けるのか
  • 1番手の審査に何日かかったら次に回すのか

決めたルールは、業者間流通の物件情報の備考や、客付業者への案内に書いておくと、問い合わせへの答えがそろいます。

取引状況の登録(レインズ)と賃貸での応用

売買では、物件の取引状況の登録が法令上の義務になっています。賃貸の業者間流通を運用するうえでも参考になるため、まず制度を確かめます。

売買のレインズで決まっていること

  • 専任媒介契約を結んだ業者は、契約の日から7日以内(専属専任媒介契約は5日以内)に、指定流通機構へ物件を登録します。期間の計算に休業日は数えません(宅建業法34条の2第5項、施行規則15条の10)。
  • 登録する事項には「取引の申込みの受付に関する状況」が含まれます(施行規則15条の11第1項2号)。
  • 国土交通省の資料(令和6年12月24日)によると、2025年1月1日から、レインズに「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」のいずれかの取引状況を登録することが義務になりました。
  • 2025年1月4日から、売主に渡す登録証明書に二次元コード(QRコード)が付き、売主が専用の画面で取引状況を確かめやすくなりました。

国土交通省は、この見直しのねらいを、売主の知らないところでほかの業者からの紹介を断る、いわゆる「囲い込み」を防ぐことだと説明しています。

賃貸の業者間流通に当てはめる

賃貸の業者間流通には、登録や状況の更新の法的義務はありません。ただ、状況が正しく出ていないと、客付業者の時間を使わせ、入居希望者に申し込めない物件を見せることになります。物件ごとに、次の3つの状態のどれかを常に示す運用にすると分かりやすくなります。

状態意味切り替えるきっかけ
募集中申込を受け付ける掲載の開始、申込の取り下げ、審査の結果が否
申込あり申込を受けて審査中。2番手を受けるかどうかもあわせて示す申込書の受付
募集停止成約、貸主の都合、工事などで紹介できない契約の締結、貸主からの指示

貸主にも、物件がいまどの状態にあるかを伝えられるようにしておくと、売買の取引状況の制度と同じく、貸主自身が状況を確かめられる形になります。月ごとの報告に、申込の件数と状態の推移を書いておくのも1つの方法です。

おとり広告を防ぐ

状況の更新が遅れると、おとり広告の問題につながります。業者間流通と、一般向けのお部屋探しサイトの両方に関係するため、決まりを確かめておきます。

宅建業法32条(誇大広告等の禁止)

宅建業法32条は、広告で著しく事実に相違する表示をすることや、実際のものよりも著しく優良・有利であると誤認させる表示をすることを禁じています。国土交通省の通知(令和5年1月12日 国不動指第80号)は、顧客を集めるために取引する意思のない物件を広告する「おとり広告」と、実在しない物件の「虚偽広告」についても、32条の適用があるとしています。

不動産の表示に関する公正競争規約21条

不動産公正取引協議会連合会の「おとり広告ガイドライン」(2019年11月1日)は、表示規約21条が次の3つの広告を禁じていると説明しています。

  • 物件が存在しないため、実際には取引することができない物件の表示
  • 物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件の表示
  • 物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件の表示

同じガイドラインは、契約済みの物件を削除せずに更新を繰り返すことを違反の例に挙げています。そのうえで、情報を更新する期間を最長でも2週間とし、その期間内でも契約済みと分かった物件はすみやかに削除するよう求めています。

業者間流通の状況とつなげる

客付業者が業者間流通の情報をもとにお部屋探しサイトへ広告している場合、元付業者の更新が遅れると、客付業者の広告が成約済みのまま残ります。役割を次のように分けておくと、漏れが減ります。

  • 元付業者: 「申込あり」「募集停止」への更新をその日のうちに行う。成約したら、広告を出している客付業者にも知らせる。
  • 客付業者: 広告を出す前と、更新のたびに、元付業者の情報や電話で空室を確かめる。
  • 両者: 物件ごとに、広告を出してよいか、出せる媒体や表示の条件を明示し、記録に残す。

申込書の個人情報の扱い

入居申込書には、氏名、勤務先、収入、同居する家族の情報など、多くの個人情報が入ります。個人情報保護法の主な決まりと、申込での対応を整理します。

条文内容申込での対応の例
21条2項本人から直接、書面(電磁的記録を含む)で個人情報を取るときは、あらかじめ本人に利用目的を明示する申込書に「入居審査、契約手続き、家賃債務保証の審査のため」などの利用目的を書く
27条1項例外を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならない貸主、管理会社、保証会社などへ渡すことを書き、同意を得る
27条5項1号利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託するのに伴う提供は、第三者への提供に当たらない渡す相手が委託先か第三者かを整理し、委託先は監督する
23条漏えい・滅失・毀損の防止など、安全管理のために必要で適切な措置をとるFAXの誤送信、メールの添付、紙の保管場所、閲覧できる人の範囲を見直す

どの相手が第三者に当たり、どの相手が委託先に当たるかは、取引の形によって変わります。迷う場合は、個人情報保護委員会のガイドラインやQ&Aで確かめてください。審査で否となった申込書の保管期間と廃棄の方法も、あらかじめ決めておきます。

申込金(預り金)の扱い

申込の時点で申込金などのお金を預かる場合は、扱いに注意が必要です。宅建業法施行規則16条の11第2号は、相手方が契約の申込みを撤回するときに、すでに受け取った預り金の返還を拒むことを禁じています(宅建業法47条の2第3項に基づく定め)。

申込金を受け取るなら、何のためのお金か、契約に至らなかったときは返すことを、申込書と受領書に書いておきます。業者間流通で客付業者が預かる場合は、誰が預かり、誰が返すのかを元付業者と決めておかないと、返金のときに行き違いが起きます。

FAXからオンライン受付へ切り替える手順

法令はFAXでの申込を禁じていません。それでも、受付の時刻が残りにくい、誤送信の危険がある、紙の保管が増えるといった理由で、オンラインで申込を受ける会社が増えています。切り替えるときの手順の例を示します。

  1. 申込書の項目を1つの書式にそろえる(申込者、同居する人、勤務先、緊急連絡先、保証会社の希望、入居の希望日など)。
  2. 利用目的と、情報を渡す相手を申込書に明記し、同意の欄を設ける(前述の21条2項・27条1項)。
  3. 受付の時刻が自動で残る方法を選ぶ。
  4. 「申込あり」への更新を、受付と同じ担当者が同じときに行う手順にする。
  5. しばらくはFAXとオンラインの両方で受け、窓口が2つになっても順番が分かるよう、受付の記録を1か所にまとめる。
  6. システムが使えないときの代わりの受付方法と、客付業者への知らせ方を決めておく。

これは手順の例です。切り替えでどれだけ手間が減るかは会社ごとに違うため、受付の件数や確認にかかった時間を自社で記録しながら進めると、効果を確かめられます。

業者間流通の仕組みを選ぶときの見方

  • 物件の状態を「募集中」「申込あり」「募集停止」のように分けて示せるか
  • 状態を変えた日時と担当者が残るか
  • 広告の可否や条件を物件ごとに示せるか
  • 申込書を受け取った時刻が残るか
  • 個人情報の保管場所と、見られる人の範囲を管理できるか
  • ほかの掲載先と同じ物件データから更新できるか

この記事を公開しているウルスタ株式会社のウルスタくんにも、業者間流通の機能(ウルスタBB)があります。管理物件の情報を他社の客付業者へ公開する業者間のネットワークで、物件・入居者の管理や募集図面(マイソク)と同じ物件データから情報を出せます。お部屋探しサイト(ヘヤスタ)への掲載や顧客管理も同じ仕組みで扱えます。どの仕組みを使う場合も、状況の更新と成約後の掲載終了を確実に行う手順は、業者自身が決めて守る必要があります。

このテーマの全体像は「不動産の業務効率化ガイド2026|5段階の進め方と法令チェックポイント・関連記事一覧」にまとめています。

よくある質問

Q1. 賃貸の物件もレインズに登録しなければなりませんか。

宅建業法34条の2は売買・交換の媒介契約についての定めで、貸借の媒介には指定流通機構への登録義務はありません。賃貸の物件をレインズに載せるかどうかは任意です。

Q2. 申込を受けたら、すぐに募集を止めるべきですか。

止めるタイミングを定めた法令はありません。2番手の申込を受けるかどうかを貸主と決め、受けるなら「申込あり」、受けないなら「募集停止」と示すのが分かりやすい方法です。大切なのは、実際の状態と表示を合わせることです。

Q3. 客付業者の広告が成約後も残っていた場合、元付業者は関係ありますか。

宅建業法32条や表示規約の対象になるのは、広告をした業者です。ただ、元付業者の更新が遅れていたことが原因で広告が残ることもあります。元付業者は状況の更新を早め、成約を客付業者に知らせることで、その原因を減らせます。

Q4. 申込書をFAXで受けることに問題はありますか。

FAXでの受付は法令で禁止されていません。ただし、個人情報保護法23条の安全管理措置として、送信先の確認、受信した紙の保管場所、廃棄の方法を決めておく必要があります。

Q5. 「申込金は返金しない」と書いておけば、返さなくてよいですか。

宅建業法施行規則16条の11第2号は、申込みの撤回のときに、すでに受け取った預り金の返還を拒むことを禁じています。書面に返金しないと書いても、この扱いは変わらないと考えておくべきです。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月7日時点の情報です。

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