コラム

不動産会社の実務コラム

賃貸管理・仲介の現場で判断に迷う場面を、法改正の期限、実務の手順、書式の作り方から整理しています。

不動産開発会社が破産、負債108億円|取引先が倒れた日に管理会社が守るもの
賃貸管理 · 2026.09.15

不動産開発会社が破産、負債108億円|取引先が倒れた日に管理会社が守るもの

帝国データバンクと東京商工リサーチは2026年9月14日、不動産開発会社と関係会社の建築工事業者が8月31日に大阪地裁から破産手続開始決定を受けたと公表しました。2社合計の負債は約108億9,535万円、債権者は約138名で、大阪の不動産会社としては過去10年で最大の負債額です。2021年9月設立、2025年1月期の売上高は約15億7,600万円、翌期は約67億2,600万円に急拡大していましたが、借入は90億円近くに達し、投資用不動産の販売が止まって資金繰りが尽きました。本稿は事件そのものより、「取引の相手が破産したとき、自分の立場では何がどうなるか」を扱います。土地を売った側、仲介した側、その会社から部屋を借りていた側、管理を任せていた側、工事を頼んでいた側の5つに分け、破産法・民法・借地借家法・宅建業法・賃貸住宅管理業法の条文で確かめたうえで、管理会社が今週やることを5つに整理します。

リフォーム調査2026年4〜6月|住宅7.6%減・共用部31%減、職人は非住宅へ
オーナー提案 · 2026.09.15

リフォーム調査2026年4〜6月|住宅7.6%減・共用部31%減、職人は非住宅へ

国土交通省は2026年9月10日、「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和8年度第1四半期受注分)」を公表しました。4〜6月に建設業者が元請けとして受注した改修・修繕工事の額です。合計は5兆427億円で前年同期比22.8%増ですが、住宅は1兆807億円で7.6%減、非住宅は3兆9,619億円で34.9%増でした。住宅の中では共同住宅の共用部が31.2%減、管理組合の発注が36.2%減。内装・塗装・防水・建具を担う職別工事業は、住宅からの受注が29.8%減り、非住宅からの受注が49.3%増えています。賃貸管理会社が原状回復や共用部の修繕を頼む職人が、事務所や工場の工事に向かっている、という数字です。出どころと計算を示したうえで、管理会社が今月変える発注の手順を5つに整理します。

東京都住宅マスタープラン都の考え方|世帯数2035年ピーク、管理会社の5つの数字
賃貸管理 · 2026.09.15

東京都住宅マスタープラン都の考え方|世帯数2035年ピーク、管理会社の5つの数字

東京都住宅政策本部は2026年9月11日、「新たな『東京都住宅マスタープラン』策定に向けた都の考え方」を公表しました。2050年代を見据え、今後10年で重点的に取り組む方向性を5本示した資料です。土台になった審議会の中間報告(8月27日)と合わせて読むと、都内で賃貸管理・仲介をする会社が持っておくべき数字が見えてきます。世帯数は2035年の768万世帯までは増える、世帯主65歳以上の世帯は2050年に282万で単独は1.6倍、住宅は820万戸で世帯より90万戸多く、空き家90万戸の7割は賃貸用、空き家予備軍は100万戸、築40年超の分譲マンションは25年で3.4倍。数字の出どころと、答申(12月頃)から年度内の策定までの流れを整理します。

借地上建物の持分に買取請求権なし|最高裁8月28日判決と仲介の実務
不動産会社の業務改善 · 2026.09.15

借地上建物の持分に買取請求権なし|最高裁8月28日判決と仲介の実務

最高裁第二小法廷は2026年8月28日、借地上の建物の「持分」を譲り受けた第三者は、地主が賃借権の譲渡を承諾しなくても、借地借家法第14条の建物買取請求権を行使できないと判断しました。区分所有建物の専有部分の持分でも同じです。相続で4人の共有になった専有部分のうち4分の3を買った買主が、地主に時価での買取りを求めた事件です。「承諾が取れなければ最後は地主に買い取らせる」という出口は、持分の売買では使えなくなりました。判決文と条文だけで事案と理由を整理し、契約の組み方・重要事項説明・地主側の対応を本稿の整理として示します。

賃貸住宅経営アドバイザーが9月開始|管理士との違いと会社での使い方
賃貸管理 · 2026.09.15

賃貸住宅経営アドバイザーが9月開始|管理士との違いと会社での使い方

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会は2026年9月1日、新資格「賃貸住宅経営アドバイザー(PMアドバイザー)」の認定を始めました。中身は「不動産経営分析」で、NOI・キャッシュフロー・資金調達・不動産の価格・税金が範囲です。完全オンライン、受講要件なし、16,500円または19,800円、決済から90日間は合格するまで何度でも受験できます。同じ9月に、国家資格の賃貸不動産経営管理士の受験申込が9月30日で締まります。2つの資格の違いを条文で切り分け、資格より先に会社でできることを整理します。

借地借家法32条「年1割」の意味|東京都が貸主に示した賃料見直しのルール(2026年9月)
賃貸管理 · 2026.09.15

借地借家法32条「年1割」の意味|東京都が貸主に示した賃料見直しのルール(2026年9月)

借地借家法32条2項の「年1割」は、家賃の増額が裁判で確定したとき、それまで借主が払っていた額との不足分に付く年10%の利息です。東京都が2026年9月に貸主向けに示した賃料見直しのルールとあわせて整理します。

中古マンション㎡単価が75か月ぶり下落|2026年8月・区部の成約2割減
不動産会社の業務改善 · 2026.09.11

中古マンション㎡単価が75か月ぶり下落|2026年8月・区部の成約2割減

公益財団法人不動産流通推進センターと東日本レインズが2026年9月10日に公表した8月の成約データで、全国の既存マンションの成約㎡単価は62.56万円(前年同月比-3.46%)と75か月ぶりにマイナスになりました。首都圏は成約件数3,180件(-10.5%)で5か月連続の前年割れ、在庫は48,235件(+8.2%)で6か月連続の増加です。ただしエリア別に見ると、㎡単価が前年より下がったのは東京都区部(-0.3%)と横浜・川崎市(-0.5%)だけで、多摩は+9.1%、千葉は+5.1%、埼玉・神奈川は+2.0%。区部の成約件数が-20.6%と大きく減り、単価の高い区部が首都圏に占める割合が44.8%から39.8%に落ちたことで、平均が-3.8%になっています。もう一つの数字は、成約㎡単価81.60万円に対して在庫㎡単価119.36万円(1.46倍)という売り出しと成約の乖離です。宅建業法第34条の2第2項は、価額について意見を述べるときは根拠を明らかにすることを求めています。媒介の現場で売主に見せる3つの単価と、毎月10日にやることを整理しました。

マンション建替え決議 施行5か月で4倍|賃貸中の部屋は6か月で終了
賃貸管理 · 2026.09.11

マンション建替え決議 施行5か月で4倍|賃貸中の部屋は6か月で終了

旭化成ホームズ マンション建替え研究所は2026年9月7日のメディア懇談会で、4月の改正区分所有法施行後に同社が携わる建替え決議が13件、過去10年平均の約4倍になったと報告しました(R.E.port 9月8日報道)。決議済み5件のうち1件は賛成77.0%で、旧法の5分の4では成立しなかった数字です。築40年以上のマンションは2025年末で158.8万戸、10年後には313.1万戸(国土交通省)。決議が身近になるということは、管理・仲介している区分所有の1室で「建替え決議が出た」と連絡が来る日が来るということです。本稿は、そのとき賃貸借がどうなるかを条文で整理します。第64条の2は、賃貸中の専有部分について、決議に賛成した区分所有者等が賃借人に賃貸借の終了を請求でき、請求から6か月の経過で終了する、区分所有者は通常生ずる損失の補償金を払う、賃借人は補償金の提供を受けるまで明渡しを拒める、と定めています。反対したオーナーには第63条の売渡し請求が来ます。入居者・オーナー・自社が押さえる日付を時系列で並べました。

不動産仲介業の倒産 2026年1〜8月86件|7割が負債5,000万円未満
不動産会社の業務改善 · 2026.09.09

不動産仲介業の倒産 2026年1〜8月86件|7割が負債5,000万円未満

帝国データバンクが2026年9月8日に公表した「不動産代理・仲介業の倒産動向(2026年1-8月)」は、倒産86件、通年では約130件の見込みで、過去最多だった2025年の133件に迫るペースです。負債総額は約79億8,300万円と前年同期の1.66倍に増えましたが、件数の69.8%は負債5,000万円未満、関東が44.2%、近畿が27.9%です。同じ調査が引く国土交通省の数字では、宅建業者は132,291業者で11年連続の増加。増え続ける業者の中で、小さい会社が静かに消えている。帝国データバンクはこれを「DX投資の格差」と読みました。本稿は、この数字を中小の仲介・管理会社の側から読み直し、毎月見ておく3つの数字と、取引先が倒れたときに預り金がどうなるか(営業保証金の還付は宅建業者どうしの取引には効かない、管理業者の分別管理)を整理します。

家賃滞納は入居6か月で分かる|2回の遅れで11.7倍、管理会社の入居後フォロー
賃貸管理 · 2026.09.09

家賃滞納は入居6か月で分かる|2回の遅れで11.7倍、管理会社の入居後フォロー

家賃債務保証のSaaSを手がけるリース株式会社が、行動経済学の大竹文雄氏(大阪大学特任教授)の監修で出した「家賃支払履歴と滞納率に関するレポート」が、2026年9月8日の全国賃貸住宅新聞で取り上げられました。約2,000人分の実際の支払いデータで、入居後6か月のあいだに2回以上家賃の支払いが遅れた人は、その後に滞納する確率が約11.7倍。この行動データを分析に入れると、年収・年齢・勤続年数は将来の滞納を予測するうえでほとんど意味を持たなくなったといいます。同じ日の紙面にはジェイリースの「住宅確保要配慮者プラン」が一般の民間賃貸も対象になった記事が載り、国交省の認定家賃債務保証業者は7月31日時点で12者です。審査で決めるのではなく入居後6か月で分かる、という前提に立って、管理会社が組み直す入居後フォローと、属性で断らない審査の考え方を整理しました。

千葉豪雨2026|賃貸型応急住宅と応急修理、賃貸管理会社が確認する制度と期限
賃貸管理 · 2026.09.09

千葉豪雨2026|賃貸型応急住宅と応急修理、賃貸管理会社が確認する制度と期限

2026年8月13日から14日にかけての令和8年8月千葉豪雨で、千葉県は21市4町に災害救助法を適用しました。内閣府の8月31日時点の集計では千葉県の住家被害は4,866棟で、うち床上浸水が1,996棟です。県と千葉市は民間賃貸住宅を借り上げて被災者に提供する「賃貸型応急住宅」と、市町が業者に直接支払う「住宅の応急修理」を動かしています。賃貸管理会社は、被災した入居者の側と、空室を出す貸主の側の両方でこの制度に関わります。家賃上限・県が負担する費目・貸主の同意書・切替契約・退去修繕負担金、借家では応急修理が原則対象外であること、民法の賃料減額の条文を整理し、9月中にやることを5つにまとめました。

国勢調査2025速報|人口2.5%減でも世帯2.3%増、47都道府県の世帯数一覧
賃貸管理 · 2026.09.07

国勢調査2025速報|人口2.5%減でも世帯2.3%増、47都道府県の世帯数一覧

総務省統計局が2026年5月29日に公表した令和7年国勢調査の人口速報集計では、日本の人口は1億2,305万人で5年間に309万7千人(2.5%)減りました。一方、世帯数は5,712万5千世帯で129万4千世帯(2.3%)増え、1世帯当たり人員は2.15人になりました。賃貸住宅の需要は人口ではなく世帯の数で決まります。本稿は47都道府県の人口増減率と世帯増減率を1つの表に並べ、人口が減っても世帯が増えた30県と、世帯も減った15道県を読み分けます。9月29日14時に確定値(人口等基本集計)が出る前に、自社商圏の市区町村の数字をe-Statで控えておく手順も書きました。

案内役の「ウルスタくん」
芽から育つ不動産DXの相棒。コラムでは、現場ですぐ使える業務改善のヒントをお届けします。