賃貸管理・仲介の現場で判断に迷う場面を、法改正の期限、実務の手順、書式の作り方から整理しています。

「7月の住宅着工は8.2%増」という見出しが出ます。数字は本当です。ただし貸家で見ると、戸数は10.0%増なのに投資額は19.2%増。差は1戸あたりの工事費予定額が1,401万円から1,517万円へ8.3%上がった分です。同じ発表資料には「季節調整済年率換算値では前月比1.6%の減少」とも書いてあります。増えているのか減っているのか——数えているものが違うだけです。

「新築戸建ての約5割が長期優良住宅」という見出しが出ました。数字は本当です。ただし約5割なのは一戸建てだけで、共同住宅等は2.4%、総戸数では23.2%です。そして同じ資料の別添には、令和4年10月に始まった「建築行為を伴わない既存住宅」の認定が、4年弱で全国311戸しかないことが載っています。富山・石川・大分・沖縄の4県はゼロです。累計190万戸の長期優良住宅が、これから中古市場に出てきます。そのとき仲介が見るのは認定通知書と、法第10条の承継、法第11条の記録です。

令和8年8月28日、国土交通省が令和7年度末の建設関連業の登録業者数を公表しました。測量業は10,924業者で、平成15年度末の14,750業者をピークに22年連続の減少です。ただしこの統計が数えているのは国土交通大臣の登録を受けた業者だけで、宅地1筆の境界確定測量は、測量法施行令が「局地的測量」として法の対象から外している場合があります。数字の範囲を確かめたうえで、発注前に何を見るか、登録が消除されたときに契約はどうなるかまでを整理します。

令和8年8月28日、国土交通省の令和9年度税制改正要望が公表されました。並んでいる項目の多くは「延長」で、見出しにはなりにくい。ですが3本だけ、新しい線が引かれています。ひとつは床面積要件を50㎡から40㎡へ下げる要望が3つの制度で揃ったこと。ひとつは、土砂災害等の災害レッドゾーン内で新築された住宅を登録免許税の特例から外すという、はじめて「狭める」方向の要望。もうひとつは、空き家の3,000万円特別控除に、相続・遺贈と同視し得る民事信託契約の終了が加わったことです。あわせて、賃貸管理会社には税より予算のほうが効きます。

令和8年度住宅市場動向調査が9月1日に始まります。注文住宅は建築着工統計、既存住宅は登記情報という台帳から世帯を引けます。しかし民間賃貸住宅の入居者を集めた名簿は、どこにもありません。だから調査は留め置き方式になり、その定義は「調査員が該当する住宅を探し出し世帯主へ依頼する」です。探し出す場所は、あなたが管理している物件のエントランスです。国交省の報道発表は入居者に向けて書かれていて、管理会社とオーナーに宛てた行は1行もありません。9月の1本目の電話に、何と答えるかという話です。

空き家や古民家をクラウドファンディングで再生している会社は、令和8年8月21日に公布・施行された不動産特定共同事業法施行規則の改正を確認してください。契約成立前に交付する書面の説明事項が増え、想定利回りを表示したなら「それが予想に基づくものであり、不確実である旨」と「その算定の根拠となる不動産取引の額」まで書くことになります。利害関係人と取引するなら、その額を妥当と判断した根拠を示す。示せないなら鑑定評価を取る。出資される金銭の使途は、取得代金・工事費用・租税公課といった項目ごとに書く。すでに許可・登録を受けている事業者は令和8年11月30日まで従前の例によることができますが、逆に言えば12月1日からは新しい書面でなければなりません。

東京都が令和8年8月21日に始めた「東京都高齢者いきいき住宅認定制度」の補助表には、空欄がひとつあります。セーフティモデルの「新築」欄です。改修なら100万円/戸が出るのに、新築には出ない。そして改修の補助率は3分の2、新築は5分の1。耐震改修を併せて行えば、耐震改修費の3分の2・上限200万円/戸がさらに乗ります。この設計は「高齢者向けの新しい建物を建ててください」ではなく、「いま持っている賃貸住宅を、高齢者が住める状態に直してください」と言っています。昭和の木造アパートを抱えたオーナーに、いま何を持っていくべきかという話です。

建設業許可を持っていないから監督処分は関係ない、と考えている管理会社は多いと思います。ただ、建設業法第28条第2項と第3項は、許可の有無で対象を切っていません。無許可で建設業を営む者が工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした場合、その工事が行われている区域の都道府県知事は、指示処分も営業停止処分もできます。令和8年7月31日に公示された改正案は、この無許可業者向けのガイドラインに「公衆危害」の章を新しく立て、粗雑工事による重大な瑕疵の営業停止を3日以上から7日以上へ引き上げます。許可業者側では、他法令違反の一覧に物流効率化法が加わり、公衆危害の類型に自動車運転死傷処罰法違反が明記される。意見の締切は8月30日23時59分、施行は9月中旬の想定です。

自社は年に数十戸しか建てないから関係ない——上位住宅トップランナーの話は、たいていそこで終わります。ただ、令和8年8月7日に公示された建築物省エネ法施行令の改正案を読むと、4区分のうち賃貸アパートだけ基準戸数が15,000戸で、ほかの3区分(各2,000戸)の7.5倍です。国土交通省はこの線を「住宅市場全体の累積供給量の上位4分の1が指定されるように」引いたと書いています。つまり賃貸アパートは、それだけ少数の事業者に集中している市場だということです。指定されるのは大手でも、同じ令和9年4月1日から賃貸アパートのトップランナー基準は省エネ基準▲10%から▲20%へ上がる。地主に建築を提案し、完成後の管理を受託する会社にとって、これは他人事ではありません。

空き家や1階の空き店舗を通所介護の事業所に貸したい。話がまとまりかけたところで設計事務所から「この居室は採光が足りません」と言われて止まる。建築基準法28条1項の採光規制は、住宅や学校だけでなく、施行令19条1項が定める児童福祉施設等にもかかります。老人デイサービスセンターはここに入るため、利用者が数時間しかいない通所型の施設でも、居室の床面積に応じた窓が要る。令和8年7月31日に公示された建築基準法施行令の改正案は、この対象から「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるもの」を外します。ただし、外れるのが具体的にどの施設かは、政令ではなく後から出る告示に書かれます。意見を出せるのは8月30日0時までです。

建築士法の改正で、設計・工事監理の受託契約を書面で交わす義務から「延べ面積300㎡超の新築」の要件がなくなります。施行日は令和9年4月1日です。重要事項説明はもともと面積を問わず必要で、この点は変わりません。発注側の準備を整理します。

空室をセーフティネット専用住宅に改修すると、国から工事費の1/3(1戸あたり上限62万円、工事の内容により125万・143万・250万円)の補助を受けられます。令和8年度の募集期間、10年以上の登録や家賃の上限などの要件、交付決定前の着手は対象外になる点を整理します。